BIGスロットル

実は、当初上手くいかなかった話。。。

Z33 VQ35HRへBIGスロットルを入れた話。
DAYTONAでは初めての装着(全国でも2例目)でしたが、特に難しいことも無いと考えていました。 同じようにBIGスロットル屋さんも「吸気量学習したら良いだけです」と言っていましたので、本当に簡単に考えていました。


写真の通り 純正60Φ BIGスロットル62Φ
たった2mmと思う方も多いでしょうが、、、、 

何が大変なのか? 

取り付け自体はとても簡単 ネジ4本+ホース2本×2
30分もあれば左右交換できます。 簡単簡単

楽勝モードでエンジン始動!
すると・・・

ブ~~~~ワン ブ~~~~~~~ワンッ

と それはそれは考えられないくらいハンチングします。

Z33フェアレディZはアイドリング調整を電子スロットル本体で行っています。
そして、そのスロットル径を2mm大きくしましたので、当然吸気量は上がります。 まあ、それが狙いの部品ですので当然と言えば当然です。
そうなりますと、アイドリング状態でも吸気量が上がります。 つまりはアイドリングが高くなります。 
どれぐらい高いかといいますと、2000rpmオーバー・・・
「これはおかしいぞ」と車側がアイドリングを下げようとします。 結果、ハンチングが起こります。 1200~2200rpmを行ったり来たりしています。

吸気量学習をさせて、アイドリングを安定させるといいのですが、
さすがにデイトナ自慢のスキャンツールも今回ばかりは役に立ちません。
なぜなら、ある程度はアイドリングを安定させないと、車に問題があるとECUが判断して初期学習ができないのです。

さすがに困って、スロットルメーカーにTEL
「う~ん うちも1台だけしか実績がないので、、、 うちは○△(やり方を説明してくれて)で行いました。 その後コンサルト(日産の診断ツール)処理をしました。 それとコンサルトⅢ(日産の最新スキャンツール)がないと出来ません。 何とかがんばってください」と。。。

確かにコンサルトⅢは処理能力が早い(コンサルトⅡの17倍の処理スピード)ので、もしかしたら何とかなるかもと日産へ行くが・・・ やはり結果は同じ。 出来ないものは出来ない。
メーカーさんに聞いた○△というやり方 間違いなく1台は、このやり方で成功した訳ですので、○△を100万回くらい行う。
しかし出来ない(泣)

前例がある1台は関東の有名ZショップでECUを製作された車という情報をつかみ、たまたまそのショップさんとデイトナはお取引もありましたので、何か独自のアイドル学習機能でもあるのか聞いてみました。
しかし 返ってきた答えは「う~ん 学習機能等は全て純正と同じです。 力になれなくてスイマセン」と・・・ また振り出しに戻ってしまいました。

これは独自に何か対策を考えないと、まずアイドリングさえしないなと思うようになり相当考え込みました。
現状は吸気量が多いのでハンチングする訳ですので、いろいろと考えて試してみました。
エアクリーナーの目を塞ぐとか。 パイピングを絞るとか。
朝一番に行うとか 暖気後に行うとか  考えられることはある程度実行しました。
しかし制御が出来ない。
実は3日ほど たった「アイドリング学習をさせる」ことも出来ない現実と技術、知識に自分を情けなく たった1人 涙は流していませんが頭を抱え悩みこんでしまいました。 なんだかんだ言いながらも、前例の1号車はオリジナルデータECUも付いていますから点火や燃料MAPがこちらとは異なるわけですので、もしかするとこちらは制御できない可能性もあるとも思うようにもなりました。

4日目位かな?
いくらやっても上手くいかずに、段々と腹も立ち始めてきました(笑)
スロットル屋さんもそれなりに心配してくれて電話くれます「どうしても無理でしたら純正のスロットル送りますが・・・」
この頃になると僕も変な意地が出始めて「いいえ 何とかします」とムキになったりもしました(笑)
考えられる手は打ちました。 普通の方法では何をやっても無理です。 これは誰がやっても同じです。 無理なものは無理
どうして1例目が成功したのかが不思議でなりませんが、コンサルトⅢとか、そういう問題ではなく根本的に無理。
じゃあ普通ではない 何か上手く方法を考えましょう。

吸気量学習をするためにはいくつかのお約束項目があります。
・電気負荷をかけない
・吸気温度制限がある
・水温は7~90度
・ニュートラル(ATならPかN)
・ステアリングは真っ直ぐ
この状態で吸気量学習を行うわけですが、少しでも外れると即学習は中止になります。
そして、恐らく(きちんとした情報、整備案内には記載なし)アイドリングは1000rpm以下で約30秒安定させないといけないわけです。

色々考えると、「ある」ヒントを得ることができました。
調べ物などをして準備に1時間程度かかりましたが、「ある」事を行いエンジンスタート。
2014年8月5日更新

「ある」方法に関する問い合わせが、一般、業者様問わず、とても多く寄せられています。
私達は部品を交換することではなく、技術面でそれをカバーしました。 いまのところ100%成功しています。
しかしながら、電話などでのアドバイスでは、それを説明することは大変困難です。出し惜しみをしているわけではありませんが、本当に説明が困難なのです。
以降、ハンチングに対する解決策は店頭でのみ対応とし、申し訳ありませんが、お電話等での対応はお断りさせていただきます。


2015年10月4日
マニュアルの販売を開始しました。


1100rpm位で安定しています。
もう少し回転を下げたいと、同時に別の事も行い回転は900rpm程度まで落とすことができました。
そこでスキャンツールの出番です。 吸気量学習を行うボタンを押し30秒待ちます。
出来なければ、またイライラするハンチングが待っています。

30秒経過
恐る恐る エンジンをかけなおします。

すると。。。

ボォンッ ボボボボボボボ~  ボ~~~~~~~~

おおっ! 少しアイドリングは高いですが900rpm位で安定しています。
とりあえず「ある」事は成功しました。
が、 またしても軽くハンチングを起こします。
う~む 続けて2回3回と吸気量学習を行い様子を見てみると、アイドリングは700rpm程度で安定しました。 もう誰が見ても普通の状態です。
念のため、その後も3日ほど様子を見ますが、僕の心配しすぎだったようで、その後も順調そのものでした。
試乗も当然行いました。
アイドリングでさえあの豹変ぶりです。 そりゃバリバリ走っていきます。
どちらかというと低中速のパワーが上がったような感じがします。 解りやすく言うと排気量UPの感じですかね。  

そして納車

後日オーナーさんより電話いただきました。
「いや~ 物凄く良くなったよ。 トルクもあるし排気音も変ったね。 ドライブが楽しくなって、意味もなくウロウロしてしまうよ」と感激されてました。
このようなコメントを頂けると、本当に苦労した数日間は笑い話に変わります。
たった2mmに悩まされ、驚かされ、励まされ

「諦めずに成し遂げてよかった」

そう心の底から思う「やまもと」なのでした。



■Z33フェアレディZ BIGスロットル VQ35HR 60φ⇒62φ 左右SET 73,500円(税込) 基本技術料15,750円

■Z33フェアレディZ BIGスロットル VQ35DE 70φ⇒72φ  39,900円(税込) 基本技術料6,300円
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