インターネット失敗百選

ECコンサルタントがネットサービスの失敗事例を1日1個紹介しそのメカニズムを解剖。中尾政之著「失敗百選」のパロディです。

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2011年12月20日 | Weblog
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しばらくお休みのお知らせ

2006年03月07日 | Weblog
勤務先よりお咎めを受けたので、しばらくお休みいたします。
ご購読いただいた方にはお礼申し上げます。

【その23】アフィリエイト その2(楽天アフィリエイト)

2006年02月09日 | Weblog



楽天もアフィリエイトを実施している。
楽天公式ガイドによると、楽天市場の流通総額の3割がアフィリエイト経由らしい。
今年度の楽天の流通総額は年間4000億~5000億円と予想される(2004年実績は3000億円)。
その3割というと1000億円を超えるものすごい金額だ。
(10億円分の楽天ポイントがアフィリエイターに支払われていることになる)

アフィリエイトのパワーとは本当にそんなにすごいのか。


楽天アフィリエイトの仕組みについておさらいしておくと、
まずアフィリエイターが、自社サイトに楽天ロゴや店舗の商品画像を掲載し、
そのリンク経由で楽天に誘導された消費者が、何かを買うと、
アフィリエイト経由の売上げとして認定されるというもの。
店舗側が売上げの1%報酬を負担する。


楽天アフィリエイト経由で1000億円も売れるとなると、
店舗からもさぞかし好評なのだろうと思えるが、実はそうではないらしい。
元楽天出店者のブログ参照)


自分のサイトの商品ではない売上げに対するアフィリエイト報酬(1%)を
負担させられているという話だ。
(その店舗のアフィリエイトリンクをクリックした後に、別の楽天店舗で買った場合)


この内容を、実際に楽天に出店していない人が読んでもピンとこないかもしれない。


しかしこれは楽天アフィリエイトの信用と基盤を揺るがしかねない非常に大きな問題だ。



楽天アフィリエイトにはリターンデイ(再訪期間)が30日間ある。
一度、リンクをクリックすれば、その時に買わなくても30日後に
直接楽天を訪れてそこで買ってもアフィリエイト経由の売上げ象になるというものだ。


さて、楽天アフィリエイトのリンクはネット上のいたるところに貼ってある。

世の中で普通にインターネットを使っていれば、1ヶ月に一度くらいは
何かしら楽天アフィリエイトのリンクを一度くらいクリックしているものだ。
(本人の自覚の有無は別としても)

何も知らない消費者が楽天で買い物をした時、
実はその人が過去1ヶ月の間に何かしら楽天アフィリエイトのリンクを踏んでいれば、
それがアフィリエイトの成果となってしまうというのである。
(過去1ヶ月の間にリンクを踏んでいる人は「3割」くらいいるのでは?)



これはマーケティングでもなんでもない。
ただいたるところに関所を設けて無理やり手数料を取っているようなものだ。
(しかも、それが楽天アフィリエイトの売上げの大部分を占めるのではないか?)


そして、自社とは関係ない商品の売上手数料を無理やり負担させられたのが
上述の元出店者様だ。
広告をクリックした時の店舗と、実際に買った店舗が異なる店舗でも、アフィリエイト経由の売上げと認定されるからだ。


私はいますぐすべての楽天出店者が一致団結して
楽天アフィリエイトをやめることを楽天に提案すべきだと考えている。



また、ここからはさらに重要な話になるが、
楽天アフィリエイトの年間の報酬総額10億円(全体売上1000億円の1%)を
楽天はすべて店舗へ請求しているのではないか、
店舗への負担配分が正しく行われているのか、という点が甚だ疑問だ。


私は仕事柄、非常に多くのwebページを閲覧しているが、
その結果、楽天アフィリエイトのリンクも多数お目にかかる。

そしてそのリンクの大部分は、楽天のロゴであったり、楽天のtopページへ
誘導するリンクだ。
(各店舗へ誘導するリンクなどはごくわずかだ。)


楽天のtopページへ誘導するアフィリエイトリンクから発生した手数料、
これは当然楽天が自社で負担すべきだろう。

しかし、私は、このTOPページ誘導分の手数料まで店舗側へ負担させているのではないかと予想している。




そして上述のとおり、アフィリエイターは楽天のバナーさえ貼りっぱなしにしておいて、
通行人が適当にクリックさえしてくれれば、
(1ヵ月以内にその人が何かしら楽天の商品を買う可能性は高いとすれば)
不労所得的に収入を得ることができる。


アフィリエイターに対して、このような”おいしい状態”をケチな楽天が許し続ける理由はなんだろうか。楽天にとっても”おいしい”何かがある気がする。


お金に厳しい三木谷社長以下楽天グループが、アフィリエイターへの
報酬10億円をやすやすと見逃しているとは到底思えない。
(そもそも本当に10億円も払ってるのだろうか?)

楽天は、アフィリエイト報酬手数料のうちの自社負担と店舗負担の割合を
明確に公表すべきだ。

また、店舗側へ請求した手数料総額と、アフィリエイターに付与した報酬総額も
同時に公表する必要があるだろう。



明日のテーマは……【その24】ISIZE(イサイズ)

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【その22】アフィリエイト その1(会員登録)

2006年02月08日 | Weblog


空前のアフィリエイトブームである。

主婦が30万円稼いだり、サラリーマンが副業でお小遣い稼ぎをしたり、
SEO技術を駆使して100万円以上稼ぐ猛者もいたりと、最近はアフィリエイトの
話題にはこと欠かない。

でもそれはお小遣いを"稼ぐ側"の話だ。

では、企業側(広告料を払う側)のマーケティングの立場での
アフィリエイトの効果は果たしてどうなのだろうか。


アフィリエイトとは、成果報酬型の広告である。
広告主は、会員登録や売上など「成果」に
至った場合にのみアフィリエイターに広告料金を支払えばよい。


無駄な広告費を使わなくて良いので
費用対効果の面ですぐれたマーケティング手法だと言われる。


アフィリエイトを実施している企業(Eコマース企業、コンテンツ企業)
に話を聞くと、なるほどアフィリエイトはキーワード広告に並んで
費用対効果の高いマーケ手法であり、今後も続ていきたいと評価した。


しかし、アフィリエイトに関する詳細な調査・分析をしていくと非常に興味深い結論に達した。


「アフィリエイトは広告主のためにならない」


アフィリエイトは奥が深く、しかもいまだ失敗のレッテルを
貼られていないサービスだ(というより成功しているといわれるサービスだ)。


失敗のレッテルを貼られにくい理由は二つある。


一つ目は、広告主が失敗していることに気付きにくいサービスであること。

二つ目は、アフィリエイトを論じるべきネット評論家たちのほとんどが
実はアフィリエイター(お小遣いを稼ぐ側)を兼任していたり、アフィリエイト関連の本を出版していること。

つまり論評すべき人たちが利害関係者になってしまっているということだ。
アフィリエイトの恩恵に預かっている人間が
まともにアフィリエイトの批判を行うことなど不可能だ。



アフィリエイトは大きく物販と非物販にわかれるので
2回に分けてエントリを行うことことにする。


1回目は、成果が「会員登録」(非物販)のアフィリエイトについて。


会員登録アフィリエイトとは、エンドユーザーがメール登録をしたり、
有料コンテンツ登録を行った場合に、広告主が紹介者(アフィリエイター)に
報酬を支払う、という風に定義されているらしい。

メール会員登録1件あたり100円とか200円の報酬設定が一般的のようだ。


広告主が会員登録アフィリエイトを行うと、あっという間に
数千件、数万件のメールアドレスが集まる。

集まりすぎて予算がなくなり途中でストップすることも少なくないようだ。
広告主の担当者にしてみれば大成功というわけだ。


さて、会員を集めてから数ヶ月経った後、広告主はなげくことになる。


アフィリエイトで集めた会員は、モノを買わない、懸賞も応募しない、
メルマガを送ってもURLすらクリックしてくれない、ひどい場合は
アドレスが無効になって届かない……。


アフィリエイトで集めたメールアドレスは、非常に質が悪いのだ。


そのカラクリは、お小遣い稼ぎサイトやポイント還元サイトにある。

メールを受信したり広告をクリックするだけでお小遣いがもらえるサイトを
ご存知だろう。

その手のお小遣いサイト(ポイントサイト)は、ほぼすべてアフィリエイターとして参加している。

ポイントサイト経由で会員登録があった場合、報酬の200円のうち、
ポイントサイトが100円を取り、残りの100円はポイントを貯めているユーザーに還元する。

1万人に会員登録をさせれば、広告主から200円×1万人=200万円を報酬として受取り、
そのうち100万円分(100円×1万人)を登録者に還元し、
残った100万円を自社の利益とする。

つまり、広告主からすると、もともとポイントを貯めることが目的の人たちばかりが
大量に集まってしまうのだ。


それだけならまだ良いが、このポイントゲッターと呼ばれる人たちは、
お小遣い欲しさに数十、数百サイトの会員登録をしているために、
広告主が必死にプロモーションをかけてもその声は届かない。

メルマガを送れど送れど、受信はされるが開封すらされないという状況に陥るのだ。

これが会員登録アフィリエイトの現状である。
(もちろん質の良い会員登録もたくさんあるだろうがその比率については論じない)


さらに付け加えると、上で触れたポイント系サイト、お小遣いサイトのほとんどが
自らアフィリエイトの広告主となって媒体サイトから会員を集めている点がさらに問題だ。
こうなると、サイト間で質の悪い会員同士をぐるぐると回しているに過ぎない。


広告主は「今期は○万人の会員を獲得する」という目標設定をするし、
対外的にも会員数というのは自社サイトの重要なバロメーターとなるために、
たとえ質の悪い利用者であっても一定の数を集めることは必要なのかもしれない。
しかし、それは本来の目的を逸脱したマーケティングといえるのではないか。



明日のテーマは……【その23】アフィリエイト その2(楽天アフィリエイト)

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【その21】ジョグダイヤル

2006年02月07日 | Weblog


PCのマウス感覚で、携帯電話やノートPCなどの端末の操作を行えるすぐれもの。
主にSONYの機器に搭載された。

ジョグダイアル自体は昔のビデオデッキなどにも使われていたが、
最近の携帯電話(SOシリーズ)やVAIO(ノート)にソニーが標準搭載した
「クルクルピッピッ」のあのダイヤルだ。

この機能は、企画書レベルではソニーのお偉いさんは最高得点をつけたに
違いないと思えるほど便利なものだ。

携帯電話やノートPCでは、PCのマウスに比べれば操作性に劣るのは事実だ。
上下左右ボタンではなくアナログ的な動きができるキーがあれば
確かに便利のような気がする。

しかしこのジョグダイヤルは一部の熱狂的信者を除いては
評判は芳しくない。
(筆者もVAIOとSO携帯を保有しているがジョグダイヤル反対派だ)


こんなに便利な機能なのに、なぜほとんどの利用者から嫌われたのか。



まず、ノートPC(VAIO)に関していえば、PC画面内のソニー製の余計なプラグインと紐付けたことだ(下図の画面右下参照)。

そのソフトからPC全体の各々のソフト(主にSONY提供ソフト)を制御できる、
いかにもソニーらしい機能であった。

しかし、そのソフト自体がまったく使われなかった。よってジョグダイヤルも使われなくなった。

また、ジョグダイヤルは上下運動しかできないので、完全に四方八方に動き回れるタッチパットのポジションを奪うことはそもそも不可能であった。





次に、SO製ケータイに標準されたジョグダイヤルだが、
これはVAIO以上に評判が悪かった。

VAIOのジョグダイヤルは、嫌なら使わないで放置すればよいが、
ケータイの場合は最も良い場所に設置されているので使わざるを得ない。
(機種によっては上下運動はジョグダイヤルでしか行えない)



確かにジョグダイヤルは決めた方向に早く移動できる。
しかし「行き過ぎ」(戻らねばならない)が発生しやすいことと、
「押す」と「まわす」を一つの指で行うことに日本人(外国人も?)は抵抗がある。

そもそも20年前のファミコンが普及した時代から
日本人は上・下・左・右の十字キーに慣れ親しんでる。
日本国民にアナログスティックは不要なのだ。

カーソルを少しずつ移動したい時は一回ずつ押し、
早く移動したいときはボタン長押し。

上下左右ボタンだけでスーパーマリオを縦横無尽に操った日本人の指は
携帯電話の操作ごときでジョグダイヤルのような仰々しい
ものを使う必要はないのである。






不思議なのは、ソニーがこの機能をリリースした理由である。
一般の利用者に試作品を使ってもらえば操作性の悪さは一目瞭然だからだ。

機能の追加によって操作性がつぶされたいかにもソニーらしい失敗だ。



明日のテーマは……【その22】アフィリエイトによる会員登録

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【その20】Tナビ

2006年02月06日 | Weblog


松下電器が提供しているテレビ端末を通じて行うインターネットサービス。
テレビにLAN端子が設けられており、LANケーブルを差し込めばテレビでインターネットができるというもの。

ライブドアや楽天が提唱して話題になった「テレビと通信」の融合を体現したサービスといえる。

松下電器製のテレビはもちろん、他社製テレビに対しても積極的に搭載を呼びかけて行くらしい。

現在、内臓テレビ自体は若干普及しているようだが、実際にLANケーブルを差すところがネックになって、実際にアクセスしている利用者は期待ほどは多くはない。


なぜだろうか。

筆者はTナビというサービス定義をいまいち理解していない。

ブラウザを立ち上げたときに最初に表示されるポータルサイトのことをTナビというのかもしれないし、インターネット接続できること自体がTナビなのかもしれない。またはその接続とポータルの両方合わせてTナビなのかもしれない。

筆者にとってTナビサービスの定義があいまいな理由は
Tナビが、
 ・パソコン向けWebサイトを表示するためのものなのか
 ・Tナビ専用のWebサイトを表示するためのものなのか

が見えにくいことだ。
(Tナビは、携帯でいえばフルブラウザとiモード用ブラウザのどちらなのか)

前者であれば、Tナビポータルはとっととやめて、GoogleやYahoo! JAPAN(松下だからhi-hoか?)など既存のPC向け検索エンジンをTOPページに据えれば良い。

後者であるならば、もっとコンテンツプロバイダに営業をかけて、Tナビポータルのコンテンツを1000サイト程度まで増やし、且つ、コンテンツプロバイダが利用者に課金する仕組みづくりを早急に構築すべきだ。


言い換えれば、このサービスがテレビを売ることを真の目的としたオマケのサービスなのか、それともこのサービス自体を事業として収益化することを目指しているのか。

確かに、テレビで行うインターネットに、テレビ向けに作られたホームページが良いのか、既存のPC向けホームページが良いのかは、世界的に結論は出ていない。それを松下電器に決断させるのは酷のような気もする。

しかし、新しいサービスというものは特長やメリットを単純化しないと消費者にとってはわかりづらく、イメージが浸透しにくくなる。


Tナビで何ができるのか不明確のまま普及が遅れ、「Tナビは失敗」という烙印を押される前に、松下電器はTナビがネット接続サービスなのか、それとも専用の情報提供サービスなのかの決断をする必要があるのではないか。



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【その19】ショッピングサーチ・アラジン

2006年02月02日 | Weblog


ニフティの子会社(コマースリンク)が運営。
登録型ショッピングモール、ショップ内の販売商品を検索。

ショッピングサーチ・アラジンはNifty、三井物産、so-netという
ネットビジネスに積極的な大企業3社が設立したことから、
比較的注目と期待を集めたサービスだった。

しかし蓋を開けてみれば、サイト内に閑古鳥が鳴いていると言ってもおかしくない有様だ。

上場のうわさをまったく聞かないどころか、
ここ2年で2回も億単位の第三者割当増資を実施していることからも
台所は火の車と予想できる。

単なるショッピング検索で、資本金が4億8千万円というのは
イーウーマン同様いくならんんでも多すぎる気がする。

それはさておき、会社設立時のプレスリリースでは、以下のように述べている。

--------------------------------------
利用者の視点で、より広範囲の店舗から欲しい商品を横断的に検索できるサービスです。店舗側は、加盟モールのプロモーションサービスにとらわれることなく、最新の情報を商品単位で広範囲に紹介できるため、店舗への来訪者を大幅に拡大することができます。
--------------------------------------

利用者よりも店舗側を意識している、いかにも大企業らしいコメントだ。
ショッピングサーチは、BtoCではなくBtoBサービスだったのである。


エンドユーザー軽視の姿勢では、まともな集客もできるはずもなく、
宣伝費をいくら使ったかは不明だが、億単位の資本がきれいに消えていった典型的な失敗サービスと言えるだろう。


また、so-netやniftyなどプロバイダ各社は、子会社への利益誘導的に、
ホームページのショッピング枠内でショッピングサーチをそのままコンテンツとして
採用しているが、よく売れているという話はまったく聞かない。

趣旨とはそれるが、実はso-netやniftyなど大手プロバイダHPは、われわれが思っているほど集客がないのではないだろうか?

ビッダーズもオークションシステムをASPのような形でプロバイダに提供しているがYahoo!オークションと天と地ほどの差があることを考えれば、この推察はあながち間違っていないように感じる。

ネットレーティングスが出している数字(プロバイダ各社のサイトが「2ちゃんねる」よりもアクセスが多いことなど)は、釈然としないものがある。

何かしらの操作が行われているか、調査方法に問題があるのではないかとのではないかと予想する。

プロバイダの集客力が実際よりも水増しされて発表されているとすれば、
それがショッピングサーチ失敗のひとつの原因ともいうことができるのだ。
プロバイダに集客を託したからだ。


サイト名:ショッピングサーチ・アラジン
運営会社:コマースリンク株式会社
URL :http://www.shopping-search.jp/




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【その18】IM(インスタントメッセンジャー)

2006年02月01日 | Weblog


インターネット業界でメッセンジャーを利用している人はたくさんいると思う。

日本では、いつの間にかPCに常駐しているMSNメッセンジャーや、
Yahoo!メッセンジャーの利用者がが多いようだ。
古くからネットに親しんできた人の中にはICQを使っている人もいる。

非常に便利なツールである。
IMが消費者のネット活動のすべての入り口になるという説もあった。


しかし、インターネット業界の外の世界を見渡せば、実はIMはまったく使われていないのだ。

コミュニケーションツールとしての王道は依然としてメールと電話であり、
IMが割り込む気配はもはや完全に消えたといってもよいだろう。


普及を妨げたのは以下の3点だ。


1、IMが、会話並みの早いレスポンスを前提としている点。
 リアルな人間関係が成立している仲同士でなければそもそもコミュニケーションが難しい。


2、企業がIMを業務用ツールとして採用しなかった点。
 セキュリティに問題があるため、企業は導入に消極的であった。

 ほかにも、以下の各点のような法人利用には適さない要素が非常に多かった。

 ・コメントの内容が残らない
 ・相手の不在が確認できない
 ・メッセンジャーIDと社員名との紐付け管理が面倒
 ・IMの「遊び」の雰囲気が年配管理職クラスのビジネス感と合わない


3、オフィスユーザーのプライベート活用も進まなかった。
 私用メールのように業務中に上司の目を盗んで行うには
 インターフェースが他のアプリケーションとは異なり、目立ちすぎた。

 業務外メールを書くのはバレないが、IMをしていれば横に座っている人にバレるということだ。



結果として、IMはその提供会社としてビジネスとしてはまったく成立していない。
まともに広告は入っておらず、かといってプロバイダメールのように利用者からお金を徴収するモデルでもない。


一方で、中国ではメールよりもメッセンジャーが普及しているそうだ。
日本では見ることができなかったIMのビジネス化をぜひ中国で見せてほしいものだ。






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【その17】Hotmail

2006年01月31日 | Weblog



2000年ころは「WEBメール」の代名詞とも言われていたHotmail。

多くの人が、会社メールや自宅プロバイダのメールを通常のアカウントとし、
二番目のアカウントとしてHotmailを使用していた。

Hotmailのメリットは、以下の3つだった。

「使い捨て可能」
「匿名性が高い」
「会社や家族に見られたくない」


会社のメールを上司などに閲覧される可能性については、(実際に閲覧するかは別として)当時から企業で働く人々の共通認識となっていた。

勤務時間中の恋人との連絡や転職活動など、万が一にも社内の人間に見られては困る内容のメールは、HOTMAILを使うが多かった。

また、当時流行した出会い系や海外のアダルトサイト、掲示板など、怪しいサービスに登録する際の「捨てアカウント」としても多くの人に重宝された。


しかし、その後hotmailを日常的に使用する人は激減した。
なぜだろうか。


第一に、その「匿名性」「捨てアカウント」のイメージがゆえに、
HOTMAILを使うこと自体に怪しい印象がついてしまったことだろう。

ビジネスやオークションなどでHOTMAILを連絡先としている人物は
それだけで怪しいイメージを持ってしまう。

また、メールアドレス登録を必要とするWEBサービスは多いが、HOTMAILなどのアドレスはお断りという会社も出てきてしまった。

そもそも、いくらWEBメールを使用したとしても、インターネット上で完全なる匿名性を維持できないことも広く認知され、匿名メール自体のニーズがなくなったとも言える。


第二に、大量の迷惑メールの存在だ。
これはどのWEBメールでも同じことに思えるが実はそうではない。

迷惑メールの大部分は海外から英語で送られてくるものだ。
したがって、日本人と外国人が同じドメイン(@hotmail.com)を使用するHOTMAILと、@yahoo.comと@yahoo.co.jpとに使い分けているYahoo!メールとでは迷惑メールの受信数が圧倒的に異なる。
(迷惑メール送信者は@hotmail以前の文字列をランダムに送信している)

筆者のhotmailアドレスにも1日100件を超える迷惑メールが届くようになって利用をやめた。


第三にYahoo!メールの躍進だ。
Yahoo!メールももともとはHotmailと変わらない怪しいイメージがついていたが、ADSL事業に進出して一部アドレスの個人情報との紐付けを行ったことで、niftyやbiglobe等のプロバイダ発行アドレス並の正統イメージをかもし出すことになった(自宅でybb.ne.jpを、会社でyahoo.co.jpを利用する手法も後押しした)。

また、Yahoo!オークションIDと紐づいて落札後のやり取りに頻繁に利用されるようになったことからも広く市民権を得た。


以上3点見てきたが、私自身やめる原因となった「第二」の問題が一番大きいと思う。

どうしてHotmail.co.jpというアドレスを取得しなかったのか、今でも疑問に残る。



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【その16】イーウーマン

2006年01月30日 | Weblog


ewoman
http://www.ewoman.co.jp/

佐々木かをり氏が設立した有名な女性サイト。
iモード生みの親・松永真理氏が経営に参画したことでさらに注目された。
2006年1月現在、会社・サイトともに存続しているが、他の女性系情報サイトと同様にインターネット業界においてまったく存在感はない。

資本金を8億7190万円も調達し、2000年、2005年と二度もITバブルを経過しておきながら
いまだに株式上場をしていないし社会的に一定のポジションを得ていない状況は、
大企業の戦略的子会社という位置づけでもない限り許されないのではないか。
少なくとも億単位で出資した者に対しては利益配分をする時期に来ているだろう。

当時、佐々木氏が掲げた「働く女性のためのサイト」というコンセプトは
誰もが認めるすばらしいものであった。

そして、無料の情報系サイトが相応の収益をあげるために必要な事業

・企業からお金を取る。
>広告
>リサーチ
>求人
>コンサル

・エンドユーザーからお金を取る。
>情報料
>物販

のうち、企業からお金を取るビジネスはほぼすべて実施しているようだ。

決算発表をしていないのではっきりしたことは言えないが、
現時点でもほぼ完璧なビジネスモデルであるように見える。

佐々木かをり氏や松永真理氏の個人的な能力を抜きにしても、
億単位での出資者が出現した理由もわかる完璧な(ようにみえる)ビジネスモデルだ。


ではいったい何がいけなかったのか。


1、コンテンツが魅力的でない点
筆者は女性ではないが、コンテンツが充実していない(金もかかっていない)ことは見ればすぐにわかる。少なくとも毎日見に来る性質の情報は皆無だ。
ほとんどのコンテンツは金で買えるが、それをしていない。
女性向けの株価情報など行っていれば証券口座獲得などの広がりも出てきたのではないか。

2、物販をやらなかった点
女性系サイトと相性の良いといわれるクライアントは、化粧品や健康食品、ファッション系である。しかし、これらの広告主は、ページビューの総量に対して広告料を払うので、ポータルサイトなど男女かまわず大量にトラフィックを消費させる「質より量」のサイトのほうが有利である。

イーウーマンのように顧客(ページビュー)を限定して優良会員を抱いこんでいるサイトであれば、1ページビューあたりいくらの広告よりも流通・小売を展開したほうが利幅も大きいはずだ。化粧品や健康食品は粗利が40%を越える商品も多いと聞く。


3、実はターゲットが「金を使わない」女性層だった点
上記2で女性系サイトといえば、コスメ、レディースファッションと書いたが、
イーウーマンの場合は冠に「働く」をつけている(働く女性のためのサイト)。

イーウーマンの対象がキャリアウーマンであり、17時に帰社するOLではない点だ。
キャリアウーマンと事務系OLとで、消費活動をどちらが多く行うかといえば、彼氏のためにダイエットをし、オシャレな洋服を買い込み、流行のお店で食事をし、小奇麗なブティックホテルを探す事務系OLであることは明白だ。
現にそういったOLを相手に商売をしているオズモールは比較的成功している。


4、営業マンの力不足
イーウーマンの社員を直接知っているわけではないので想像の域を出ないが、上記1、2については、クライアントに近い位置にいる営業マンから社内に対して改善提案が出るのが普通の会社である。また、これだけ知名度のあるサイトであれば、中身がなくても無理やり広告を取ってくる辣腕の営業マンがいてもいいのではないか。
女性サイトだからといって男性社員の採用に消極的になってはいなかったか。
(男性のほうが優秀という意味ではなく、社員の採用の段階で男性応募者との競争が正しく行われてたか)


5、資金の有効活用ができていない点
10億円近い資金を集めておいて、その資金の行き先が不明な点。イーウーマンはこれまでいったい何に投資してきたのか(私は株主でもないので追求する立場にはないが)。
業績良好という噂をまったく聞かないにもかかわらず、いままで会社が存続していることから、資金はすべて家賃と給与という会社のライフラインのために温存し、前向きな投資を怠ってきたのではないか。


6、松永真理氏の退任
佐々木かをり氏とソリが合わなかっただけのか、沈没しそうな船に乗り続けるのは自身のキャリアに傷が付くと判断したのかはわからないが、松永真理氏の退任はいただけない。

入社時に記者会見まで行ったのだから、上場企業でなくても退任時には明確に理由を述べるべきであったであろう。松永氏の退任そのものが悪影響を与えたとは思えないが(むしろ高額な人件費が減って良かったのかもしれない)、松永氏退任を契機に佐々木氏のワンマン体制がさらに進んだのではないかとみている。それが今のイーウーマンの状況悪化を招いたのだ。

余談だが、松永氏の退任は、松永氏本人にとっても大きなマイナスであったと思える。iモード立役者としての功績が「単に勝ち馬に乗っただけ」という批判にさらされるからだ。

いずれにしても、今のままでは強力なパトロンがついているから店がつぶれない銀座のママに近い印象を受ける。



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【その15】1ch.tv

2006年01月26日 | Weblog


これも超鳴り物入りでスタートしたサービス。

西和彦氏が「アスキー立ち上げ時の10倍興奮した」という日本最大級の掲示板を目指したサービス。

当時2ちゃんねるが抱えていた3つの問題

 (1)サーバ負荷が耐え切れずに2chの運営が破綻する恐れがあった点
 (2)完全匿名制により投稿責任の所在が不明確であった点
 (3)アンダーグラウンドなイメージが付きまとう点

を改善して利用者を一気に呼び込む戦略だったが、

 (1)サーバ負荷問題は収束し、
 (2)匿名制については、ログを取得を開始したことでの投稿者責任がある程度明確化され、
 (3)アングライメージについても、老若男女が訪れるそのメジャー感から払拭された。

つまり、西氏が描いた戦略はその時点では正しかったはずだが、対抗馬の2ちゃんねるを取り巻く環境が大幅に改善されてしまったために、「2chに変わる健全な巨大掲示板」というニーズそのものがなくなってしまったといえる。


また、1ch.tvの画面デザインを見ると、高齢者向けのサイトと見間違うほどの文字の大きさだ。ロゴのセンスもプロのクリエイターが作ったものには見えない。ユーザービリティの悪さも敗因の一つと言えるだろう。プロデューサー西氏とエンジニアあめぞう氏に加えてデザイン的なセンスを持つ人間もいれば良かったように思う。


当時、西氏は「(2chなどの掲示板では)投稿者に対し適切な対価が払われていない」と指摘し、将来的に投稿者に利益を支払うビジネスモデルを検討していた。

その指摘は正しかった。数年後に2chから「電車男」が生み出され、はてなが有料検索を行っている。しかし、「電車男」はネットではなく紙媒体や映画に対する対価であるし、はてなは個人の情報発信というよりはまず質問者ありきの回答だ。

西氏が目論んだ、個人の情報発信者に対価が支払われるモデルはいまだ確立されていない。




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【その14】エスクロー

2006年01月25日 | Weblog


エスクローサービスとは、オークションの出品者と落札者の間に仲介業者が入り、代金徴収と発送を代行するサービス。

オークションによる詐欺の被害が社会問題になり始めた2000年の秋に、鳴り物入りでスタートした。

中間に企業が入ることで、振り込んだのに商品が届かないといった被害を防ぐことができるというすぐれものだ。



そして日本でサービスが始まってから5年が経過したが、このエスクローサービスはまったくと言っていいほど普及しなかった。

以下原因を探っていこう。

まず、オークション詐欺の被害者のほとんどが「落札者」であるにもかかわらず、エスクロー活用の主導権を持つのが「出品者」である点だ。

このエスクローは「出品者」が出品時に決済方法の一つとして設定しなければそもそも始まらない。手数料が発生し且つ入金タイミングが遅くなるこのサービスは、出品者にとってのメリットは皆無といえる。

したがって、ほとんどの出品者がこのエスクローサービスに関心を示さなかったのである。

それでは、逆に落札者側からエスクローを求める声は上がらなかったのだろうか。
これも「嫌なら買わなくて結構」という売り手市場のオークションの世界では通る主張ではなかったようだ。

信用できる出品者か否かの担保となるものは、エスクローではなく出品者の「評価」であるし、どうしても心配だという声に対しては、エスクローよりも早くて安心の「代金引換」という方法が結果として選ばれたのだ。



Yahoo!オークションのエスクロー業者である日本ロジスティクスは、平成17年3月にエスクローサービスをひっそりと終了させた。


サービス終了のお知らせ(日本ロジスティクス)
http://www.risksaver.ne.jp/




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【その13】TSUTAYAオンライン

2006年01月24日 | Weblog


CD/DVD/書籍の販売事業についてはアマゾンに大きく水を開けられ、オンラインレンタル事業「TSUTAYA DISCAS」についてはライブドアぽすれんの後塵を拝している。


TSUTAYAのネット通販事業が伸びない理由は、単にアマゾン・ドットコムが強すぎたからという簡単なものではない。TSUTAYAオンラインの商品は値段が高すぎるし、ラインナップも揃っていない。在庫切れも多い。本当に売る気があるのかと思うくらいだ。

一方、オンラインレンタル事業については、サービス自体は良いのだが、如何せん認知度がぽすれんと比べて低すぎる。TSUTAYAの店舗でもっと告知をしたら良いと思うのは筆者だけではないはずだ。

では、なぜTSUTAYA、いや、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)はインターネット事業に対するやる気を「見せない」のだろうか。

それは、TSUTAYAがフランチャイズのビジネスだからだ。
実際の店舗はCCCではなく各店舗の地元の有力企業が運営している。CCCは、店舗に対する商品の卸やコンサルティング、ブランディング的なところを管轄している。

つまりTSUTAYAの各店舗はCCCにとっての重要なお客様なのだ。そのお客様の売り上げを下げるような「インターネット直販」「インターネットのレンタル」は風当たりが強く、本気で取り組めないのである。

これはコンビニエンスストアのネット直販(セブンドリーム等)が本気で物を売れないのと同じである(コンビニ系ネットサービスについては後述したい)。

但し、CCCにもネット事業拡大のチャンスが訪れた。ライブドア事件の発生により、ぽすれん事業が売りに出され、その結果CCCが買収することも可能になったからだ。「ライブドアがこのような状態だからCCCが引き受ざるを得なかった」という言い訳にも聞こえない言い分は加盟店企業を納得させることができるのではないか。

なお、クリック&モルタルで有名なTSUTAYA店舗への来店誘導型ケータイ向け販促は大成功している。TSUTAYA加盟店企業のためになるサービスであるから、CCCが「本気で」実施できたサービスだったのだろう。

このTSUTAYA現象は、リアル店舗を運営する会社のネット事業全般に対して言えるものである。



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【その12】ライブドア(堀江社長)のニッポン放送株取得

2006年01月23日 | Weblog


ライブドアの失敗の理由についてはすでに数多くの意見が出ているので、改めてここでまとめる必要はなさそうな気もするが、せっかくなので特捜部がライブドア事件の「本丸」として捜査の対象としているものが何かを予想してみたい。


ニッポン放送の株式取得に関して


2005年2月8日、ライブドアはニッポン放送の株を買い集める際に「立会外取引」を行った(それ自体は違法性はない)。

しかし、ライブドアと売り手との間に売買に関する「事前合意」があれば話は別だ。堀江社長が2月8日の東証の取引開始後わずか30分の間のうちに6件の巨額時間外取引を成立させて、ニッポン放送の株式の35%を一挙に押さえたと言われるが、これは偶然(堀江氏は売り手の顔を知らない)ということになっている。合法の根拠となる部分だ。

もし、今回押収された堀江社長や宮内取締役のパソコン内に、上記の立会外取引の売り手(村上ファンド含む)との間に、事前に売買の約束を記録したメールが残されていたら一大事だ。各ファンドがライブドアの代理で、ニッポン放送株を買い集めていたことになるからだ。

このメール(証拠)があれば、フジテレビとライブドアの裁判でもフジテレビが勝訴していただろう。(裁判では立会外取引の違法性を立証できなかった)

いまさらニッポン放送の株取得は無効にはならないだろうが、
これが東京地検特捜部が狙うライブドア事件の本丸であると予想する。


時間外取引、村上ファンド、顧問弁護士解任の舞台裏(立花 隆)
http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050325butaiura/index1.html




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【その11】デジキューブ

2006年01月20日 | Weblog


コンビニ向けのゲーム専門の問屋としてスクウェア(現スクウェア・エニックス)が設立。また、キオスク端末での音楽配信事業も実施。

ゲーム会社→玩具卸問屋→小売店  という既存の流通に対し、
ゲーム会社→デジキューブ→コンビニ   という新しい流通を作ろうとした。


当時、ゲーム業界は任天堂系の問屋(初心会)がほぼゲームソフトの流通を仕切り、小売は初心会の言うがままにされていたが、そんな初心会主導のゲーム流通を変えようという改革路線がデジキューブが流通業界の内外から注目された理由だ。

倒産の主要因は、キオスク端末向けの音楽配信事業の失敗と発表されたが、ゲーム流通事業も赤字が膨らむ一方だったという。

ゲーム流通の赤字の原因は、巨大なコンビニ販路と引き換えに大幅に減った利益幅と、初心会とか異なり在庫の返品を受け付けていたために、コンビニ側でリスクなく過剰出荷を要求できてしまったことだろう。また、ゲーム不況と時期も重なりファイナルファンタジー以外にはろくなヒット作も出なかったことも響いたはずだ。

一方で、音楽配信やタレントのプロマイド発売への参入を発表したことで、利害関係者と思われる団体から会社に銃弾を打ち込まれたり、いろいろな面で話題を振りまいた会社であった。

しかし、デジキューブのゲーム流通事業は、その後プレイステーションドットコムやセブンドリームドットコムなどを生み出すノウハウとして蓄積されたため、ゲーム業界やコンビニ業界をIT化に進めた影の立役者とも言われる。


関連記事
デジキューブ、自己破産を申請
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20031126/digicube.htm




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