gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

IgA腎炎 張琪氏漢方治療3 加味理血湯による血尿治療2(腎病漢方治療227報)

2014-01-06 00:15:00 | IgA腎炎 漢方

患者:呉某 18歳 男性

初診年月日200581

病歴

患者は顕微鏡的血尿1年余、治療は無効、ハルピン市某病院で腎生検を受けIgA腎病(局所性増殖を伴う)と診断された。

症状:咽頭痛、全身乏力、手足心熱、頭昏、肢軟無力、舌紅無苔、脈細やや数。尿沈渣RBC3050/HP、(2030/HPの時もあり反復して消えない)、尿蛋白(+~2+)、血圧130/80mmHg.

中医弁証:尿血(腎陰兼気虚)

西医診断IgA腎病

治法:補腎固渋を主として、清熱涼血、化瘀止血を補佐とする。

方薬加味理血湯

熟地黄25g 山茱萸20g 山薬20g 茯苓15g 牡丹皮15g 澤瀉15g 知母15g 黄柏15g 亀板滋陰潜陽、益腎健骨、養血補心)20g 女貞子20g 旱蓮草20g 側柏葉20g 血余炭止血散瘀、補陰利尿)15g 黄耆30g 党参20g

水煎服用、毎日1剤、2回に分服する。

(付記:熟地黄から始まり黄柏までは知柏地黄丸の組成です。亀板、女貞子、旱蓮草は養陰剤になりますが旱蓮草には止血作用もあり、側柏葉。血余炭と協調します。黄耆と人参(党参 太子参など)の組み合わせは典型的な益気剤となります。)

二診

服薬14剤、血尿は明らかに減少し、腰酸症状軽減、乏力、自汗、舌淡紅、苔薄白、脈弦数。尿ルーチン検査:潜血(2+)、沈渣RBC810/HP。患者の扁桃腺は腫大し、血尿発作再発と熱毒(上感)に関連がある。上方を基礎に、益気、清熱利咽の品を加え、更に14剤後、尿検査は陰性となり、諸症は消失した。

方薬:

海螵蛸20g 茜草20g 竜骨20g 牡蠣20g 白頭翁15g 白芍20g 側柏葉20g 小薊30g 血余炭20g 地楡炭20g 三七(化瘀止血 活血定痛)10g 赤石脂渋腸止瀉、止血)20g 孩儿茶(清熱 生津 止血)15g 焦山梔子15g 黄芩15g 甘草15g 黄耆30g 太子参25g 白花蛇舌草30g 土茯苓50g 貫衆(清熱解毒 止血殺虫)20g 山豆根(清熱解毒 利咽散腫)15g 天花粉(瓜蔞根に同じ、清熱生津 消腫排膿)15g

水煎服用、毎日1剤、2回に分服する。

ドクター康仁の印象

二診の方薬で、前案での加味理血湯の配合が出現してきました。前案では、竜骨20g 牡蠣20g 海螵蛸(烏賊骨に同じ、収斂止血、固精止帯、収温斂瘡、制酸止痛)20g 茜草(涼血化瘀止血)20g 熟地黄25g 山薬30g 阿膠(養血止血 養陰潤肺)15g 知母15g 黄柏15g 白芍15g 牡丹皮(清熱涼血 活血祛瘀)15g 白頭翁(清熱解毒涼血)15g 焦山梔子(清熱解毒 止血)10g 甘草15gの配合でした。

本案で目立つのは、黄耆、太子参の益気健脾、白花蛇舌草、山豆根、天花粉の清熱利咽の組み合わせでしょうか。土茯苓、貫衆の清熱解毒剤が追加されているのはやや弁病的な考え方からでしょう。

止血方として、小薊、血余炭、地楡炭、三七が加味されています。

あれ?熟地黄は本案では初診時方薬には配伍されていますが、二診の方薬には配伍されていませんね。理由は不明です。

20141月6日()