政府・与党は27日、社会保険庁改革の焦点となっている年金保険料の強制徴収業務を、全国に9カ所ある厚生労働省の地方組織「厚生局」(地方厚生局)で行うことについて検討を始めた。現在、社保庁で強制徴収業務にあたっている職員を厚生局に異動させることで対応する考え。強制徴収は公権力行使にあたるため、社保庁解体後の非公務員型新組織では手続き上の制約が多いうえ、国税庁に業務委託する案も、税と保険料の性格が大きく異なることから困難と判断した。
悪質な保険料未納者の資産を差し押さえる強制徴収業務は、公権力の行使のため国で行っており、現在は社保庁の地方組織「社会保険事務所」が徴収業務の一環として実施している。
地方厚生局での実施の検討に入ったのは、全国に散らばる未納者宅での強制徴収を行う「実動部隊」は地域ごとに配置された組織を活用する方が効率的なため。
地方厚生局は麻薬取締業務のほか、健康保険組合や厚生年金基金の監督といった健康福祉業務を行っており、「年金の強制徴収業務が加わっても受け入れられやすい」(自民党幹部)という利点もある。
ただ、年金加入者は人口が集中する大都市部に偏っているため、都市部での業務が多忙になることが予想されるが、関東信越厚生局が東京都を含め1都9県を所管するなど調整が必要な部分も残っている。
強制徴収業務をめぐっては、社保庁解体後の非公務員型新組織で行う案も検討されてきたが、非公務員型組織が強制徴収業務を行うには厚生労働相の決裁が必要で、申請から決裁までには時間もかかるなど手続きが煩雑。手続きの間に未納者が預金を隠すといった弊害も予想される。また、国税庁に担わせる「歳入庁」案も、税と保険料では徴収対象者数が大きく異なることなどから見送ることになった。
政府・与党は、年金特別会計の管理業務も含め国に移管する業務範囲を整理し、今国会に提出中の社保庁組織改革法案を廃案にした上で、来年の通常国会に新法案を再提出する考えだ。
(11/28 10:35)(産業経済新聞社・産經・サンケイ)
悪質な保険料未納者の資産を差し押さえる強制徴収業務は、公権力の行使のため国で行っており、現在は社保庁の地方組織「社会保険事務所」が徴収業務の一環として実施している。
地方厚生局での実施の検討に入ったのは、全国に散らばる未納者宅での強制徴収を行う「実動部隊」は地域ごとに配置された組織を活用する方が効率的なため。
地方厚生局は麻薬取締業務のほか、健康保険組合や厚生年金基金の監督といった健康福祉業務を行っており、「年金の強制徴収業務が加わっても受け入れられやすい」(自民党幹部)という利点もある。
ただ、年金加入者は人口が集中する大都市部に偏っているため、都市部での業務が多忙になることが予想されるが、関東信越厚生局が東京都を含め1都9県を所管するなど調整が必要な部分も残っている。
強制徴収業務をめぐっては、社保庁解体後の非公務員型新組織で行う案も検討されてきたが、非公務員型組織が強制徴収業務を行うには厚生労働相の決裁が必要で、申請から決裁までには時間もかかるなど手続きが煩雑。手続きの間に未納者が預金を隠すといった弊害も予想される。また、国税庁に担わせる「歳入庁」案も、税と保険料では徴収対象者数が大きく異なることなどから見送ることになった。
政府・与党は、年金特別会計の管理業務も含め国に移管する業務範囲を整理し、今国会に提出中の社保庁組織改革法案を廃案にした上で、来年の通常国会に新法案を再提出する考えだ。
(11/28 10:35)(産業経済新聞社・産經・サンケイ)