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「理想的な淡水水槽」 7. 水槽の設計とデコレーション


デュプラメソッド「理想的な淡水水槽」

7. 水槽の設計とデコレーション


多くの読者は自分の家にどのような水槽を作るべきか、既に頭を悩ませているだろう。水槽に底砂や水、魚などを入れる前に綿密にプランを立てておかなければならない。

先に述べた通り、本書ではフタなどで上部が覆われていないオープンアクアリウムを「理想的な水槽」の基準としている。熱帯の雰囲気を水槽や室内に表現できるのは、オープンアクアリウムだけだからである。オープンアクアリウムであれば何にも邪魔されることなく水槽の中を覗き込めるだけでなく、水面に浮かぶ植物を観察したり、水上に咲く美しい花に驚嘆の声をあげたりすることが可能なのだ。また魚たちをより身近に感じることができ、さらに給餌やガラス掃除などのメンテナンスを簡単にいつでも行うことができる。

タンガニーカ湖やマラウィ湖のシクリッドを専門に飼育する人たちの水槽は、これらの湖の水景を模倣したもので、そこに水草が植えられることはあまりない。しかしこれは自然下で見られる風景や光の印象を水槽内に再現しているのであって、自然の生態系を水槽内に再現しようとするものではない。

マレーシアなどで見られる、いわゆる「ブラックウォーターの小川」のような特殊な環境の水を水槽内に再現することは不可能である。例えばpH4.4、導電率18μSといった特殊な値を示す下記の表のデータを水槽内でそのまま再現しようとすれば、まだよく知られていない有機酸などによって必ず未知の問題に直面する。自然のデータをむりやり再現した水は、魚や水草にとって好ましくないものとなるのだ。このような問題を解決するために、我々は9章で水道水を水槽に適した水にする正しい方法を述べたいと思う。

水槽は特有の法則を有する人工の生態系であり、それは永遠に変わらない。これをふまえた上で、我々は本書で素晴らしい、そして魚や水草にとって「理想的な」水槽とはどういうものかを紹介する。使用する水道水の水質など自分では選ぶことが出来ない条件の下であっても、現代の技術を活用すればすべてのアクアリアナーが「理想的な水槽」を作ることが可能である。

自然の淡水域で見られる生態系は非常に美しく見るものを感動させるが、一方でそこに暮らす生物については観察することが困難であるという理由もあり、水槽でその生態系を完璧に再現しようと考える人は少ない。人工的な生態系において、水槽を設計するのは人である。従って設計段階から、水槽を構成するあらゆる要素が、自然が許容する範囲を決して超えることの無いよう十分に考慮しなければならない。

既に述べてきた内容に従い、我々はおもちゃのダイバーや宝箱などの意味を持たない装飾品を水槽に入れるという行為を一切否定する。なぜなら我々は、手許にある十分に選び抜かれたイクイップメントのみを活用して「理想的な淡水水槽」を作ることが十分可能なのだから。



マレーシアのBukit Merah付近を流れる
ブラックウォーターをたたえた小川



Duplaによる小川の水質分析(Bukit Merah)




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