ビートおやじの つ ぶ や き

拘り一品のご紹介やその他有益情報など形式にとらわれず
おやじが書きたい事を気ままに綴ってみたいと思っています。

ECU 電解コンデンサの液漏れ

2007年01月21日 06時59分12秒 | BEAT ECU 修理について

私はビートのECUを製造番号により以下の様に4つに大きく分類している。
生産初期の物で約2000台位までは外付けROMで動作している。
後にこの名残がスポーツROM組み込み可能な基板として人気がある理由だ。

私は多くの実績からロット番号で電解コンデンサの液漏れ傾向が解っている。

(1)030-100000番台~030-102000番以内(数百台のバラツキが確認されている)
   外付けROMで動作している為マイコン内部にはROMデータが無い。
   よって私の作るスペシャルECUでのROM切り替えSWは実装しても無駄となる。
   しかしROMソケットを実装後にEP-ROMの差し替え方式で対応は可能だ。
   HIC1のハイブリットICは初期型が付いている
   
   液漏れ傾向は流石に初期物で殆どは10万㌔超えの走行車も多い為
   その様な物はかなりの確立で電解コンデンサ6個全体に液漏れが見られる。
   しかし5万㌔前後の走行が少ない物はその限りでは無い。
   又、ビートの生息地でも気候により大きく左右される。
   当然寒い気候の地域で生息していた方が液漏れも少ない。

(2)030-102000番台近辺~030-13150*番台
   この頃からやっとマイコン内部のROMデータで動作する様になった。
   この基板から外付けROMが無くなった為俗に言うスポーツROMを
   組み込んで安価に楽しめる様になった為人気が出て来た理由でもある。
   HIC1のハイブリットICは初期型が付いている
   この製造ロット番号の中でも更に2つに分けている。
   個人的には030-11****番台が好きである。
   その理由は過去の修理実績において復活率が一番高かったからである。
   基本性能はどの基板でも殆ど変わらないと思われがちだが実は当たり外れもある。
   これは多くの部品構成で成り立っているため稀に素晴らしい性能の基板に出会う。
   同じスポーツROMを使って試しても吹け上がり等が明らかに違うのである。

   液漏れ傾向はC4が殆どと言って良い程液漏れして基板も腐食している。
   ここが一番多いので参考に写真を載せたので良く見て覚えて欲しい。
   更にC3も液漏れするがここは何故か密着して実装してある為外さないと
   液漏れは見えないが液漏れが有った物で酷い物は一部が焼け焦げている。
   電解コンデンサのボディが基板に密着して実装してあり呼吸が出来ない程
   基板コーティング剤で部品下部を囲ってしまうからいけないのだ。
   私が交換する物は全て基板からボディを数ミリ浮かせて実装している。

   更に030-13150*番台に近くなるほどC9やC12に液漏れが発生し易く
   HIC1にまで液漏れ腐食被害が及ぶので特に注意して見て欲しい。
   ここまで被害が及ぶと中古ECUから臓器移植となるから修理費も・・・

   ECU基板類は何処のメーカーでも同じ様にコーティングしている。
   理由は結露などで電子回路の絶縁低下を防止するのが目的である。
   絶縁低下が進むと誤作動の原因となる為修理品で有っても必ずこの処理は
   やらなければならないしやっていない物は危険なのである。

(3)030-13160*番台~030-200000番以内
   これも(2)と同じ様にマイコン内部のROMデータで動作する。
   このロット番号からHIC1のハイブリットICは後期型が付いている
   
   液漏れ傾向は比較的新しい物でC9やC12に液漏れが発生し易く
   HIC1にまで液漏れ腐食被害が及ぶので特に注意して見て欲しい。
   ここまで被害が及ぶと中古ECUから臓器移植となるから修理費も・・・
   
(4)030-200000番台はH7年頃のVerZに付いていた~現在に至る
   最新の物~新品はECUの金属蓋がグレー色に近いメッキに変更されている。

この時期の最終11型に類別区分番号0002のABSとLSDの付いた幻のビートが存在する。

   これも(2)と同じ様にマイコン内部のROMデータで動作する。
   最新型はレブリミットも一時の高回転設定から元に戻っている
   HIC1のハイブリットICも後期型が付いている
   この頃に電解コンデンサも新型のKME型(105℃高寿命品)に変更された
   私が修理に採用している物は更に小型のKMG型(105℃高寿命品)である
   この頃からメーカーがニチコンからニッケミに変更されているが真の理由は
   私には解らないのでコメントは差し控える。最新型は性能に殆ど差が無い。

   030-200000番台はH7年頃のVerZに付いていた。
   この頃の製造末期の基板は原価低減の為に見直しされていて不要な部品は
   数箇所削除されているのである。私が知る限り6個は少ない。
   スポーツROMを組み込む場合も部品が欠品している為若干費用が掛かる

   液漏れの傾向は流石に新品の物は有り得ないが030-200000番台でH7年頃の
   VerZに付いていた物は意外と弱くC9やC12に液漏れが発生し易く
   HIC1にまで液漏れ腐食被害が及ぶので特に注意して見て欲しい。
   ここまで被害が及ぶと中古ECUから臓器移植となるから修理費も・・・

スポーツROM組み込みについて

   スポーツROMだけで動作させようとする場合は全てのECU基板で
   基本的に改造は可能である。

   しかし(1)の初期物は既に純正ROMとして外付けROMの場所に実装
   されているのでこの部品を専用工具で基板にダメージを与えない様に綺麗に
   抜き取ると言う高度な技術が要求される。そこに専用ソケットを実装する。
   外付けROMだけで動作させる為ROM切り替えSWは付けられない。
   素人作業ではまず抜き取り時にパターンを傷つけてしまうであろう。
   最低でも専用の半田吸い取り器の付いた半田コテは必要である。
   最も私位になると普通の半田コテ1本で完璧に抜き取る秘技を持っている。
   プロとアマの差は私の基準で言うとプロは失敗する確立が殆ど無い事と
   1円でも報酬を貰ったらそこからプロなので意識を持っている事だろう。
  
   (2)と(3)の一部を除いてはROM切り替えSWが付けられる為純正の
   ROMと外付けROMを自由に切り替えて楽しむ事が出来るスペシャルな
   ECUとなるのである。こんな芸当が出来るECUはビート位の物である。
   だからTodayのオーナーも欲しがる、結果的に余計に品薄になるのだろう。  
   
私以外の作業で正しく改造されているスポーツROM付きECUは1台も見た事が無い。 
外付けROMを正しく組み込むには下記の部品が必要である。
28ピン高信頼性ソケット (私と同じオール金メッキ品が望ましい)       1個
各種スポーツROMデータを焼き込んだEP-ROM(27C256又は27256)     1個
IC3 C-MOS IC (何処のメーカー品でも良い)                 1個
BEAT-GARAGE オリジナル超小型切り替えSW(1流メーカー製高信頼型)  1個
(切り替えをしないで外付けROM専用で使う場合はジャンパー線で良い)    1本
バイパスコンデンサ(私以外でこの部品を正しく実装してある物は無い)     2個

ここまでが標準の場合の改造部品点数である。

(4)の年代VerZの場合は更にバイパスコンデンサが追加で2個必要となる。

私以外にこの手の作業をする方々は電子回路を良く研究して理解して頂きたい。

特にROMの切り替えSW取り付けにおいてはCN2のマイコンアクセス用端子を
勝手に空き端子等と決め付けてそこにSWを実装してしまい更にはパターンカットを
してしまうものすら存在するのである。こんな事は回路を知っていれば有り得ない。

私は回路設計も基板製作の為にCADも行う、更には基板組み立て完成後に外観検査を
する基板検査装置の設計・製造までやるので私の検査基準はかなり厳しいぞ~。(笑)

以上の理由により半端なこだわり方ではないので普通の修理従事者より少しはましかな。
     
それから付け加えるが私の修理費用はここまでこだわって本格的に手間隙掛けても
合計費用は他の修理者と殆ど変わらないのであるから笑ってはいられない。


今日の教訓

良~~く 考えよ~~ 基板は大事だよ~~♪


「BEAT」のECUって

2007年01月20日 01時28分26秒 | BEAT ECU 修理について
「BEAT」って今日現在で何台が残っているのだろう?
その中でも何とか走れる台数となると・・・
発売総数が3万数千台だから2万台位は残っているのかな?
現存数を知る方法は無いのだろうか?
ちょっと知りたい気持ちです。

ここからは「つぶやき」が長いのでお暇な方だけ読んでね。

私が「BEAT」のコンピュータ(ECU)の修理を
初めてから、かなりの年月が過ぎていますが今でも
「BEAT」のECUが数多く故障しています。
と言うかこれからが本格的に修理が必要だと思っている。

殆んどの皆さんはECUの故障原因とそのプロセスを
知らない方が多いのには驚かされています。
巷では多くのデタラメな素人判断の情報が散乱しています。
私が完璧とは言いませんが私のやってきた事を超える物が
未だ見当たりませんので少なくても皆様には正しい情報と
有意義な本物の熟練技術をお知らせ出来ると確信しております。
私は元々本職なので毎日極当たり前に向き合っていますから
当然の様に全てが見えてしまいますので修理の方法も
自分の出来る限り最善の手法に拘ってやっています。

一言で修理と言っても修理者の技量や考え方で全く
違った性能・仕上がりとなってしまいます。
一時凌ぎで治れば良いと言う考え方もあるでしょうし
今後5年以上先まで見据えた本格的な修理を望む人も多いでしょう。

私は一貫して最初から現在に至るまで修理の方法は
後者の本格的な修理以外はやっておりません。
と言うか私の経験からこれ以外の方法は無駄だと思っています。
一時凌ぎでは数年後に再発しますのでお金も時間も無駄になってしまうからです。

しかし世の中にはそれでも良いと言う方も居ますので
それはそれで需要に答える方が居ても良いのでしょう・・・

ECU修理を車の板金に例えると解り易いと思いますが
板金修理って幾らでもやり方がありますよね。
カーコンビニからフルレストアまで。
お金が無いから取り合えず形だけ直して・・・とか
長く乗りたいから出来るだけ綺麗に直して・・とか

女性のお肌のお手入れに例えても同じ様に色々な方法があると思います。
しかし何れにしましても「下地処理」がもっとも重要なのです。
ここだけは絶対に手を抜いてはいけません。
例えば車の板金の場合で言いますと凹んで錆が出ていた場合を想定して下さい。
皆さんならその錆びた部分は如何して欲しいですか?
錆びはそのままでいいからパテ埋めして塗装すればOKなんて
思っている方は皆無に近いと思います。
「BEAT」のECU基板修理は電解コンデンサの液漏れにより
基板や周辺部品が腐食してしまうため結果的に回路パターンの断線や
インピーダンスの低下が起こり故障となるのが殆んどなのです。

ですから電解コンデンサだけが悪い様な情報は全くの無意味な事で本来は液漏れにより
故障した本当の部分を修理して始めて電解コンデンサの交換が意味をなすのです。

液漏れの全く無い、又は基板腐食に至っていない物に限り
「電解コンデンサの交換」と言う言葉が使えるのです。
この事が多くの間違った認識を持つ原因だと思っています。

つまり「液漏れとは何?」と言うその実体をお知らせして
皆様に正しい認識を持って頂く事が大切だと思いますので
これからは私が少しずつですが情報を公開していきます。

次回は電解液漏れの見分け方から公開致します。
その次の予定はメインリレーの輪切れについて公開します。
もっともこれは数年前から私が一部で公開してしている物です。
エアコンの事やその他どんどん公開していきます。

今日の教訓
ECUは正しく修理すれば新品を買わなくても十分使える物に
復活出来ますので間違っても「BEAT」は手放さない事!