私は十字架。
人が死ぬたびに、私は生まれる。
死骸の飾りとして、命を失われた者の帰る場所。
私の体の上に、死者の名を刻む。
私はかの死者の代わりに生きる。
弔いではなっく、ただの思い出の印しとして、土の上に立つだけ。
私は私であって、同時に私じゃない。
私は死者の代り、人は私を私として見ない。
見ているのは私の下で眠ってる死骸だけ。
それでも私はは喜ぶ、私は生まれる。
私は必ず生まれる、どんな時代でも。
だから早く死んでください、私のために。
人の死亡こそが、私の生き甲斐。
そして私を見てください、たとえ心の奥に棲むのは別人でも。
それでも構わない。
だって…貴方もいずれは死ぬですもの。
その時、私は貴方を優しく包んであげる。
貴方の名は私が継げる。
だから…お別れを言いなさい、貴方の肉と霊魂。
私の中で安らかに眠りなさい。
そして、二度と目覚めないことを、私は祈る。
------お休みなさい、私の大好きな人たち。