四百参拾参日目

働いてません。失業、無職と言ってもいい状態。
多分、来月後半からはボチボチ復職できそうな気もするけど
どうにもわからない。

今回の震災はやっぱりとてつもない。
世の中の歯車ごと破壊してしまったもの。

だからこうして末端にいる人間は
１ヶ月以上、職を失う状態になってしまっているのだから。

でも仕事もなく、お金もなくなってくると
いい意味で自分のなかで変化が起き始めてきた。

外食ばかりをやめて自炊を始めた。
コンビニにゴミを捨てなくなってきた。
なのに、部屋のなかが片付いてきた。
ボランティアに関心が沸いてきた。

世間一般からすれば、ほとんどなにもしてないに等しいけど
今できる自分の精一杯はこの程度にしかならない。

仕事を始めたらまたすぐに戻ってしまうかもしれないけど
戻らないようにコントロールしていきたいと思う。

四百参拾弐日目

震災から２週間近く過ぎて
ガソリンスタンドの長い行列は解消したけど
納豆はまだ買えないし、仕事の連絡も全くなくて
かなり暇になっている。

ちょっと本気で転職しようにも
今この時期にまともに取り合うような会社なんてないし
大体、通常であっても転職できそうな会社なんてない。

中途半端にシナリオを書いてきて
中途半端に映像の特殊な仕事を１０年以上も続けてきたからしょうがない。


ひとごとならそれで済むが
実際、当事者としてかなり焦るものがある。

少しでも食費を削ろうと
かなり久々に野菜をきって自炊をしている。

これまでの浪費癖も改めていかないとならない。


もしかしたら、これが後々にいい結果につながるんじゃないか？
なんてことになりゃいいけど、とりあえすマイルドに焦ってます。

四百参拾壱日目

計画停電、昼間なら家にいてもいいけど
夜間はこれどうしようもないくらいたまらんものがある。

今朝は派遣元から休みの指示が出てたけど
なんかわからんが出勤時間に目が覚めた。

なんとなく胸騒ぎがしてた。

案の定、派遣先から電話があり
休みの指示について話すと折り返すとのこと。

慌てて派遣元に問い合わせると行けとの指示に変更。

大急ぎでバイクに乗っていくと現場から電話があり
やっぱり今日は来なくていいとのこと。

ふざけんな。

派遣元に問い合わせると
派遣先から言われたことをただ流しただけで不備はないの一点張り。

もともと今日は派遣元の社長と会う予定だったから
とりあえず会社へ昼頃に向かう。

会社に行くとのっけから
「何しに来たんだ」と社長はやたらに構えている。
とにもかくにも余裕がまるでない様子。

今朝のことを話題にすると
こっちはなにも悪くない
現場とコンタクトを取らなかったお前が悪い
とあっさりキレた。

おいおい、会社から休みの指示が出てるのに
何故、現場に問い合わせにゃならないんだよ？

ただ、もう話になりそうもないので
失業保険の確認だけしてさっさと切り上げた。

全くもってアテにできない会社。

強く再認識して震災以来の再開をしたジムに行く。

計画停電、節電のため
うす暗いなかそれなりに汗を流し
お風呂に水がないシャワーのみのうすら寒さを我慢して帰る。

ただ、どうも思ったほど我慢が苦にならない。

こういう節制は性にあってるのかもしれない。

四百参拾日目

きのう街を少しで歩いて
パチンコ屋がふつうにやってて外から見る限り客もいて
まったくどうしようもない連中だ
なんて思いながら見慣れた日常に少しホッとした。

が、今日は違った。

ガソリンスタンドがやたら混んでる。
安いセルフでもないのに行列が出来てる。

おかしいなと思いながらバイクで買い物をして
そろそろガソリンでも入れようかと思ってスタンドに行くと
行列はさらに伸びている。

なんだこりゃ。

近くのスタンドはみんなすごい行列。
少し離れたスタンドはなんとガソリンが売り切れ。

スーパーに行くと卵、牛乳、納豆が軒並み空っぽ。

コンビニで配送車が搬入すると
ミネラルウォーターが飛ぶように売れていく。

パニックだ。

しかも明日から計画停電なるものが実施される。
日中と夜間、結構の時間が停電になるらしい。
だけど23区の荒川区以外は首都機能を守るため除外されている。

こりゃあ、もう血で血を洗うような事態になりかねん。


とにかくもう早く寝よう。

四百弐拾九日目

きのう、去年の10月の値上げ前に買いだめていた
10カートンのタバコがなくなった。

親父が倒れてからまったくしてなかったゲームを久々に買った。

自宅にバイクで戻ってくると地面が揺れた。
近くの人が次々に飛び出してきた。

おさまって部屋に戻ると
炊飯器が冷蔵庫のうえから落ちて壊れているのと
ルンバがパニクって動いているだけだった。

テレビをつけるとフジテレビではお台場で火事が起きました
なんてしょぼい映像を流してるもんだから少し安心したけど

また、大きく揺れた。

ＮＨＫに回してみるとものすごい津波が町をまるごと呑み込んでいた。


悪夢だ。


あわてて実家に電話をするも携帯がまったくつながらない。
コンビニに行って固定電話を借りるも同じ。

バイクで実家に向かう。
主要道路は異常な渋滞、電車は全線停止。

迂回しながらどうにか実家に着くも誰もいない。

鍵を開けてなかに入り犬に餌をやる。
室内は思ったほど乱れはないが仏間の額縁が落ちて
額のガラスが割れて散乱していた。

ガラスを片づけてお袋に電話をするもやっぱりダメ。
だけどダメもとでかけていたらつながった。

無事の様子でタクシーを捕まえたらしい。

ほっとしてコンビニに遅い夕食を買いに行く。
夜の９時で弁当類はほとんどなく、唯一あった鍋焼きうどんを買う。

実家に戻り、うどんを食べて
11時をだいぶ回ってお袋が無事帰宅。

翌日仕事だったので自宅にバイクで帰る。
主要道路は渋滞してそうなので裏道を使う。
こっちはそれほど混んでいない。

自宅に戻り布団に入るが寒すぎて靴下をこの冬はじめて履いて寝る。


あまり眠れず、朝方職場の社員から電話が鳴る。

今日はお休みに変更される。


なにもかもがガラガラと音を立てて崩れ落ちる。

四百弐拾八日目

実家の親父の新しい液晶テレビをもらうことになりました。

倒れる前に選んであげて親父はほとんど見ていません。
どうにももったいなく引き取ることにしました。

輸送はヤマトに集荷依頼をかけて梱包からやってもらうことにしました。
時間指定は今日のお昼の１２時から３時。

午前中に実家に行ってオイヌの散歩がてら
昼食の弁当を買いに行くとお袋から電話が鳴りました。

１２時前に着いちゃったみたいでお袋は軽くパニック。
慌てて帰るともう積み終えていました。

この野郎、早く着くならちゃんと電話しやがれ、とは言わず
ご苦労様と見送りました。

あまりに早く片づいたので髪を切りに行きました。

やたら髪の量を軽くしたがる親父でした。
そこそこ上手かったけどもう行くかはわからない。

夕方６時に今あるテレビを買い取る業者を待っていました。
はっきり言って３千円くらいで売れればいいなんてはじめは思っていました。
だけど電話で１万越えですと言われすこし浮かれてました。

が、６時を回っても来やしない。
電話もつながらない。ホームページも文字化けしてる。

なにぃぃぃぃ。まさかのバックれ。


仕方なくネットで別の業者に電話すると
１万８千円で９時頃買い取りに伺いますとのこと。

じゃあ、それで。と９時頃待っていると
バックれ業者から電話があり、忘れてましたと言われました。

もう二度と電話もしないけど丁重に対応してやりました。

９時ちょうどにあとに頼んだ業者がやってきて
つけっぱなしのテレビを見て
ついてるね、持ってくねと
なんの梱包もせず３２インチの液晶をかついで持って行きました。

世のリサイクルと名のつく商売には気をつけようと思った１日。

四百弐拾七日目

昨日、親父の病院を移った。
今までの病院に比べれば設備もスタッフも申し分ない。
入院期間をうるさく言うこともないらしい。

非のつけどころがまるでなく
夢のような病院に入れて
お袋は舞い上がり
親父がベッドから落ちたと電話を受けて
ショックで一晩寝れなかった。

不安と希望が目まぐるしく入れ替わり
お袋の負担は増していくばかり。

黙って見守ることしかできない。