Notes of Cinematograph

個人的な映画覚書

マルコヴィッチの穴 -BEING JOHN MALKOVICH-

2005-06-16 | cinema
制作年:1999 国:アメリカ 監督:スパイク・ジョーンズ 出演:ジョン・キューザック、キャメロン・ディアス、ジョン・マルコヴィッチ
お勧め度:★★★☆☆

誰か違う人になってみたいって思ったことはありませんか?
例えば、芸能人とかミュージシャン、ハリウッド俳優とかさ。とにかく自分とは違う人。うちはそんな風に思ったことあるなぁ。でもやっぱり自分が一番いいけど。

この映画はそんなお話。
あるところにジョン・マルコヴィッチの頭の中に通じる穴を発見しちゃって、その穴の中に入るとジョンの視線で物を見て15分だけジョンになれちゃう(ジョンの頭の中に入っちゃう)っていうお話。コメディ映画に分類されてるけど、これはコメディとは言いがたいと思うのだけど。哲学?なんていうのかしらねぇ。とりあえずコメディではないでしょ!DVDのジャケがやけに印象的でオバカな映画に思わせるけど、そうでもないです。笑えるところと言えば、ハゲのカツラをあからさまにかぶってるってわかるチャーリーシーンと、「マルコヴィッチ」としかしゃべらないジョン・マルコヴィッチだけの世界でしょうか。マルコヴィッチ?マルコヴィッチ。

感想としてはおもしろいともおもしろくないとも言えないなぁ。7と1/2階の意味は?そんなことはまぁいいか。マルコヴィッチっていのがすごくいい。『危険な関係』とは思えない。
えーと、この映画はその「穴」がどうのこうのっていうよりは、結果的に人間は欲深いみたいなそんな結末ですかね。でも、あの人形の動きは只者じゃないよ!!すごい。あれだけのテクニックを持ってるのに、認めてもらえないのは悲しいね。有名人が披露すれば認められるってのもまた切ない。社長たちの歴史のつなぎめはイヤだって言う言葉も切ない。そこから逃げてる彼らもなんか切ない。うちにとってはなんだか切なくなる映画だったよ。利用されてるマルコヴィッチかわいそうだし、性同一性障害のキャメロン・ディアスはチャーリーズエンジェルとは嘘でも言えない顔してるし・・・。

監督のスパイク・ジョーンズの映画はなんか最後惜しいところがあるように思う。『ヒューマン・ネイチュア』も途中までは食入って観てたけど、最後まで乗り切れない。でも心に残る、じーんとくるものはあったよ!ヒューマンネイチュアは制作を担当してるけど、彼の作品はきっとコメディになりきれてないんだろうなぁ。どっちつかずっていう感じ。ドラマともコメディとも言い切れない。あ、でも、『アダプテーション』は面白かったな☆

この映画はジョン・マルコヴィッチ好きな人にはめちゃお勧めです。

21グラム -21grams-

2005-06-07 | cinema
制作年:2004 国:アメリカ 監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 出演:ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ベネチオ・デル・トロ
お勧め度:★★★☆☆

めちゃくちゃ久しぶりに書きます。前回が4月の書き込みだから、一ヶ月以上もサボってました。いかんなぁ~。更新してないのに、毎日見てくれてる方がおられるようで、大変ありがたいです。そして申し訳ないです。ちゃんと更新していかなくちゃなぁ。

はてさて、今回の映画は『21グラム』です。
キャッチコピーは「誰もがいつか失う重さ」。気になるね。一体なんの重さなんだろうね。どんな死に方をしても21グラム失うらしいです。それは、例えば、交通事故にあって原型をとどめないほどぐちゃぐちゃになっちゃった場合で、肉とかえぐれちゃったら21グラムどころじゃないよね、失う重さ。そういうレベルの話じゃない?そうか。
うちは、その『21グラム』が一体何なのか知りたくてこの映画観ました。話題にもなってたからって言うよりも、21グラムが気になったのでした。

どうでしょう。物語の流れは、まるでパズルを解いていくような、張り切った映像のつなぎ合わせ。こういうのに慣れてない人にはちょっとわかりづらいかもしれないね。『呪怨』をもっと細かく刻んで、ばらばらにつなげてみました!って感じです。
話の内容的には、うちはあまり何も感じなかったです。
夫と娘2人を交通事故で亡くした女、その夫と娘2人をひき逃げした男、轢かれた夫から心臓を提供された男、この3人が変な風にからまっていくお話。その中でうちは、かわいそうなのは誰だ?と考えてみました。もちろん、家族を亡くしたナオミ・ワッツはひどくかわいそうだとは思うけど、うちはデル・トロが一番かわいそうだと思った。前科はあるものの、おかしいくらいに神を信仰してて、一生懸命改善してる最中だったのに。なんと言いましょうか、彼は自分をコントロールするのが下手なのだな、きっと。最後の場面で、「オレが撃った」って言うんだけど、どうしてあんなことを言ったのかはちょっとわからなかった。なぜかな。

ショーン・ペンは一体どうしてあんな行動に出たのかな。どうしてナオミ・ワッツを好きになったのか。どうしてデル・トロを殺したいと思ったのか。寧ろ、デル・トロが交通事故を引き起こしたおかげで、彼は彼女と出合い生き延びていられてるのに。「お前のせいだ」と言ったのは、何がかな。なんとも複雑。うちの頭では理解できない!

一番輝いていたのは間違いなくデル・トロ!彼の演技素敵!ちょっぴり太ったブラピに見えて仕方がなかったけど。もちろん他2人の演技もすばらしかったんだけど、デル・トロの表情がすごくよかったです。そんくらいです。

いやはやなにはともあれ、交通事故の被害者にも被害者遺族にも加害者にもなりたくないですな。