保険マーケティング大学校(IMU)ブログ Writing by花田敬 

1.たった1回の名刺交換からビジネスに展開する売れるしくみ作り
2.保険営業成功のノウハウ

「葉っぱビジネス」

2007年08月06日 11時28分08秒 | その他
●ものの見方一つで資源や市場は生まれる●
葉っぱがお札に変わるユニークな

70歳以上のおばあさんが年収1,000万円!

ビズレポート2007年8月号
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徳島空港からクルマで約1時間半。標高差の大きい山間部にある人口わず
か2000人余の上勝町。うち65歳以上の住民が45%を超える典型的な寒
村高齢の町である。この町では実に約180人もの人々が、「葉っぱ」を売って
暮らしている。抗がん効果のある高価な薬草、ではない。マツやモミジ、ナ
ンテンにアジサイなど、ちょっとした田舎ならどこにでもあるものだ。などと
書くと「狐か狸が化ける昔話か」と一笑に付されるかもしれない。しかも葉
っぱを売っているほとんどが70歳以上のおばあさんとなると、ますますアヤ
シイ作り話に思えてくる。無理もないだろう。

何せそんなビジネスが成り立つなど、当の上勝町の人たち自身が夢にも
思っていなかったからだ。
仕事は実に単純。売れそうな葉っぱを庭先や裏山の木から採っては、
発砲スチロールトレーにパックしてJA(農協)に持ち込むだけ。体への負担
が少ないので高齢者にはうってつけの仕事だ。
おじいさんおばあさんの小遣い稼ぎの内職かと思われるかもしれないが、
どうしてどうして、中には年間1,000万円以上を稼ぐ人もいるという。

加えてほとんどが年金生活者ということになるから、収入はさらに上積みされる。
その上、たいがいがローンの心配のない持ち家暮らしだから、実質的な可処
分所得は上場企業の部長クラスをも凌かもしれない。 
いったいおばあさんたちが出荷した葉っぱはどこにいくのだろうか。そもそ
も庭先や裏山で採った葉っぱを買ってくれる市場など、あるのだろうか――

あるのである。和食などで料理の彩りとして添えられる、いわゆる「ツマモノ」
が、それだ。 もともとツマモノ用の葉は料理人自身が野山に分け入って採集
するもの。しかも料理人のセンスを磨く修行として行わせるものがほとんど
であった。だが最近では料理学校などを経由して料理人になるケースが増え、
料理人が野山に分け入ることは少なくなっていた。加えて外食産業の伸展により、
従来なら料亭など高級店で取り入れていたこだわりの盛り付けを、チェーン店
などが差別化の一環として取り入れるようになり、ツマモノや器、盛り付けなど、
見た目も重視するようになった。

そこに目をつけたのが、この「葉っぱビジネス」の発案者で上勝町の第三セ
クター「㈱いろどり」の代表取締役を務める横石知二氏である。いろどりで
は上勝町内の契約者からこのツマモノ向けの葉や枝、花などを提供してもら
い、JAを通じて出荷、全国の青果市場を通じ飲食店に届けられる。年間売
上高は約2億円5,000万円。商品ラインナップの充実、品質アップ、市場ニー
ズのくみ上げなどを積み重ね、売り上げは年々右肩上がりに伸びている。
むろん当初は横石氏自身も、葉っぱが金になるなどとは露にも思っていな
かった。

料理の葉っぱを見て「かわいい!」と言った都会の女性

1979年。徳島の農業大学を卒業した横石氏は若き農業指導員としてJAに
入所。新たな作物の柱を探していた。当時、上勝町の主力商品はみかんと
米と木材。しかし木材はすでに輸入材に押され、林業は風前の灯だった。米
もみかんも需要はだぶつき気味で、台風等の影響も大きかった。
とりわけ81年に起こった異常寒波はみかん木が枯死するという事態を引き
起こし、町に大打撃を与えた。そんな折、横石氏は出張先の大阪
で入ったすし屋でひらめきを受ける。

たまたま同席した女性客が、葉っぱのツマモノを見て「かわいい」
と喜んだのだ。「そんなものは町の山にいくらでもある。でも環境
が違えば、そういうニーズがあるんだな。これはいける!と
ひらめいた」町へ飛んで帰った横石氏は、さっそく農家にそのアイデアを話した。
しかし「頭おかしくなったか」と誰も相手にしない。
一番きつかったのは、「そのあたりに落ちているものを売るなど、恥ずかし
いみじめな行為だ」と言われたことだという。
「町の人にそういう考えがあるとは思わなかった」

散々だった初出荷

そこで横石氏は、農家の人々を引き連れ東京や大阪の料亭を巡り、実際に
使われているツマモノをその目で確かめてもらった。そしてようやく数人の協
力者を得て、初出荷にこぎつける。だが買い手はつかなかった。
「ユーザーのニーズをまったく考えていなかったんです。料理人がどんなポイ
ントで葉っぱを使うのか知らなかった。こちらが使えそうな葉を集めては、
見栄えも気にせず送っただけ」 そこで横石氏は、京都や大阪、徳島
などの料亭を訪ねては板場の料理人に「どんな葉ならいいのか」と聞いた。だ
が料理人たちの口は固かった。

ならばと、実際に客として通い、料理を注文して、葉っぱがどのように
使われているかをノートに細かく書き込み続けた。「2年以上通いましたか。
給料全部つぎ込んで。貯金をはたいて。そりゃ使ったよ。挙句に通風になりまし
た」それでも料亭通いは止めなかった。通風で体が痺れて車椅子で通った
こともある。
そんな姿についに根負けしたある料亭の料理人が、板場に案内した。実際
の料理を参考に、どんな葉をどう使うか、その時何がポイントになるかなど、
長年の秘伝を丁寧に教えてくれた。横石氏はそのデータから「売れる葉
っぱ」のポイントをイラスト化し、契約農家に配った。また出荷時のパッキン
グについても、見栄えを良くするためのポイントをまとめ、配布した。さらに
料理人を講師に呼んでは、どこにポイントを置いているなどについての実地
の講習会を催した。

「料理人が何を求めているか、そりゃ徹底的に追求しましたわ」
やがてマーケットニーズを捉えたいろどりの葉っぱは、高級料亭のツマモ
ノとして認知度を上げていく。契約農家もどんどん増えた。
収入が減っても現金化を優先。高齢生産者のニーズを反映
経営の現場では今、競争相手の多い「血塗られた市場=レッドオーシャン」
から「手付かずの市場=ブルーオーシャン」を目指せというフランスの指南
書が話題を呼んでいるが、新たな市場を開拓するためには、販路の開拓が鍵
を握ることが多い。ツマモノ用の葉っぱという新たな市場を開拓した横石氏
にとっても同じだ。

当初は大都市圏の料亭やホテルなどに直接持ちかけて、
開拓していったが、やがて青果市場を通した販売に切り替える。
 「市場を通すと8.5%の手数料がかかるが、現金化までのスパンが短い。
多少金額は低くなっても現金化が早いほうが農家のためになると考えた」か
らだ。もともと年金でもそこそこ暮らせる人たちばかりということもあるが、
高齢者なので、いつ何があるか分からない。手形などはありえないし、
そもそも生産者のほとんどが手形や小切手とは縁のない人ばかりだ。

もちろん現金化したとしても、そのほとんどが子供や孫に回る。
「自分で稼いだお金を子供や孫に渡すことができる。それで喜んでもらえ
る。こんなうれしいことはない」とおばあさんたちは、しわをくしゃくしゃに
して笑う。

IT時代に対応した「スピード」 

なぜいろどりは強いのか。それは既述したマーケティングの上手さに加え、
スピードがあることだ。その一つがIT化だ。いろどりでは91年に契約農家
にFAXを導入させ、それまでは電話での注文だったものから、文字で確認
できるようにした。さらに99年にはパソコンを使ったLANシステムを導入。
出荷者はパソコン画面で市況を確認でき、自分が出荷した葉っぱがその日
のうちに、いくらになるのかも分かるようになった。こうしたIT環境の
整備で急な注文にも対応できるようになる。 緊急の注文は、朝10時半
から11時ぐらいにFAXで各農家に個数、種類を記したリストとして流される。

各生産者は自分の対応力を考慮し、諾否を判断する。受ける場合はすぐ
携帯電話でJAに連絡し、必要分を収穫しパッキングして、JAまで出向
いて届ける。タイムリミットは午後1時。揃った葉っぱは、空輸されその
日の夕方には大阪や東京の市場へ届き、その日の夜の料理を彩る。

 「ものすごいスピードです。この仕組みと皆さんのモチベーションがこの事
業を伸ばした」(横石氏)
年寄りだからパソコンが使えない、
携帯電話ができない。
年寄りだから、田舎だからおっとりしている…。

巷間に伝わる「世間の常識」は上勝町では偏見に過ぎない。
「みな自立していますよ。市況を自分で判断し、どんな葉っぱをどのくらい出し
たらいいか自分で考える。人気のある葉っぱは奪い合いですから、競争原理
も働き、みな切磋琢磨する。それがまた刺激になる」(横石氏)

それは契約農家の言葉にも現れている。その一人、菖蒲増喜子さんは言う。
「これまで草なんて邪魔だと思っとったけど(笑)、いまじゃあれも売れる、こ
れも売れるんじゃないかと楽しくて仕方がない。テレビのドラマや料理番組
も見方が変わってきた。あの色がいいとか、ああいう使い方ができるとか。

自然とか環境も大事やなと思うようになったわね」
いろどりが創り出した新たな価値いろどりの事業は町全体にもさまざ
まな波及効果を与えた。以前はみかんや米などわずか数品目だった作物が、
いろどりの発足前後から多様化、現在数十種類にまで増加した。農家の人々
にチャレンジ精神が宿った結果だ。町の予算にも余裕が生まれ、町は活気付
いた。I ターン・Uターンで上勝町に住み着いた人は120人以上にも上る。
医療福祉も変化した。上勝町の75歳以上の人口比率は24%と徳島県下1
位であるが、その医療費は県下最高額の自治体と比べ、一人当たり20万円も
低い。

自然や環境保全に対する意識も高まった。同町ではごみを34種類にまで
徹底分別、2020年度までにゴミゼロの町を実現するという。徳島県下一小
さい町ながら、平成の大合併の波にも呑まれない。
葉っぱをお金に変えるという、奇想天外なビジネス。しかし成功のポイン
トは決して奇異ではない。都会と田舎という環境ギャップが生み出す付加価
値を捉え、その市場を徹底的に分析しただけだ。一方生産者に対しては競争
原理を導入し、売れる商品づくりと速さを徹底させた。きわめてまともなビ
ジネス論理だ。

葉っぱビジネスの草案者の横石氏は地元では大黒様と称される。その横石
氏は言う。「この商売がんがんやればいいかというとそうじゃないと思う。
そこはライブドアの堀江さんやコムスンの折口さんなんかと違う。
選りすぐりだけを相手にする商売ではないから。やはり地域全体が潤う
ことを考えないといけない。もっとうまい方法があるのは知ってます。
ただそれはやってはいけないと思う。そこは事業家としての弱さ
かもしれない。でもそのやり方がいいか悪いかは、ここの上勝のおばあさん
たちの笑顔が証明しています」やれるからやる。でもやってはいけ
ないことはやらない。

いろどりはこれからの日本社会のビジネスの
ありかたを教えてくれる気がする。

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2 コメント

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Unknown (後藤)
2007-08-10 01:54:51
先日、テレビで放送されてましたね。
横石さんは素晴らしい方ですね。
誰もが気づきそうで気づかない、目の付け所がいいです。
しかもその裏には、大変な市場調査を徹底してやっている。
山間部の田舎でなければ出来ないことを、これ程までに上手くやられると、あっぱれと言うしかないですね。

私の生まれ育ったところも同じようなところです。
あと20年もすれば年寄りだらけです。
地方の再生は、農業の再生以外には考えられません。
これからますます食糧の自給が大きな問題となります。
農業をどう再構築するか、第二・第三の横石さんが現れることを祈ります。
うつ病 (うつ病)
2009-04-28 17:43:49
なんて素敵なことでしょうね!また、遊びにきます!

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