ダマスカス留学生有志による情報ブログ

ダマスカス留学生有志とそのOBがアラビア語やイスラームについての情報をお送りします。

人を許すこと ③

2008年09月03日 | ★イスラームって?(初級~)



ある、タービイーン(預言者様の教友の教友)のひとりで、あるとき、彼の知り合いの男が、彼に対する嫌がらせをし、彼のひどい悪口をみんなに言いふらしていました。
それを知った彼は、その、自分の悪口を人々に言いふらしている男の家に、ナツメヤシの詰め合わせセットを持って行って、「これは私からのプレゼントです」と男に差し出しました。


男は驚き、自分が悪口を言いふらしている相手が、なぜ自分にプレゼントをくれるのか?!、訳が分からず、彼に思わず尋ねました。

「あなたは、私がしていることを知らないのですか??」


すると、彼は、「あなたは、私にハサナート(善行。天国に行くポイント)をくださったので、私も何かあなたにプレゼントをしたいと思ったのです。私には、本当に、ハサナートがとても必要なので、その大事なハサナートをくれるあなたに、私も何かして差し上げなければ、と思って、、」と言いました。

そして彼に、心から、「本当に どうもありがとうございました!」とお礼を言うと、帰りました。

 


誰かに、悪い事、嫌な事をされてその人に仕返したら、シャイターンは、大喜びで、私達を地獄に連れて行ってくれます。
嫌な事をした人に仕返しをする、その人を憎む、というのは、シャイターンが、一番喜ぶ行為です。
 
【 本当にシャイターンはあなたがたの敵である。だから敵として扱え。

彼はただ、燃え盛る火獄の仲間とするために、自分の手下を招くだけである。】クルアーンの創造者章(6節7節)


【 だから彼らのために嘆いて、あなたの身を損なってはならない本当にアッラーはかれらのなすことを知り尽くされる。】クルアーンの創造者章(8節)


アッラーは、公正に私達のことを見ていますから、その人が、自分に嫌な事をしたことも、アッラーは、十分ご存知です。


嫌な事やひどい事ををあなたにした人は、アッラーのお怒りがあるでしょう、それで十分じゃないでしょうか。

アッラーがあなたのためにお怒りになってくださるのに、あなたは満足ではないですか?
それ以上、自分で仕返しをしたり、その人を憎んだりする事で、増やさなくてもいいい罪を増やす必要はないですよね。


もしあなたがその人を許してあげたら、アッラーからあなたに、どんなに大きな報酬があるかわかりません。


ハディース(預言者ムハンマド様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)の言行録)にもこうあります。ある男が、天国で、すごーーく大きくて豪華な美しい城を見せられました。
彼は、どんなにすごいイスラーム学者か、アッラーのために尽力したサハーバがそこに住むのだろうと思っていると、

「これは、あなたのお城ですよ」と言われました。


彼が驚いて、

「私はこんな城に住むほど、何もしていませんが、、、」

と言うと、

「これはあなたのものです、もし、あなたが、誰々(ある人の名前)のことを許してあげたなら。」

と言われました。


人を許すことには、すごく大きな報酬がアッラーからあります。


あなたが、嫌な事をされても、その人を許せば、アッラーが、あなたのことを、最後の審判の日に許してくれます。


心の中に、憎しみや、憎悪をためないこと、が大切です。
それは、あなたを地獄に連れて行く以外、何もしてくれません。

あなたにひどいことをした人のために、あなたは地獄に行きたいですか?
あなたがもし彼の立場に立っていたら、もしかしたら、あなたも同じ間違いを犯してしまっていたかもしれません。

あなたにご慈悲をおかけになって、あなたに間違いを犯させなかった、アッラーに感謝しましょう。そして、間違えてしまったその人を許してあげましょう。
あなたが天国に入るために、アッラーのために、その人を許しましょう。


人に嫌な事をされたら、アッラーから報酬をゲットするチャンス、です。
その人を、許しましょう。
その人に、それをさせたシャイターンを悔しがらせるために、その人に対して、もっといいことをして、せっかくのチャンスを活かしましょう。
シャイターンの思う壺にはまって、怒ったり、その人と疎遠になったりすることで、増やさなくてもいい罪を増やす事のないように、注意しましょう。


他のムスリム兄弟と喧嘩をしても、3日以上口をきかないことがあってはならない、と預言者様(彼に平安と祝福あれ)は言われています。相手が120%悪いと思っても、アッラーがあなたに慈悲をかけて悪行からお守りくださったように、彼に慈悲をかけて許してあげましょう。アッラーのために、しいては、あなたがアッラーに好かれるため、自分自身のために、その人を許しましょう。

あなたにひどいことをしたその人は、アッラーがお許しにならなければ、アッラーのお怒りがあり、アッラーからの罰は、この世だけでなく、あの世でも続きます。
その人に慈悲をかけて、許してあげましょう。

そうすることで、最後の審判の日に、アッラーがあなたにご慈悲をおかけくださり、あなたのことを許してくださいます、インシャーアッラー(アッラーの思し召しがあれば)」。

 

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8 コメント

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ヒントがいっぱい (keri)
2008-09-17 21:11:15
こんんちは!いつもこちらのブログにおじゃましています。
アラビア語を習い始めてからイスラームへの関心が自然に強くなりました。
人を許すこと①~③まで読ませていただきました。
私はムスリムではありませんが、クルアーンやハディースには、人生をより良く生きるヒントがたくさん詰まっているようですね!
ところで「預言者」のあとに(彼に平安がありますように)などの言葉を続けるのはどうしてですか?
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平安を送ること (amina)
2008-09-17 22:41:08
keriさん、いつもコメントありがとうございます。

>ところで「預言者」のあとに(彼に平安がありますように)などの言葉を続けるのはどうしてですか?

預言者は、神からの啓示を受け、人間がよりよく生きられるようにイスラームの教えを、実践を持って人々に伝えた人です。
彼はただ啓示を口で伝えるだけでなく、その当時彼と時代を共にした教友たちは、彼の行動や人徳者としての振る舞いから多くのことを学びました。

預言者がいなければ、彼の死後、1400年も後の時代に生きる私たちはイスラームを知ることはなかったでしょう。
ですからムスリムはみんな彼のことが大好きなので、預言者という言葉を口にする度に、彼に敬意を表して(彼に平安がありますように)という祈願を続けるんですよ。

また、これを言うことで、アッラーから10のご慈悲が言った人に降りるとムスリムは信じているので、預言者の名前を口にしたり、聞いたりしたときには、アラビア語で「サッラ ッラーフ アライヒ ワ サッラム」と彼に平安を送るんです。

keriさんもアラビア語を習っているんですね。
アラビア語は最初がなかなか難しいですが、文字に慣れてしまうと後はだんだん簡単になるので、がんばってくださいね。
いつかダマスカスにも遊びに来てもらえると嬉しいです。

なかなか更新がゆーーっくりのプログですが、これからもよろしくお願いします。
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Unknown (aisha)
2008-09-20 01:38:51
AMINAさんアッサラームアライクム 名古屋の勉強会ではお世話になりました。人を許すというのはときどきとてもむずかしいです、話をきいただけでおわるのではなく実行できなくては意味がないというのがよくわかるのですが、もう一度この話をよんで自分の怒りをときたいとおもいます。本当にタイミングよくこのサイトをひらきました。
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コメントありがとうございます (amina)
2008-09-22 21:13:56
ワアライクムッサラーム aishaさん、コメントありがとうございます。
 
誰かに対して怒りが込み上げてきた時に、その怒りがどこから来ているのかを見分ける方法があります。アッラーに悪魔からのご加護を請う言葉「アウーズ ビッラーヒ ミナ ッシャイターニ ッラジーム」を言ってみて、その怒りが治まるかどうか、自分の内側を観察します。
もしそれで治まれば、その怒りは、シャイターンからのものだったとわかります。シャイターンは弱いので、アッラーを思い出したり、クルアーンを口ずさめば、姿を消します。

でももしそれで治まらない場合は、その怒りは、自分の悪い自我からのものなので、それには別の治療法が必要です。
悪い自我は、イバーダ(崇拝行為。礼拝やズィクル、断食など)をたくさんすると、どんどん浄化されて弱まります。
例えば、眠たいと思っても起きて礼拝する、食べたいと思っても断食する、という自我の欲求に逆らって崇拝行為をしていると、悪い自我がどんどん治療されていきます。

私たちはみんな、怒ること、人を憎むことが、アッラーの元で悪いことだと知っていますが、それがやめられないのは、シャイターンか、自分の悪い自我のどちらかに従ってしまうからです。
この二つをコントロールする方法を覚えれば、自分の怒りや悪いことに傾く気持ちをコントロールすることができます。

今月はラマダーン月で、多くのシャイターンがいないので、自我を治療する絶好のチャンスです。
自分の内側をよく見て、怒りが来た時にそれを観察して、その怒りに、負けてしまわないように2つの方法で対抗しましょう。
アッラーのご加護とご援助がありますように。
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Unknown (すめいえ)
2009-09-09 11:25:56
アッサラームアライクム

この見分ける方法と、治療するということ、とても大切ですね。
勉強になりました。

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コメントありがとうございます (amina)
2009-09-11 16:48:26
ワアライクムッサラーム、すめいえさん、コメントありがとうございます。

治療に一番大切なことをもうひとつ、書き忘れていました。
自我に逆らって、自分を制していると、悪い自我がどんどん治療される、と書きましたが、実はそれは、自分の努力によって得られるものではありません。
私たち人間は、とても弱く、自分の力だけではそんなすごいことはできません。
では、誰がそれをしてくださるかというと、それは、私たちの心の中を24時間見ていてくださる、アッラー、です。

アッラーは、悪い自我を治そうとがんばっている人の心を、いつも見ていてくださっています。
アッラーに好かれるように、悪い自我を治そうとがんばっている人の心を、アッラーが慈悲を持って、ご覧になってくださったとき、アッラーの御光によって、その心が照らされたとき、心は治療されます。
アッラーは、その大きなご慈悲によって、がんばっている人に、自我の治療をお恵み下さるのです。

ですから、自分のできる限りのことは、がんばってして、その上で、アッラーのご慈悲に頼ることです。
私は自分のできることはしました、後は、あなたのお力で、治してください、とアッラーにお願いすることが大切です。

今年のラマダーン月も後10日ほどになり、この最後の10日間には、千月よりもよいとクルアーンに書かれている、ライラトゥルカドル(みいつの夜)があります。
クルアーンが地上に降りたこの祝福多き夜に、アッラーにたくさんドゥアーをしましょう。
私たちの崇拝行為をアッラーが受け入れてくださいますように。
http://www2.dokidoki.ne.jp/islam/quran/quran097.htm
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Unknown (すめいえ(スメイエ))
2009-09-14 14:52:49
コメント、そしていつもためになるお話ありがとうございます。
ジャザークムッラーフハイラー
名前が平がなになっていますが、いつもお世話になっているスメイエです。

>私たちの崇拝行為をアッラーが受け入れてくださいますように。
アーミン
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Unknown (amina)
2009-09-14 17:29:10
なかなか更新が遅いブログですが、見ていてくださる方がいると励まされます!
これからもよろしくお願いします。
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