Ambivalent Blog

e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

禁煙への道!! - ネガティブ・キャンペーンの効果測定

2004-11-03 | ◆ビジネス
ひょっとすると禁煙に成功したかもしれない。既に1ヶ月以上煙草を吸っていない。煙草を吸わない方はたかが1ヶ月と思うかもしれないが、一日に一本も吸わないというのは喫煙者にとっては異常事態なのである。喫煙本数が減って以降も、日中一本も吸っていないことに気づくと「なんか体に悪いかもしれない」などと夜寝る前に一本吸っていたくらいである(情けない話)。さて、それを完全禁煙に至らせた要因は何なのか。日本と欧州の喫煙ネガティブ・キャンペーン事情を紹介したい。

欧州喫煙事情
まずは個人的な体験からも明るい欧州の喫煙事情と禁煙キャンペーンの状況を紹介したい。今年の春にイギリス、フランス、そしてスペインの企業を訪問する機会があり、面白い対比が見られた。

イギリスでは、屋内は完全に禁煙であった。それに対するフランスは、まだオフィス内に灰皿が置いてある。でもそれほど煙草を吸っている人がいるという風ではない。これがスペインになると、「ブエノス・ディアス」と会議室に現れた黒シャツの怪しげな男の右手には、既に火の付いた煙草が挟まっているという感じだ。この国では、エスプレッソ風の濃いコーヒーが小さいカップで供されることが多い。実にうまいが、これがまた煙草と良く合うのだ。スペインの別のミーティングでも、打ち合わせ中にずーっと煙草を吸い続けるチェイン・スモーカーがいた。

さて、ネガティブ・キャンペーンである。私が一時住んでいたイギリスでは、煙草のパッケージにでかでかと「Smoking Kills」とか「Smoking causes lung cancer」とか書いてあった。それに加えて、煙草への税金が異常に高く、一箱900円から1,000円である。当然本数は減った。あまり買いたくないので、日本からやってくる友人から買ってもらう煙草を大切に吸っていた。でもやめない。先ほどのように、減っても一日一本は吸わないと、体に悪いんじゃないかなどと愚かなことを考える始末だ。

一方、アイルランドでは今年の夏から公共の場での喫煙が一切禁止となった。注目の的はパブである。喫煙者が煙草を吸わずに酒を飲めるかという問題だ。売上減を恐れて一部抵抗するパブもあったようだが、当局は徹底を迫ったようだ。でも、外に出ればまだ吸える。正念場は冬だと言われている。アイルランドの冬は寒いのである。

そしてつい先日EUから出されたパッケージ規制案。この地味なブログで初めて掲げた写真がそのサンプルである。欧州にて発売される煙草のパッケージにはこうしたどぎつい写真を掲示しなさいということだ。これはたくさんある写真サンプルの1つで、実はもっときついのもある。興味ある方はこちらをどうぞ。

決め手は何だ
さて、これでスペインのアミーゴは煙草をやめるだろうか? ここで見たネガティブ・キャンペーンには大きく3つある。

①税金で煙草の値段を上げる
②公共施設での喫煙を制限する
③煙草の健康に対する悪影響を周知する

欧州委の煙草パッケージは体験出来なかったが、この3つは経験した。それなりの効果はあったが、結局最後のハードルが越えられない。減るけど止めるに至らないのである。私の場合、最後のとどめは日本で打たれた。

マナーに訴える日本
日本のFuji Rock Festivalに出演して帰ってきたイギリスのバンドがインタビューで「あいつら変だぜ、携帯用の灰皿持って煙草吸ってるんだぜ」と、日本人の喫煙文化を不思議がっていたのが思い出される。イギリスでは屋内は禁煙であるものの、煙草のポイ捨ては結構平気である。そこからすると、灰皿を持ち歩いて煙草を吸う日本人というのは、実に妙だ。

しかし、最近は携帯灰皿を持ち歩く人もあまり見ない。それもそのはず、携帯灰皿が活躍する歩きタバコが条例で禁止されてしまったのである。仕事柄、大手町近辺を徘徊することが多いのだが、ここ千代田区も例に漏れず、歩きタバコが禁止されてしまった。クライアントとのヘビーなミーティングの前にはやはりニコチンをぐっと補給して望みたいのがスモーカーというものだが、駅から客先まで歩く間に煙草が吸えない!! しまいには大手町の喫煙スポットをすべて記憶するに至ったが、やっぱり不便このうえないのである。

条例で禁止されてないエリアでも、どうも喫煙所以外では煙草が吸いにくい。住んでいるマンションの外で吸っていても、窓が「びしっ」とか音を立てて閉まるのを聞くと、「果て、これは煙草が原因か?」と考えざるを得ない。結局、煙草を吸う喜びを、煙草を吸う精神的苦しみが上回ってしまったのである。

そして禁煙
ということで、日本のマナーアップ作戦によってe-Tetsuは禁煙に至った。欧州と日本のネガティブ・キャンペーンの違いは、働きかけの対象が個人であるか社会であるかにありそうだ。欧州は、どちらかというと、「煙草吸うと金かかるぞ」、とか「煙草吸うと癌になるぞ」と自己責任へ訴えかける。一方で日本は社会全体に働きかけて、喫煙者を包み込む恐るべき作戦である。「その煙草の火がほかの子供に当たりますよ」とか、「ポイ捨てのゴミは環境にとても悪いんですよ」と、喫煙の反社会性を強調する。喫煙者は、喫煙自体が反社会的行為であると感じざるを得ないのである。もはや自己責任に留まらないのだ。

いや~参りました。しかし、禁煙はできたものの、世の中から美味しい食べ物がある日忽然と消失してしまったような寂しさが残ります。

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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
えっ?うそ?ほんと? (manutd04)
2004-11-05 00:29:09
いやー、おめでとうございます。禁煙ですか。e-Tetsuさんが禁煙できるとは思っておりやせんでした・・・めでたい、めでたい。



でも確かに日本は愛煙家の方々には住みにくい社会を持っているかもしれませんね。タバコがOKの喫茶店なんか行くと店入った途端に真っ白だったりするもんね。それだけ、みなさん迫害されているわけで・・・
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今のところうそでもない (e-Tetsu)
2004-11-05 01:13:08
が、禁煙の勝負どころは「3」がつく時だそうで、3日、3週間、3ヶ月と言われております。それまでは夢のなかで灰皿一杯タバコを吸ったり、恐ろしい目にいろいろ合うそうです
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Unknown (大田原牛)
2004-11-06 18:14:52
小遣い節約で良いではないですか。

浮いたお金で大田原牛でも食べに行きますか?
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タバコ止めたくらいじゃ。。。 (e-Tetsu)
2004-11-07 00:59:10
確かに小遣い節約になるけど、タバコ止めたくらいじゃ大田原牛は食えないんじゃないかい? 
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禁煙10年になります (Pina)
2004-11-20 17:07:52
禁煙成功おめでとうございます。

私は10年ほど前に禁煙しました。きっかけは、ある人の死に直面したときです。その人の病気とタバコは関係ないのですが、命の大事さをあらためて噛み締めました。食生活や睡眠時間など他にも改めることはあるのですが:)、とりあえず寿命を縮めることがわかっているタバコはやめようと。結局その人は、運良く命は助かったのですが、煙の誘惑があるときにはその人を思い出して我慢し、早10年になります。

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参考資料 (参考資料)
2005-07-02 19:50:23
たばこに関する警告表示等各国別比較

http://www.health-net.or.jp/tobacco/oversea/ov951000.html



外国のタバコパッケージ警告表示

http://www.pat.hi-ho.ne.jp/ten250/biyou/eu.html



たばこ 変わる警告表示 写真や絵でわかりやすく

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/life/li391001.htm



禁煙教育用フォトアルバム

http://photos.yahoo.co.jp/phnetwork



食の安全とタバコ

http://www.pierre-matsuo.com/foundation.html



タバコの弊害と敵の正体

http://media.excite.co.jp/News/weekly/040113/topics_p03.html
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はじめまして (ノースモーキング)
2006-04-17 22:38:01
はじめまして。

世界の禁煙事情とても為になります。

イタリア式禁煙方法を紹介しています。

よければ、遊びに来てくださいね。
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