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デザイン系デッサンクラスの課外授業的なブログ

西洋的なデッサンと東洋的なデッサン2

2017-05-25 09:22:37 | 日記
前略、

おはようございます。

前回は陰影による立体感を重視する西洋的なデッサンについて書きました。

今回は線描が特徴的な日本画のデッサンについて書いていきたいと思います。

その前に、「絵」とは何でしょうか?

定義は様々ですが、2次元平面上のビジュアル表現であることは確かですね。2次元の紙、キャンバスあるいはアニメーションなどもペタンコの媒体の上に形なりが記されているわけです。

そして多くの場合、形は線で描かれてきました。








これは1万5000年前にクロマニョン人によって描かれたラスコー洞窟(フランス)の壁画です。
アルタミラ洞窟壁画(スペイン)と並んで大昔の人間の描いた絵として大変有名です。

現存する最古の絵はショーヴェ壁画(フランス)↓で3万2000年前のものと推定されています。





どれも線描ですね。
線描の内側に彩色や毛の模様が描かれています。

もう一度良く見て下さい。
どれも相当卓越した画力です。
線描による動物の骨格表現も優れているし、彩色によって動物の筋肉の表情や毛並まで表現できています。これは只者ではありません、ネアンデルタール人!

陰影による立体表現が明確に確立するのはルネサンス期以降のことで、絵は主に線を基本に表現されてきました。歴史的に見れば、一般的にイメージされる学校で教わるデッサンはかなり近年のブームだと言えなくもありません。

さて日本画家那須勝哉の描くデッサン(素描)を見てみましょう。





前回の安井曾太郎のデッサンとは明らかに違いがあります。

光源(スポットライト)がありません。

まっ暗い部屋の中で、あるいは目を閉じて物に触ったとしても形を感じることができるように、皮膚の繊細な凹凸を描いている様にも見えます。
安井曾太郎のデッサンがハグした時の身体の塊を表現しているとすれば、那須勝哉は表面を指先で撫でる様なデッサンです。

皮膚の繊細な凹凸ーつまり「質感」ですね。

質感といっても多様です。文字通り材質感も質感ですが、性格を性質と呼んだり、クオリティも質と言ったりします。

「都市の質」なんて言ったりします。

話は跳びますが、映画「君の名は」で描かれる都市風景が異様に美しいと批評家の東浩紀が話していたのが印象的でした。これまで都会という場所はゴミゴミして薄汚いイメージで描かれてきたが、山手線の高架もコンビニで働く退屈な風景ですらやたらにキラキラ輝き美化されていると。現実味が欠如しファンタジーとして都市が描かれると批判しています。

(c)Tabichannel.com

キラキラ輝く都市の質感。
実風景より汚かろうと美化されていようと質感は映画の世界観としてのリアリティを鑑賞者に与え、映画の内容を演出します。

私たちは様々な質に囲まれて生きています。そして質の描き方はある種感情表現にも繋がるということではないでしょうか?


ちなみに、安井曾太郎と那須勝哉の絵画作品はこういう絵です↓

安井曾太郎



那須勝哉



表現のベクトルが違いますが、それぞれに固有のリアリティ=質が感じられます。

「塊として感じる質」と「表面に宿る質」、西洋と東洋の存在に対する思想の違いを反映しているのかもしれません。



さてデッサンの基本手順は、

①構図を収める
②モチーフの形を捉える
③リアリティを出す

でした。

③のリアリティとはつまり「質」のことです。

その要素としては、
色、立体感、陰影、表面、細部、模様、空間、空気感など…無限です。
全てが質だと言っても過言ではありません。

それを自在に描くことで豊かなデザイン表現を生み出すことができるのです。

是非日々の生活の中で様々な質を感じて、質という視点からものを観る癖をつけて下さい。そこで発見したことをデザイン表現のアイデアにどんどん繋げていって下さい!!

草々


追伸、明日の授業のデッサンのクオリティ期待しています。。





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