ダマスカス留学生有志による情報ブログ

ダマスカス留学生有志とそのOBがアラビア語やイスラームについての情報をお送りします。

人間関係 ②

2010年08月04日 | ★イスラームって?(初級~)

前回掲載した、「人間関係」の続きです。
現在の孤独や人間関係の問題を抱えた方々にとっても、ムスリム兄弟姉妹の人間関係のあり方は、何らかの解決に向けた思考の呼び水となるかもしれません。

これから数回に渡ってご紹介するのは、「兄弟姉妹関係において行うと良いこと」について、著名なイマームガザーリー氏の著書(「イヒヤーウルームッデーン」)から抜粋してまとめたものです。
イスラームにおける信仰上の姉妹たちというのは、どういう関係なのかを、8つのポイントから学んでいきます。

この8つを全部実行すると、すばらしい人間関係が築けるというものです。
ちょっと考えてみても、もし、あなたのために、昼も夜も祈ってくれて、あなたのことを自分のことと同じように大切に考えてくれて、あなたの欠点を口が裂けても決して他の人に言わず、困ったときには、物質的にも精神的にも、喜んで助けてくれる、そんな友達を持っていたら、しかもたくさん持っていたら、あなたの人生は、豊かで安心ではないでしょうか?
ムスリムである、ということは、こういった信仰上の友達をたくさん持つことができる、ということです。

イスラームは、私たち人間を創られたアッラーが、私達が、一番幸せに、この世とあの世で生きていけるように、教えてくださる、永遠に続く幸せの法則です。
私たちのことを大好きなアッラーは、私たちが、何とかして、この世でも来世でも幸せになれるように、「あなた達、これをすると、幸せになれますよ、これをすると、あなたのためにならないから、しないように注意しなさいよ」、と懇切丁寧に、人生を生きるために必要なことを、すべて教えてくださっています。アッラーが教えてくださることの中で自分ができることは、がんばってしていき、もしできないことがあったら、アッラーにお願いして、「今は難しくてできないけれど、どうかいつかできるようにしてください」、とアッラーにお願いして頼んでしまうことです。

アッラーは、私達に無理なことをしなさい、とは決して言いません。アッラーは、いつも私たちと一緒にいてくださって、私たちを愛してくださって、私たちがアッラーにいつか気が付くのを、ずっと待っていてくださいます。
ですから、この信仰上の姉妹のマナーも、できることはすれば、あなたも、あなたの周りの人たちも幸せになります。そして、もしできないことがあったら、アッラーにお願いしてしまいましょう。

まず最初に、信仰上の兄弟姉妹関係のポイント8つの内の、一つ目、物質的に行う援助というのがあります。

①物質的に行う援助:自分の中にある物欲や利己主義(自分だけがよければいいという気持ち)を捨てて、困っている兄弟姉妹をできれば本人に気付かれないよう助けること、です。

預言者ムハンマドさま(彼に平安と祝福がありますように)は、仰いました。

≪二人の兄弟は、一対の手のようなもので、ひとつの手がもう一方の手を洗います。≫

預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)は、手と足という例えではなく、二つの手という例えを選ばれました。それは、一対の手は、一つの目的に向って、お互いに助け合う関係にあるからです。
ご飯を食べようと思うとき、右手は箸を持ち、左手はお茶碗を持つことで、ご飯を食べる、という一つの目的を、二つの手がお互いに助け合って、果たしています。
この両手と同じように、二人の兄弟関係は、人生において、同じ目標、アッラーに向かう、ということを果たすために、助け合って協力していきます。
人間は、一人では、片手だけで手を洗おうとするのが難しいように、なかなか一人では自分をきれいにすることができません。他の人と接して、初めて、両手となり、簡単にお互いを洗い合うことができます。

あるムスリムのグループのことが、カリフ(国の統治者)のひとりに中傷的に伝わり、カリフは、彼らの処刑を命じました。その一員であったある男は、自分が一番先に処刑されるように死刑を執行する人の前に急いで走り出ました。その理由を聞かれて彼は、こう言いました。

“自分より私の兄弟たちに、少しでも長く生きてほしかった。”

彼のこの行動のおかげで、結局は、全員の命が助かったのでした。

あるとき預言者の教友サハーバたち(アッラーのご満悦あれ)のひとりが、高級品の羊の頭、アラブではみんな大好きな一番おいしい箇所をもらったそうです。彼は、「私の兄弟の誰々の方が、もっとこれを食べたいだろう。」と言って、彼にそれを届けました。それを届けられた人は、同じことを思って、また別の人に届けました。
このようにして羊は、人から人に回って、7人の手元を経て、また最初の人のところに戻ってきてしまいました。

私達は、もし高級洋菓子が誰かから届いたらどうでしょうか。喜んで、まっさきに一番おいしいのを家族で全部食べてしまうかもしれません。自分のところに来たものを自分で食べるのは、普通のことですが、ムスリムとして、よりすばらしいのは、他の人のことを考える余裕を持つことです。

相手に良くすることで、アッラーが、自分をもっと好きになってくださると知っていると、こういった嘘のような話は、現実に起こりうることになります。そして、実際、アッラーのために行ったことを、アッラーが放っておくことはありません。

実際にあった話ですが、あるダマスカスの学者が、預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)のお誕生祭を自分の家で開きたいと思いましたが、客をもてなすお茶を買うお金がありませんでした。
そこで、困ったシェイフは、自分の家の絨毯を奥さんに黙って持ち出し、市場で売って、そのお金でお茶を用意し、ゲストを招待しました。

招待客の一人は、そのシェイフをとても尊敬していたので、せっかくマウリド(誕生会)に招待されたので、何か上等なプレゼントを贈りたいと思って、市場に行くと、非常に上質の絨毯を見つけました。
それで、それを買って、シェイフの家に行くと、それはそのシェイフが売った、彼の家の絨毯でした。
ただ1つの違いは、絨毯売りが、絨毯を売り出すために、きれいにクリーニングされてシェイフの元に帰ってきたのでした。

アッラーのためにしたことを、アッラーが放っておくことは決してありません。
ある昔の敬虔な方はこう言っていました。

「食べ物を一口、兄弟に食べさせると、その味を私ののどに感じます。」

ムスリムのこういった美徳は、預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)のお手本に従っています。
ある時、あるサハーバが、体を洗おうと座り、預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)は代わって、彼を衣服で覆い隠そうと立たれました。しかし彼は、「私の父母よりも大切な御方!おおアッラーの預言者よ、やめてください。」と言って、それを断りましたが、預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)は、彼が洗う間、スクリーンがわりの衣服を持ち、おっしゃいました。

≪二人の人が一緒にいる時に、アッラーにとってより愛おしいのは、自分の兄弟に、より親切な人の方です。≫

私たちがどこでも、人と会うときには、自分が相手よりも、相手に親切にしているかな?と、常に考えて行動してみるといいですね。

                                          →次回に続く、インシャアッラー

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
アレッポ石けんについて (フク)
2010-08-09 19:06:04
はじめましてこんにちは!
8月下旬にシリアに旅行するのですが、
ダマスカスに来た時にアレッポ石けんを
購入しようと思うのですが、どの辺で
購入するのが良いでしょうか?
お店はたくさんあるみたいなのですが
店によってかなり差が激しいとの事なので。
よろしくお願いいたします。
返信する
基本的に旧市街です。 (伊曼)
2010-08-11 11:12:27
フクさま
コメントいただきありがとうございます。
アレッポ石鹸(現地ではサーブーン・アルバールといいます。)は旧市街のミスキーエ広場(ウマイヤドモスクを目前にした場合、左手)のハサンズショップ(Hassan's shop 電話番号:(11)2220587)がオススメで、たくさんの日本人が買いに来ます。他には、ブズーリーヤという区(ハーミディーヤの右奥)にもいっぱいお店があります。私はよくこっちで買ってました。
ご参考になれば幸いです。
楽しいご旅行を。
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Unknown (カウサル」)
2010-09-14 12:33:58
素敵な記事をまたありがとうございました。  :)
返信する
Unknown (amina)
2010-09-14 15:01:39
カウサルさん、コメントありがとうございます☆
ゆるい更新ですが、コメントをもらえて嬉しいです。
これからもよろしくお願いします∮
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