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フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

Practice4. 退屈な事業の話

2017年11月16日 | Design&3DCG

 画像は、京都の都心に立地する商業・居住機能をもった複合建築の3DCG。蛸錦プロジェクトができあがった。最初に文化系リーマンの関心が高い、そして退屈な事業の話を片付けちゃいますか。

プランニングの施設規模概要は以下の通り。

 敷地面積:14,375㎡、商業用途(1,2F):17,107.2㎡(1,2F)、居住用途(3-6F):マンション様式:20,528㎡(屋外廊下、専用庭・階段室/EV・機械室を除く)、町屋(18棟):1555㎡(敷地面積)、地下駐車場:11,108㎡(336台)、階段室/EV・機械室廊下棟の共用部分が約3,000㎡、延床面積 53,298㎡(370%)。ここは商業用地500%だから、容積が余るですね。共用廊下が屋外だから床面積には算入する必要がないことで、レンタブル比がすこぶる高い。各マンションタイプは、床面積最大200㎡/戸〜80㎡で約150戸と現代の平均住戸規模をはるかに上回る・・・そんな仕様だ。これから人口減収化社会なのだから、ゆったり都心暮しをしようというわけだ。ここまで算出すると事業収支ができる。

 事業収支試算では、京都市都心地下公示価格が105万/㎡で4億弱で購入、建設工事は地下以外に大きな構造がないのが平均建設費100万円/坪とすると総工事費113億円。設計料4億(わての取り分か(笑))をいれて、さらに土地の取得税、既存建築の解体工事、工事中金利を入れて、117億円の投資。資金は金利5%で全額借り入れ。資金回収面では、総戸数150戸の分譲価格が平均5,000万円で売却し75億の収入。商業は賃貸事業とし残り45億の保証金が6.8億、残りは賃料収入で長期回収。このあたりの賃料相場が1万円/坪。運営費は維持管理費を入れて減価償却込みで試算とすると、投下資本の回収は9年度目で事業成立、つまり事業化可能という結論になる。

 そういえば、そんな事業収支計算を大学時代に学部生達に教えていた。何しろ工学系だから電卓使わないで億の単位を暗算する猛者もいてぶったまげたけど、最後にexcelの事業収支計算書ファイルをさしあげて、これに幾つかの数値をいれれば即結果が出るよね、という懐かしい時代があった。

 さて、こうした事業で難しいのは、将来への見通しと地権者の事柄である。将来への見通しは数理的なブログラムを使うほかないが、地権者の事柄は地上げ屋さんに期待するほかない。

 事業構造が簡単な民間企業による住宅開発ベースで考えると、一番難しいのは1街区には多数の土地所有や賃貸の地権者がいるでしよう。それらを一筆にまとめられるのに土地購入資金が必要。実際にそれをやるのは地上げ屋さんなのだけど、東京都心などでは1街区あたり30億から40億で土地を一筆にまとめて購入し、10%位の利益を確保しながら、ディベロッパーへ売却、ディベさんは100億で36階建ての分譲マンションをつくると、1戸あたりの販売額が億という単位にならざるを得ない。つまり億ションをつくりたくてつくっているわけではなく、土地価格が高く、狭く、高層化せざるを得ず、従って建設費は高く、といった悪循環の事業構造から億ションにならざるを得ないのが東京都心部の事業構造でしょうかね。

 

ハードウェアmac pro,ソフトウェアVue Infinite2016R3

 

 

 

 

 

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