ドンドンこにしの備忘録

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「地を這う虫」 高村 薫読了!

2016年03月16日 17時11分09秒 | 作家 た行
地を這う虫 (文春文庫) 2016.3.16読了。
高村 薫(著)

「人生の大きさは悔しさの大きさで計るんだ」。拍手は遠い。喝采とも無縁だ。めざすは密やかな達成感。克明な観察メモから連続空き巣事件の真相に迫る守衛の奮戦をたどる表題作ほか、代議士のお抱え運転手、サラ金の取り立て屋など、日陰にありながら矜持を保ち続ける男たちの、敗れざる物語です。深い余韻をご堪能ください。


「愁訴の花」、「巡り逢う人びと」、「父が来た道」、「地を這う虫」の四編からなる短編集。主人公はそれぞれ元刑事だが、今は他の職業に就き漠然とした虚無感を抱いている。ふとしたことをきっかけとして、元刑事の過去が目覚め、それにより普段は人に見せないプライドみたいなものが垣間見られる。しかし目前の事象を受け入れ地道に生きていくしかない現実の前には、そのプライドも一瞬のまぼろしでしかない。地味な短編集だが、一編一編が鈍く光るような重みを持つ。「地を這う虫」のラストが特にいい。…6.5点。


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