デュプラメソッド「理想的な淡水水槽」
7.2.1. 水槽のデコレーション
「理想的な水槽」を作る際に基本的な前提となるのは、豊富な種類の水草を用いた美しい水景デザインと、その水草の健康な成長である。もちろんこの「理想的な水槽」のための前提が受け入れられないという意見もある。彼らは我々がレイアウトを作る時にひな壇を利用する密植スタイルの水槽をけなすこともある。しかしこの「密植反対者」達の水槽をよく見てみると、大抵の場合我々を感激させるような出来ではない。かつて2~3種類の水草が入れられていたこれらの水槽を数年後に見てみると、1種類の水草しか残っていなかったというようなこともあった。
今日我々の「理想的な水槽」は、あらゆる熱帯性水草のほとんどに対応することができ、かつそれらを水槽のデコレーションとして、また同時にろ過機能の一部として完全に利用できるまでになっている。
水槽のレイアウトを決定する前に、もう一度下記の重要事項を確認しておくことを勧める。
●水槽に直射日光が当たらないこと(窓際への設置は避ける)
●水槽は高さより横幅があるものを選ぶ
●適切な照明が備えられる水槽であること
次に生命体ではない各種デコレーションについてについて述べる。まず第一に、水槽を眺める際に常に目に入る水槽の背面=後ろの壁のことを忘れないようにしたい。水槽背面の壁をデコレーションによって隠すには、次の2つの方法がある。
1. 水槽外部から
これは背面の壁を隠すために、水槽外部から水槽背面ガラスに遮蔽物を取り付ける方法である。材料としては黒色、あるいは水草の写真が印刷されたバックシートやコルクボード、植物をあしらった木製ボードなどがある。これらをガラス面から離して設置すれば、水槽内のある一定の深さまで光を届かせることもできる。しかしこの方法にはひとつの致命的な弱点がある。すなわち水槽背面のガラスにつく藻やコケである。特に大型水槽においては水槽背面のガラスの清掃は非常に厄介で、藻やコケを完璧に落とすことは難しい。藻やコケが背面ガラスに付着すると、その後ろのデコレーションは少しづつずつ姿を消していくことになる。
2. 水槽内部から
この方法は今日まで際立った効果を見せており、自然な起伏を再現したスタイロフォームなどでできた板を背面ガラスの手前に無造作に立てかけておけば、十分実用に耐えるものとなる。しかしスタイロフォームは水に浮いてしまうため、何かに固定しなければならない。このような素材のバックウォールには穴を開けることもできるため、ウィローモスやジャワモスなどを活着させるのも容易だ。このバックウォールは、水中に沈めて時間が経過すればするほど水槽に馴染み、コケを目立たなくしてくれる。また火山岩で作られたバックウォールも、昔から水槽背面のデコレーションに素晴らしい貢献をしてきた。これらの火山岩はシリコンで接着して、形を整えて使用する。さらにこのバックウォールとオーク、パイン、マングローブ材などの流木とを組み合わせると、さらに自然な景観を水槽内に作り出すことができる。火山岩を市販のシリコンで接着した場合、水の中に入れられるようになるまでには約3時間を要する。もし2日から3日の余裕があれば、とても美しく堅牢な火山岩製バックウォールを製作することができる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/c6/a6ce69493b875e6f444c2a94f6b82534.jpg)
水槽の設備からレイアウトまですべてが緻密にデザインされた理想的な水槽の
成功例。左は様々な形の葉を持つ水草が巧みに配置されている。
右はAmmania gracilis(アマニア・グラキリス)の赤を効果的に使ったレイアウト。
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