弁護士川原俊明のブログ

川原総合法律事務所の弁護士活動日記

国際離婚で、子どもを国外に奪うな

2009-07-15 21:15:19 | 日記・コラム
最近、国際結婚が増えています。
それに比例するように国際離婚も増加の一途をたどっています。
 日本で、外国籍の女性と婚姻し、子供をもうけたものの、婚姻生活が破綻し、たため、母親が、子どもを連れて、母国に帰ってしまったケースがあります。
 
日本国内に子どもがいる限り、たとえ外国籍の母親が、子どもを不当に父親から引き離したとしても、刑法や人身保護法など、日本の法律により、それなりに対応することが可能です。
 しかし、裁判権の及ばない外国に子どもを連れ去られた場合、他方の親が、果たして子どもを日本に連れ戻すことができるのでしょうか。
 最近の事例では、夫と不仲になった妻が、子どもを連れてそのまま母国に戻ってしまったため、父親は、子どもと生き別れ状態になったケースがあります。

 夫婦が不仲でも、互いの親は、子どもとは血縁関係にあります。
親が、子どもと会える(面接交渉権)のは、人間として当然の権利です。
 たとえ、国境を異にしても、親が子どもに会う権利を奪ってはいけません。
 
この問題では、日本側に問題がありそうです。

1980年(昭和55年)、ハーグ条約というのが制定されました。
この条約は、加盟国間において、親による国際的な子どもの連れ出し行為に対して、迅速な子どもの返還を請求できることになっています。
日本が、この条約を批准(承認)し、国内法を整備すれば、一方的に連れ去られた子どもの返還が可能になるのです。
欧米を中心として、すでに、世界の80か国近くが批准し、条約加盟国になっています。
先進国ではほとんど加入しています。
国際離婚して、日本に子どもを連れ帰る日本人妻が多く、現に、カナダやアメリカから、条約を批准していない日本が批判を浴びています。
どうも、アジア系の国々が加盟しておらず、人権感覚の後進性を疑われています。
日本が加盟すれば、逆に、外国に子どもを連れ去られた場合でも、ハーグ条約によって、加盟国に対し、この引き渡しを求めることが可能になるのです。

都議会議員選挙の後、国会審議が止まっています。
国会議員は、法律の制定改廃が仕事でしょう。
いくら、総理大臣の問責決議が参議院で可決され、衆議院議員選挙が近いからといって、国会議員たるもの、国会審議を放置するのは、無責任すぎます。
多くの大事な法案が、廃案になりそうです。
馬鹿げています。
日本は、ますます国際社会から取り残されそうです。
野党の民主党も、いくら政権交代の可能性が大だとしても、国の政治は、与野党が協力して、粛々と動かすべきでしょう。



弁護士法人 川原総合法律事務所   
弁護士 川 原 俊 明 
ホームページ http://www.e-bengo.com 

 

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9 コメント

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Unknown (Unknown)
2009-07-17 09:03:37
日本で生活した方が、子供にとって良いと仰っているのでしょうか。

10年程前の話だが、日本で数年生活したアフロアメリカの男性が、日本人に「ここでは差別がないから、米州より安全に生活出来るだろう」と話掛けたところ、その代わり自由もないと言って帰国しました。

国際社会に精通すれば、日本がどれ程生活しづらい社会か痛感するのだろう。
高度な法律を論じる前に、車道・歩道・緩衝地帯など、基礎の社会インフラ整備をするのが最低限の条件だろう。

未だにバリアフリーの意味も分からない自治体が多過ぎるのも先進国とは思えなない。
官製談合が話題になっているが、地方警察の癒着も腐敗しきっているし、政府関係の出先機関などは殆ど機能していないのだろう。
よく暴動、デモが起こらないと不思議でならない。
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Unknown (Unknown)
2009-07-17 09:53:24
離婚をさせない努力をしなサイ
法律も制度も社会整備も日本は最悪デス
せめて英語くらい話しなサイ
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Unknown (Unknown)
2009-07-17 10:01:33
山口組系と住吉会系の殺し合い
裁判員制度の除外申請
ダニ同士の諍いで裁判員に危害が
及ぶってどういう理屈?
ダニ如きに報復されるようなら
制度自体要らないだろ
せめて裁判員に覆面&マントで前身を
隠し思う存分生殺与奪を楽しませては
どうか
死刑宣告は全国民が水戸黄門よろしく
喜ぶ判決である
社会に害するダニは全滅させるべし
一匹残らず死刑だ
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Unknown (Unknown)
2009-07-17 13:51:40
後世に伝えたい漫画ランキングだって
漫画自体後世に残すもんでもないだろ
こんなくだらないランキングをする国
ってどんだけ低レベルなんだ
マスコミも読者も脳みその欠片もない
のか
せめて解説のための本なら分からない
でもないが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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Unknown (Unknown)
2009-07-17 13:56:15
50代、60代の登山ツアーって
殺人ツアーじゃないのか?
メディカルチェックすらしてなさ
そうだね
亡くなられた方への追悼?いや
世間に迷惑掛けるなよ
もしかして自殺志願者ツアーだった
んじゃねーの?
聞いててヘドが出るニュースだった
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Unknown (Unknown)
2009-07-17 14:03:13
小泉独りよがりうんざり劇場終幕後
阿倍演劇・・・1年 丸投げ
福田演劇・・・1年 丸投げ
麻生演劇・・・1年任期ギリギリ解散
麻生の顔がまともに見える
こりゃ相当重傷じゃ
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う~ん。。。 (000)
2009-07-26 02:02:53
ハーグ条約にも時と場合があると思う。
と、とある方を知って思いました。
その方は元夫にとても理不尽な裁判を何度も普通の生活が送れないほど起こされて、やっと日本に逃げ帰ることができた方です。
そういう方に対して日本は何もしないのに、非難のため自分の国に自分の子供を連れて逃げ帰ることが悪いことですか?子供が会うことを嫌がっても会うことを強制させることが本当に子供のためといえるのでしょうか?

>親が子どもに会う権利を奪ってはいけません。

ただ単純にそのことだけを考えると、もっともな制度だと思いますけど、それだけではダメだと思う。
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Unknown ( )
2009-10-02 00:07:17
外国人の親から子供を奪い日本に連れていく日本人の親も国際的問題になっています。
そのことについても触れてよかったのではないでしょうか。
日本がハーグ条約に加入すれば、この問題も解決へと向かいます。
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Unknown (Unknown)
2010-03-19 13:20:55
アメリカ人との結婚の場合ですが、結婚してもそんなに簡単に外国人はアメリカの市民権はとれません。単に結婚ビザでアメリカに居る間に離婚したら、アメリカでは働けません。両親両方が子供に会う権利といいつつ、現実には、外国人である妻が一方的に子供を置いて去るか、子供を日本に連れ帰ってくるかの選択肢しかないのです。相手の浮気が原因で離婚しても、子供を置いてくるしかない立場がどれほどくやしく屈辱的かわかりますか。
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