Mrs.ベリーのVeryな一日

☆ミセス・ベリーのSmileダイアリー☆エレガントな女性目指してセルフプロデュース中(^v^)

ふる

2017年10月10日 16時01分48秒 | ベリーの感想文(本・映画)
ふる (河出文庫)
西 加奈子
河出書房新社

西加奈子 著 : ふる
を、読んだ。


花しす(かしす)は、アダルトビデオにモザイクをかけるという
特殊な仕事をしている。
数年前に、偶然産婦人科で出会ったさなえと2人で暮らし
人の邪魔にならないよう、細心の注意を払い
いつも『オチでいたい』と思っている。
健全にイジられて、周囲の調和を保つカシスは
誰も知らない変わったモノを収集している。
1日の会話をレコーダーに保存し
ベッドの中で聞いているのだ。


物語の中に、度々“新田人生”という男が登場する。
その新田人生は、歳も職業も様々で、主人公花しすとは
ほんの一瞬すれ違うだけの存在だ。
最初、新田人生の登場になにか深い意味を探しつつ読んでいたが
様々な新田人生は、重要なモチーフであはるが
決してキーパーソンではない。

そして物語を、読み終えて
ワタシの人生を通過して行った、多くの新田人生を思う。
新田人生は、あるいは女性の姿をしていたかもしれない。
人生に大きな影響を及ぼしたと、記憶の中に留まる事はなくとも
しっかりと、ワタシの今迄の人生の中で登場し
深層心理に影響しているかもしれない、多くの新田人生。
ワタシはこれからも、きっと多くの新田人生とすれ違い
大して気にも止めず生きてゆくのだろう。
ちょうど、主人公花しすのように
しかし、気にも止まらない小さなすれ違いでも
ワタシの人生の中に登場する、重要なモチーフになるのかもしれない。