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経済学の勉強に挑戦-2-

2010-03-14 06:41:00 | 経済学
 飯田泰之氏を中心に「経済学っぽくいこう」という記事が出ていておもしろいです。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090810/202159/

 私もちょっとこの辺の本で勉強してみたいと思います。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090810/202140/
  経済学っぽく社会を考える、勉強本リストはこれだ!

 さてこれらの記事によると、経済学というのはいわゆる文系学問の中では異端児で、「経済学的な言論が流布している場所と、いわゆる論壇とか言論の場所が切断していた」のだそうです。
 なるほど経済学というものは、むしろ私のような理系分野の人間と相性がいいのかも知れません。これらの記事にも色々とうなづくことが述べられています。

・仮に数式であれば、多少の訓練で誰もが「追試」することができますよね。
・価値論争しないことが、経済学のテーブルに「まあ、座ろう」ということ
・エコノミストに求められているのは金融危機への効果的な対処法を論じることであって、予言ではないのです。
  (むむ、地震学者に当てはめると・・・・)
・正しく蓄積された経験に理論が勝つことはない。しかし多くの場合、経験や記憶というのはどうもあてにならない。
  (自然科学の常識から言うと、正しく経験を蓄積するにはそれなりの訓練が必要だし、正しい経験か否かを第三者が評価できることも必要)

 人の思いというものはひとまず脇に置いて事実を調べるという姿勢が、私には好ましく感じられるのですね。でもそれは社会学や歴史学も同じようにも思いますがどうなのでしょうか。

 以下は私が現在思っている理系のための経済学の理解の仕方です。

 経済学と言っても多くのテーマがありますが、例えば、ミクロ経済、一国のマクロ経済、国際経済、経済成長論があります。ミクロ経済一国のマクロ経済の違いは、熱力学でいう開放系閉鎖系の違いと見ると理解しやすいと思います。ミクロで対象となるひとつの家計とか企業とかの経済主体は、周囲の経済環境(熱力学でいう熱浴に相当)と金銭のやり取りをして自分の利益のために行動する、というのがミクロ経済における仮定です。そして各主体は出入りする通貨量に応じて赤字になったり黒字になったりします。それに対して一国のマクロ経済は国際収支を無視すれば閉鎖系であり、国内での消費と生産は一致します
 例えば「不況対策」と言ってもミクロにおいて個々の主体がどうやって不況という外部環境の中で生き残るかという対策と、マクロにおいて閉鎖系内の環境そのものをどう変えていくかという対策とはまるで違うわけです。ミクロには節約して出血しないようにするべきですが、マクロではどーんと景気対策に金をつぎ込むのも効果的、といった具合ですね。
 またミクロ経済では、自分の利益のために行動する個々の経済主体が多数いる場合に何が起きるかということを研究します。アダムスミスの見えざる神の手がどう働くのかを解明しようとするわけです。しかし一国のマクロ経済では「政府」という巨大なプレイヤーが存在します。この巨大なプレイヤーの行動の影響を調べること、そして、ある影響を得るために必要な行動を巨大なプレイヤーに進言すること、がケインズ経済学に代表されるマクロ経済学の目的と言えましょう。
 しかしグローバル化の進んだ現代では一国が閉鎖系とはとても言えません国際経済の中では一国内の政府のような巨大プレイヤーは存在しません。という状況で何が起きるかを調べるのが国際経済とか貿易論とかいうものなのでしょう。
 そして経済成長論というものがあります。これはダイアン・コイル『ソウルフルな経済学』インターシフト(2008/12)での主題(というか私が個人的には最も実証的だと思った部分)でもありますが、一国の成長はどんな要因で決まるのかということを探求するものです。実証的であるだけに、このテーマでは定説ができていて、成長に必要な要因は3つ。Education, Education and Education ・・・、いや3割ほど冗談ですが、挙げているのは、教育、研究、イノベーション、経済の構造的柔軟性、制度の質です(p93)。
 経済成長論は貧困の克服と不可分の関係にあるもので、アマルティア セン『貧困の克服(集英社新書)』ではもう少し具体的に、人的資本充実となる教育と基礎医療、制度の質としての公平性・透明性・自由・民主主義などを挙げています。民主主義の欠如は成長そのものには必ずしも阻害条件ではないけれど、いざ経済危機という時には社会的弱者への被害を補償されにくくし、傷を深めてしまう、天災や戦争の場合と同様に、という趣旨が述べられています。


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