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「理想的な淡水水槽」 7.1. 熱帯の生態系


デュプラメソッド理想的な淡水水槽」

7.1. 熱帯の生態系


自然の生態系を観察することは、我々が水槽の中の栄養素や有機物質の存在について知るためには非常に役立つが、水槽の美しさを演出するためには不向きな面がある。というのも、一般的にアクアリアナーは水晶のように澄んだ水と、美しく育つ水草の両方を同時に望むからだ。素晴らしい成長を見せる植物を、生命体ではない石や流木のようなデコレーションを使って作り上げた水中風景ときちんと整合させられるのであれば、自然の生態系の観察を行う必要はない。さらに我々は、次のような事実も自分たちの目で確認している。我々は何度もタイ南部にあるCryptocoryne(クリプトコリネ)が自生する素晴らしい生態系を訪れ、数ヶ所での調査を行った。しかし水草は5種類しか発見できず、しかもその中の1つは3.5mもの葉を持つCrinum Thaianum(クリヌム・タイアナム)だった。つまり自然界においては、理想的な水槽のように常に水草が密な状態で存在するわけでもないし、標準的な大きさの水槽に植える植物としてはまったく不向きなものもあるということだ。

我々は水槽に入れる水草を世界中、例えば南米やタイ、インド、中国、アフリカなどの産地から自由に選択し、自分の水槽に植えることができる。しかし水槽に適した水草が選択されていない場合や、誤った配置・植栽方法がなされている場合には、それがいかに美しい水草であっても、「理想的な水槽」にとってまったく無意味なものとなってしまう。また適切な配置や植栽が施されていても、その水草が健康に成長できずにいたり、あるいは何らかの環境要因によって苦しんでいては、これもまた無意味である。つまり、水草にとって最適な環境を水槽内に整えることが、「理想的な水槽」のデコレーションを行う際に欠かすことの出来ない最も重要な前提条件なのである。


下の写真はすべて熱帯地方の小川で撮影された水中写真である。ある地域の自然の生態系は、水槽内の水景をデザインする際に何の手本にもならないことを、これらの写真がはっきりと示している。水槽内の水草の多様性は、自然界では決して見ることが出来ない。水草は自然界では1ヶ所に1種類、多くてもせいぜい3種類程度しか分布していないのである。

 
タイ南部の泥沼のような小川の中の
Cryptocoryne siamensis(クリプトコリネ・シアメンシス)




タイ南部の小川で、枯死した植物の残骸に
埋もれるようにして成長するCryptocoryne cordata
(クリプトコリネ・コルダータ)



 
上記のCryptocoryneと同じ場所で見られたBlyxa(ブリクサ)の仲間



Cryptocoryneが自生する小川の中の様子



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