奄美ロングステイ

奄美の自然の中でロングステイのできるペンションを作りました。毎日のできごとを紹介していきます。

奄美の磯で潮干狩り

2014-06-10 20:00:55 | 奄美を楽しむ
毎年梅雨時期になると奄美の磯ではカニ獲りが楽しめる。
潮の引いたリーフの先端で、島の言葉でシーガンと呼ばれている小さなカニを岩の穴から
おびき出してつかまえるのである。
このカニは小さくて身を食べることはできないがすりつぶして汁のだしに使うとじつに
おいしい。




近所のKさんたちがこのカニ獲りが好きで梅雨がくるのを楽しみにしている
今年も満を持して出かけた最初の遠征に一緒に連れていってもらった
場所は土盛から近くの海岸




準備万端相整ったのサチコさんとヤスノさんのおばさん軍団、いざ出陣
磯でもすべらないシューズ、小さめのびく、カニを穴からおびき出すためのタコの切り身
それをくくりつける細い竹、長めのドライバー
以上がカニ獲りに必要な装備一覧である
遠くからでも見分けがつくように衣装はなるべく派手なものが好ましい




大潮の引き潮のタイミングを狙って出かける
卵を抱いたメスガニがよくダシがでるということで産卵時期である梅雨の間しか期間が
ないことを考え合わすと、一年のうちでチャンスは全部あわせても十数時間しかないという
貴重なというか滅多に体験することのできないイベントなのだ




これがシーガン、シーというのは海 ガンはカニを表す島の言葉
潮が引くと、身を潜めていたリーフの小さな穴から姿を現わす
シマッチュの中でもこのカニを食べる習慣のない地域も多く島をあげての行事というわけ
ではないらしい
この日もリーフには他にほとんど人はいなかった




このようなリーフの先端の岩場でたくさん見つけることができる
すぐに潮が満ちてきてしまうので引き潮をはさんだ前後2,3時間でどれだけ獲ることが
できるかが勝負だ




それでは実際の獲り方について紹介しよう
竹の棒の先にくくりつけたタコの切り身をリーフにある無数の小さな穴の中につっこむ
タコは炙ってあるので強い香りを撒き散らす
その香りにつられたカニが穴から顔を出す
それをまたタコをちらつかせてさらに穴の外までおびき出す
カニのからだが穴から離れたその瞬間にもう一方の手に持っていたドライバーの先で穴を
ふさぎカニが穴に戻れないようにしてしまう
そしてハサミでの反撃に注意しながら、おもむろにカニを上から押さえつけ手でつかみ
腰につけたびくの中に放り込むのである
このとき穴の中が海水で満たされいるとタコの匂いが伝わりカニがすぐ出てくる
しかし水が多すぎてもだめで穴の表面ぎりぎりが海水で浸かるくらいがちょうどよろしい
あえてリーフがむきだしになる大潮の干潮時だけを狙う所以である
カニにもそれぞれ個性がありタコをちらつかせると何も考えずに猛進してくるものもあれば
穴の中から片方のハサミをのばしてばかりで、なかなか出てこようとしない慎重派もいる
このなかなか出てこないカニをどうおびき出すか人間とカニの知恵比べでこれがなかなか
楽しい(自分がまるで詐欺師になったような気すらしてきてちょっと罪悪感もあるが)
しかしあまり意地になっていても時間ばかりたってしまい獲物の数は少なくなってしまう
カニ獲りの上手な人は臆病なカニには早々に見切りをつけて他の穴を探し、数をかせぐ
下手な人はいつまでたっても固執して一匹のカニの前から離れず限られた時間を無駄に
してしまい、そんなところに性格が大きく影響してくる
観察していると臆病で冒険をしないカニは全体的に体が小さい
何も考えずにタコに飛びついてくるアホというか積極的な性格のカニはすぐに捕まって
しまうが、普段から餌にありつくチャンスが多いので体は大きい
それだけ生殖にも有利なはずで自分の子孫を残す可能性は大きいだろう
どちらの性質がカニにとって有利なのだろう、これは人間の生き方にも通じる問題だ・・
などと生物行動学的考察からいきなりミスジャッジと後悔のミルフィーユのような今までの
我が半生へと思いを馳せたりしつつ、とりとめのないことを考えながら初夏のまだギラギラ
していない太陽の下の美しいリーフと打ち寄せる波の音の中でボケーっとカニ獲りをして
いるそんなひとときがとても心地よく、とても好きな奄美での遊びのひとつだ

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