dessin letters

デザイン系デッサンクラスの課外授業的なブログ

西洋的なデッサンと東洋的なデッサン

2017-05-24 13:22:04 | 日記
前略、
はじめまして。

まだ3回目の課題ですが、学生さんのデッサンがどんどん良くなってきています。初心者の方が多いのですが、そうとは思えないレベルにすでになりつつあります。

普通初心者はモチーフを画用紙に収めることも難しいはずなのですが、早くもバランス良い構図がとれるようになってきました。特に今回の課題は最初の30分位で力強く構図が取れていて非常に驚きました。この調子で精度を上げていきましょう!

何度も言いますが、デッサンに正解(良い悪い等の絶対的な価値観)はありません。デッサンはクリエイターになるための1ツールです。ツールとしての皆さんの「手」がより自由に動き、より思い通りに出力できることが最も大切なことです。そこからさらにセンスと表現の幅をどんどん拡げて欲しいと思います。

では、前回授業で説明した西洋的なデッサンと東洋的な素描の差異について再度。

油絵の巨匠安井曾太郎の木炭デッサンと日本画家那須勝哉の素描を紹介しました。

西洋的なデッサンは陰影による立体表現、東洋的な素描は線描が特徴的です。

一般的にデッサンはいわゆるアカデミックな石膏デッサンや静物デッサンのような陰影表現だと思われていますが、元来は輪郭線で描くことを意味しています。デッサンdessinの語源はラテン語のdesignare=線を引く、らしいです。またデザインdesignの語源にもなっています。

偶然授業後の某お宝鑑定番組で安井曾太郎の20号サイズ位の油絵が500万円の評価額をつけていました。19歳から26歳の欧州留学から帰国した安井は10年ものスランプに陥りますが、その原因の1つがヨーロッパと日本の光の違いだったそうです。


授業で少し触れましたが、西洋的デッサンの立体表現は文字通り「見たまま」描いているわけではありません。実は絵の世界の中でリアリティを演出しています。つまり「誇張」しているわけです。初心者がデッサンで一番戸惑うところかもしれません。

見た目はこんなに黒くないのに、黒く描かなければならないの?







安井曾太郎の人体ヌードのデッサンを見ると全体に黒っぽく見えます。実際こんなに暗い場所で描いていたのでしょうか?

これは立体感を演出するために絵の中で陰影を強めているのだと考えられます。

授業ではスポットライトでモチーフを照らしてみました。最も立体感を出すには暗い中で一方向からスポットを当ててやることです。
例えるなら安井曾太郎もスポットライトを想定して描いているのです。













いかがでしょうか?

この様に光の当て方や強さで見た目にかなり違いがあります。この感じの違いを是非覚えておいて下さい!

「陰影による立体感を強めるには光と陰のコントラストを上げる→「見た目」より陰が黒くなる」

デッサンのトーンも自分の目的や好みに合わせて使いこなせると良いかと思います。


草々


追伸、次回は、東洋的な素描、線的な素描について書きたいと思います。




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