久々に、父(前回掲載分参照)の近況でも。
たかが7メートル、されど7メートル・・・・・・。
現在父は、リハビリをしながら駐車場管理の仕事をしています。
自身の意地でしょうか、変なプライドでしょうか、麻痺が残る右腕、
左目が見えないことをなるべく悟られないように隠しながら周囲と接しています。
なので、健常者と同じ扱い、同じ労働をすることが多々あるので肉体的に負担がかかるのも事実です。
私的には正直に全てをさらけ出せば、周りの人達も少なからずともいたわってくれると思うのですが、
そういうのが大嫌いなようです。
父らしい・・・・・・。
利き手の右腕が麻痺ということで、書くことと、お箸を使うことが一番苦労したと言います。
けれど負けず嫌いで常に前向きな父は、リハビリに励み、
完全ではありませんが何とか克服することができました。
今では手を震わしながらですが、ゆっくりと書くことができるようになり、
お箸も普通レベルまで使いこなすことができるようになりました。
けれど・・・・・・どうしてもひとつだけ、なかなか克服できない目標があるのです。
そう、・・・・・・投げることなのです。
孫とキャッチボールをする!と心に決め、孫が野球を始めると同時に始めた右腕のリハビリ。
少しでも重さに慣れようと、常に硬球を握ってリハビリに臨んでる父がいました。
周りからは、「今更野球?ええ年して無理無理・・・」とか、
「その腕でキャッチボールなんてありえんやろ・・・・・・」とか、
散々な言われようでしたが、本人は全く諦めていませんでした。
そして一年半が経過、
今回やっと・・・・・・やっと、7メートルですが投げることができました。
ほんの数年前までは、ユニホームを着てグランドを走り回る父の姿がありました。
そんな父が、今は7メートル。
ぎこちなく投げる後ろ姿を見て、涙が出そうになりました。
「10メートル投げれるまでは孫とキャッチボールせん!なめられるわっ」と豪語してる父。
父らしい・・・・・・。
そんな父の姿を見て、野球を習っている全ての子供たちへどうしても伝えたいことがあります。
投げること、打つこと、走ること、捕ること・・・・・・。
当たり前のことができることに心から感謝し、
野球ができる環境を与えてくれている親や周りの人達に感謝してください。
そして、野球が大好きなら簡単に諦めないでください。
こんな一人の爺さんでも、キャッチボールができる日を夢見て頑張っています。
7メートル投げれるのに一年半という歳月がかかりましたが、全く諦める様子もありません。
視界は曇っている父ですが、気持ちに曇りは一切ありませんでした。
これからの子供達には、挫折、苦悩、誘惑、葛藤・・・・・・、
色々な局面に出くわしたとしても簡単に答えを出さないでほしい。
立場は違えども、一歩一歩コツコツと頑張っていれば道は開けます。
そしてもうひとつ・・・・・・、
日々の練習の中で、全ての一球を大事にしてください。
父が一度のリハビリで投げることができるのは、せいぜい10球程度です。
一度麻痺した右腕です、肩から上に腕を上げオーバースローで投げることの難しさ、
体力の消費量は想像以上だと言います。
なので父にとっての一球は、かけがえの無い大切な一球であり、魂のこもった渾身の一球でもあるのです。
そんな父を間近で見たからこそ、子供達には全ての一球を無駄にしてほしくないと心から思うのです。
キャッチボールの一球、ノックの一球、フリーバッティングの一球・・・・・・。
一球を大事にしていれば、いつかきっと大事な場面で野球の神様が微笑んでくれると思います。
そんな父のリハビリ用の硬球は、手あかで真っ黒です。
一日も早く父に、そして全ての野球小僧に、野球の神様が微笑んでくれますように・・・・・・。
私は勿論のこと、甥っ子も父に厳しく鍛えられました。よくバッティングピッチャーをしてくれたのですが、私の時だけ剛速球を投げられた記憶が蘇ります(笑)おかげで甥っ子も高校三年間野球をまっとうすることができました。現在はグランドに顔を出すのも難しい状況ですが、代わりにオオパパから買ってもらったファーストミットを忘れることなくグランドに持って行っている息子がいます。・・・今はライトですが(笑)
お祖父ちゃんサマも日頃の体調の変化には十分注意して、充実した日々を送ってください。ほんと健康が一番ですよね!