空前のアフィリエイトブームである。
主婦が30万円稼いだり、サラリーマンが副業でお小遣い稼ぎをしたり、
SEO技術を駆使して100万円以上稼ぐ猛者もいたりと、最近はアフィリエイトの
話題にはこと欠かない。
でもそれはお小遣いを"稼ぐ側"の話だ。
では、企業側(広告料を払う側)のマーケティングの立場での
アフィリエイトの効果は果たしてどうなのだろうか。
アフィリエイトとは、成果報酬型の広告である。
広告主は、会員登録や売上など「成果」に
至った場合にのみアフィリエイターに広告料金を支払えばよい。
無駄な広告費を使わなくて良いので
費用対効果の面ですぐれたマーケティング手法だと言われる。
アフィリエイトを実施している企業(Eコマース企業、コンテンツ企業)
に話を聞くと、なるほどアフィリエイトはキーワード広告に並んで
費用対効果の高いマーケ手法であり、今後も続ていきたいと評価した。
しかし、アフィリエイトに関する詳細な調査・分析をしていくと非常に興味深い結論に達した。
「アフィリエイトは広告主のためにならない」
アフィリエイトは奥が深く、しかもいまだ失敗のレッテルを
貼られていないサービスだ(というより成功しているといわれるサービスだ)。
失敗のレッテルを貼られにくい理由は二つある。
一つ目は、広告主が失敗していることに気付きにくいサービスであること。
二つ目は、アフィリエイトを論じるべきネット評論家たちのほとんどが
実はアフィリエイター(お小遣いを稼ぐ側)を兼任していたり、アフィリエイト関連の本を出版していること。
つまり論評すべき人たちが利害関係者になってしまっているということだ。
アフィリエイトの恩恵に預かっている人間が
まともにアフィリエイトの批判を行うことなど不可能だ。
アフィリエイトは大きく物販と非物販にわかれるので
2回に分けてエントリを行うことことにする。
1回目は、成果が「会員登録」(非物販)のアフィリエイトについて。
会員登録アフィリエイトとは、エンドユーザーがメール登録をしたり、
有料コンテンツ登録を行った場合に、広告主が紹介者(アフィリエイター)に
報酬を支払う、という風に定義されているらしい。
メール会員登録1件あたり100円とか200円の報酬設定が一般的のようだ。
広告主が会員登録アフィリエイトを行うと、あっという間に
数千件、数万件のメールアドレスが集まる。
集まりすぎて予算がなくなり途中でストップすることも少なくないようだ。
広告主の担当者にしてみれば大成功というわけだ。
さて、会員を集めてから数ヶ月経った後、広告主はなげくことになる。
アフィリエイトで集めた会員は、モノを買わない、懸賞も応募しない、
メルマガを送ってもURLすらクリックしてくれない、ひどい場合は
アドレスが無効になって届かない……。
アフィリエイトで集めたメールアドレスは、非常に質が悪いのだ。
そのカラクリは、お小遣い稼ぎサイトやポイント還元サイトにある。
メールを受信したり広告をクリックするだけでお小遣いがもらえるサイトを
ご存知だろう。
その手のお小遣いサイト(ポイントサイト)は、ほぼすべてアフィリエイターとして参加している。
ポイントサイト経由で会員登録があった場合、報酬の200円のうち、
ポイントサイトが100円を取り、残りの100円はポイントを貯めているユーザーに還元する。
1万人に会員登録をさせれば、広告主から200円×1万人=200万円を報酬として受取り、
そのうち100万円分(100円×1万人)を登録者に還元し、
残った100万円を自社の利益とする。
つまり、広告主からすると、もともとポイントを貯めることが目的の人たちばかりが
大量に集まってしまうのだ。
それだけならまだ良いが、このポイントゲッターと呼ばれる人たちは、
お小遣い欲しさに数十、数百サイトの会員登録をしているために、
広告主が必死にプロモーションをかけてもその声は届かない。
メルマガを送れど送れど、受信はされるが開封すらされないという状況に陥るのだ。
これが会員登録アフィリエイトの現状である。
(もちろん質の良い会員登録もたくさんあるだろうがその比率については論じない)
さらに付け加えると、上で触れたポイント系サイト、お小遣いサイトのほとんどが
自らアフィリエイトの広告主となって媒体サイトから会員を集めている点がさらに問題だ。
こうなると、サイト間で質の悪い会員同士をぐるぐると回しているに過ぎない。
広告主は「今期は○万人の会員を獲得する」という目標設定をするし、
対外的にも会員数というのは自社サイトの重要なバロメーターとなるために、
たとえ質の悪い利用者であっても一定の数を集めることは必要なのかもしれない。
しかし、それは本来の目的を逸脱したマーケティングといえるのではないか。
明日のテーマは……【その23】アフィリエイト その2(楽天アフィリエイト)
←よろしければclickお願いします。