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『マンガ嫌韓流』(3)vs金英達

2005-09-24 15:56:22 | 嫌韓流・特定アジア
この夏話題の『マンガ嫌韓流』について,当ブログでは

『マンガ嫌韓流』を斬る(1)イメージ操作やめぃ!

『マンガ嫌韓流』を斬る!(2)ねつ造とはいわないけどさ

と題して,(1)韓国・朝鮮人に対して
 粗暴で卑怯で理屈の通じない民族であるという
 イメージを抱かせるステロタイプな描き方をしていて
 見ていて見苦しい。
(2)書かれている事実およびその解釈を鵜呑みにせず,
 これまでの“自虐史観”にウソや矛盾が多いのと同様に,
 この本にもおかしい(意図的に?情報が抜けている)
 ところがあるので,きちんと読んでいく必要がある。

ということを書いてきました。
うけ狙いで「マンガ嫌韓流を斬る!」と題し,文章も同書を
バッシングするような形をとっていますが,
よく読んでいただければわかるように,
竹島問題や日本海名称(東海)問題などで
日本に対する韓国のゆがんだ感情および理不尽な政策が
あらわになってきた今,日本側が韓国に好意を持てば
日韓友好が自然と成り立つというのは大間違いであり,
マスコミで流されているイメージに流されず,
日韓(北も含めて)の歴史と半島の現状を
きちんと勉強しておかなければならないという
問題提起をした意義については評価しています。

マンガ嫌韓流

晋遊舎

ただねぇ…マンガの威力ってのは強烈ですよ。
前の記事で「この本を鵜呑みにする人なんていませんよ」って
コメントをくださった人もいましたが,
絶対,万・十万人単位でいますよ。
だいたい僕からして『ゴーマニズム宣言』に書かれていること
100%信じていますから。
※「関東大震災後の朝鮮人虐殺で警察は朝鮮人を保護した」
 「従軍慰安婦問題,資料が見つかっていない以上
 日本軍主導の強制連行はない」など。
 ただし「首相は靖国に公式参拝すべし」などの
 小林よしのり氏の主張に対して同意するか否かは別問題ですけどね。


イメージの力は強烈ですよ。
まして,戦後の混乱期に戦勝国気取りで非道の限りを尽くされ
竹島問題でも韓国に漁民を殺されたという被害者としての意識を
喚起されたら,「差別はいけない」と思っている人でも
簡単に「朝鮮人は危険だから注意しろ」って意識に転ぶと思います。
※国内が荒んでいたら簡単に暴動が起きて暴行や略奪が起こります。
 大陸の国ではサッカーの試合や何かの記念日くらいで日本領事館や
 日本料理店の打ち壊しが起きてますし,欧米でも人種暴動・移民排斥騒動は
 頻繁に起こっています。それなのに
 日本で起きる暴動といったらせいぜい道頓堀川周辺でごく稀に起きる
 アレくらいのもの(特定の民族・人種・国民が狙い撃ちされることなど全くなし)。
 日本って本当に平和な国です。
 われわれは本当にこの国に生まれたことに感謝すべきっすよ。


だいたい僕自身,
福知山線事故の記事を書いていて
「置き石をするのは朝鮮人の可能性が高い(日本人は理屈に合わない
 便乗犯罪はしない)。朝鮮人は反日教育を受けているから気をつけろ」
とコメントがあったのに対して「レッテル張りをするな」と
猛反論しましたが,
そのたった4ヶ月後,『マンガ嫌韓流』の読後,1ヶ月くらい韓国ネタサイトを見ているだけで今じゃかなり影響されてますから。

理屈では「差別はいけない」ですし,『マンガ嫌韓流』の記事で
バッシングの形をとったのもその流れを受けたものだったのですが,
日頃の自分の言動といったら,

・和田アキ子が在日であることをカミングアウトした
 記事(週刊文春)を読んで「それじゃ,スーパーフリーの
 和田も在日か?」と連想してしまう。

・細木数子がテレビで電話の作法をトクトクと講義している際,
 「“細木数子事務所です”なんて言ったらクビ。
  “でございます”でないといけない」なんて言っておきながら
 模範的な受け答えの実演として
 「細木先生は今,外出されてまして,○時になったら
  戻られます」と,自分に対して敬語を使っているのに対し
 思わずお前は首相か?天皇か?朝鮮人か?!とツッコミを入れてしまう。
 日本なら,身内はたとえ社長でも呼び捨てだろと。

・酒の席で,自分からヨン様来日報道のうっとおしさ,
 あれが在日だらけの仕組まれた混雑騒動だとあげつらってしまったり。

_| ̄|○ |||...。
 
本当に,差別主義者になりそうな自分が恐いですよ。
とにかく,ネットで韓国の卑怯でせこくて傲慢な振る舞いが
毎日尽きることなく出てくるのを見てたら本当にイヤになりますから。
それも「韓国人は・朝鮮人は」という国民性とか民族性じゃなくて
政治家・学者・マスコミらが国家ぐるみで平気でウソをついている
事実に気が滅入ります。

■ともあれこれらはネット情報。
『マンガ嫌韓流』も,もともとはネットで流れている韓国ネタの
寄せ集めと言われていて,いわゆる「ネタ」に食いついて
漫画にしてしまった章もあるとのこと。
同じ「事実」でもその切り取り方,背景のくみ取り方で
解釈がまるで変わってくるわけですし,
文責のはっきりした書物も読んでみる必要があるでしょう。

前の記事のコメントで
「韓国併合に同意した一進会など情報操作され隠されてきた」
「情報操作(封鎖)など全然されていない。探しもしないで不勉強」
というやりとりがあり,個人的には後者の意見をされた
南海仙魚さんの意見がもっともだと思いました
(マスコミの取り上げ方という意味では情報操作は存在するわけ
 ですが,書店や図書館を探して見つからない
 前者意見のたけぞーさんは南海さんが「アジア主義者の左翼」
 と自称された点に過剰に反応されたのかなと思います)
ので,とりあえず既刊の韓国問題関連本を読んで
掘り下げてみようと思いました。

前置き長すぎ!というわけでようやく本文。
『マンガ嫌韓流』の中でも在日問題が大きなウエイトを占めている
ということで,今回は在日朝鮮・韓国人について書かれたこの本を。
   金英達著作集〈3〉在日朝鮮人の歴史
金 英達, 飛田 雄一
明石書店
価格: ¥2,625 (税込。Amazonで送料無料)

在日朝鮮人の帰化・法的地位,創氏改名,強制連行等の研究において優れた研究成果を残した金英達。2000年に死去した彼の,まだ単行本にされていない原稿をまとめた著作集。


著者自身が在日であり(22歳定時制高校在学中に帰化),
基本的には在日の同胞に対して
民族の誇りを持とう,一世の苦労を知ろうというスタンスの本なのですが,
52歳の生涯で膨大な資料を収集して
恣意的な解釈無く正確に資料にあたろうという
著者の真摯な姿勢は安易な反日スタンスの本,
被差別意識をもった在日の本とは一線を画します。
さすが日本でまともな教育を受けた在日の強みですね。
※↑差別発言?!ただし在日の“可能性”として
 「日本社会の良いところを吸収でき本国社会の悪いところを客観視できます」
 「日本は言論・活動の自由が保障されており情報量も豊かです」
 と著者自身が書いています(p.79)。


ではこの本の中から在日強制連行,戦時徴用問題,差別に関する記述を探してみましょう。

・「内地」(明治憲法以前の領土)と「外地」では法体系が異なり,
 内地人が外地人に優越するという差別支配構造をこわさぬため
 地域間の本籍の移動は婚姻や養子縁組の場合を除いて禁止。
 法律には「属地法」と「属人法」があり,たとえば
 属人法である民法の家族・相続編(家族法)は内地・外地を問わず
 朝鮮人には適用されなかった(かわりに朝鮮民事令が適用)。(p.31-33)


このようなことから「日本政府の朝鮮統治のスローガンであった
“一視同仁”“内鮮一体”というのはまったくのまやかしだった」
と結論づけています。

・朝鮮人を日本人化する「同化政策」は朝鮮民族の誇りを
 自覚しないようにして日本の支配に反抗させないため。
 戦争の激化により朝鮮にも徴兵制が実施されるようになると
 「皇民化政策」によって「忠誠を以て君国に報ずる」
 思想教育を徹底するようになった。(p.41-42)

・朝鮮人の戦時動員には当初「募集」,やがて「官斡旋」,
 「徴用」と形態が移り変わっていった。
 この動員の実情は,内務省嘱託の小暮泰用の『復命書』によれば
 「徴用は別としてその他いかなる方式によるも,
  出動は全く拉致同様な状態である。
  もし事前に知らせば皆逃亡するからである。
  そこで夜襲・誘出その他方策を講じて人質的略奪拉致の
  事例が多くなるのである」(p.39)

※『嫌韓流』では内地より朝鮮のほうが徴兵制の開始が遅い点を挙げ,
 日本人よりむしろ朝鮮人のほうが優遇されていたという解釈。

これをもって,「朝鮮人は兵力や労働力として
強制的に動員された」とこの本では書いています。
ただし,

・戦時期に計画的・集団的に内地に動員された男子単身労働者は
 在日朝鮮人コミュニティーとは接触が持てない管理労働下にあり
 家族を形成して日本に定着することはなく,
 解放後すぐに帰国しています。その後日本に居残った
 ごく一部の人を除いて,解放後の在日コリアン社会の
 構成員になることはありませんでした。(p.40)


ともあり,ここから「在日は強制連行の犠牲者」というレトリックは
通用しないことも読み取れます。

この在日コリアンの起源がどこにあったかという点は
諸問題の根源に迫る上で重要な論点なのですが,
いかんせん,終戦直後の混乱期に大量の祖国引揚げ
(45~47年の間に200万人のうち4分の3が引揚げ)やら
朝鮮戦争前後に非合法の逆渡航やらがあるため
把握するのが実は難しいのですが,この本では
明治15年以降の『日本帝国統計年鑑』や内務省警保局統計,
昭和20年・21年の人口調査については都道府県別人口まで
収録し,戦後に関しては帰化や帰還者の動態なども
フォローするなど,各種人口統計資料を掲載,
非常に充実したデータで読者自身がいろいろ検証できる
ようになっています。

ほんの十年ほど前まで定説になっていた「解放時の在日人数
2,365,263人」に根拠がないことを見破り公にする(p123-132)など
データの信憑性をとても重視する著者の態度を,
韓国の捏造マスコミや御用学者にはぜひ見習ってもらいたいものです。

この本は韓国人がどう扱われたかに重点が置かれているため,
実は『マンガ嫌韓流』で書かれている,日韓併合を支持した
“革新与党”・一進会に関する記述はないのです。
かわりに強化統制機関として各都道府県に置かれた
「協和会」の存在やその実態について詳しく,勉強になります。
このほか,在日コリアンの国籍問題や民族団体とその闘争など
それぞれ簡潔かつ綿密に書かれていて,在日コリアンが
日本社会における立場の変遷,今に到る背景というものがよくわかります。

戦後の在日コリアンに関する記述をいくつかあげてみると,

・戦後の日本社会では,戦前からの朝鮮人蔑視意識に加えて
 日本に居残った朝鮮人を邪魔者扱いする激しい排外意識が起こりました。
 この排外意識は就職差別に端的に現れました。
 差別が貧困を呼び,貧困がさらに差別を拡大するという悪循環でした。
 多くが生活保護を受けるようになり,それがまた排外意識を高めました。
 在日コリアンが絶対的貧困から解放されたのは
 日本の高度経済成長が始まって雇用機会が増えた60年代後半からだと
 言ってもよいでしょう。(p.48-50)


※『嫌韓流』では,70年代の朴鐘碩による日立就職差別闘争を
 「差別はなかったのだから韓国国籍を偽らずに
 就職試験を受けていればよかったのに,虚偽記載すれば
 採用取り消しされるのは当然,ばれて訴えるのは逆恨み」という論調。

差別があったかなかったかというのは両者を比べるだけだと
水掛け論になってしまいますが,
履歴書の虚偽記載で採用取り消しになるのは普通は妥当な話で
原告勝訴の判決は確かにすごい話。ただしもし学歴など能力に
関係しそうな項目で偽りが無く,国籍の虚偽1箇所だけでクビに
したのならそれは差別といえないか?という考え方はできます。
国籍を偽って何人も同じ国の外国人がまとまって入ってこられたら恐いけど…。

・本国の韓半島は1947年に分裂して独立国家を建設,
 朝連(49年に解散)は北朝鮮政府を支持し,
 民団(在日本朝鮮居留民団から在日本大韓民国居留民団に改称)は
 韓国政府を支持。本国での対立と同じように,
 朝連と民団は激しい抗争を繰り返し,死傷者も多く出ました。
 この苦い経験は,イデオロギーを超越した南北の統一と
 いうものが,絵空事にすぎないことを証明して余りあります。(p.51-52)


サラッと書いてありますが…コエーの一言。
日本でも過激派が大暴れしたりヤクザの抗争で多くの犠牲を
出した時代がありますし,今の尺度で当時の時代背景を
計るのは問題がないとはいえませんが
…先天的に気が荒い民族なのかなとはちょっと思ってしまいます。
いかんせん,最近のニュースでもいまだに見られる
韓国社会の火病な人々の姿を見ると,つながっているのかなと。

ともあれ,日本人による差別や日本・アメリカ・そして
南北朝鮮政府の政策の“被害者”としての立場から書かれているため
若干割引きしないといけない点もあると思いますが,
日本政府に対する批判や提言など韓国やアメリカに対しても
ほぼ同等な,かなり公平な視点で書かれていますし,
日本人に対しても差別の事実を指摘するだけで
悪口のようなたぐいは全く言及されていません。

『マンガ嫌韓流』を読んで「日本は悪いことをした」と
盲目的に信じてきた認識から解き放たれたという人は,
単純に日本人であることの優越に浸り
安易に韓国人を見下すのではなく,2冊目・3冊目の本を
読んで,いろいろな切り口から日韓問題をとらえてみる
必要があると思います。
※正直,韓国・韓国人の「偉い」「優れている」ところって
 なかなか見つからないんですけどね…。
 在日だと芸能人やプロ野球選手,MKの青木社長みたいに
 パワフルでリスペクトできる人が何人も挙げられるのですが。
 韓国・朝鮮のことで「偉い」「尊敬できる」ことを教えていただけたら
 コメントかTBいただけるとありがたく思います。
 「そんなものはない」の一言だけで済ませるような短絡的な回答はご遠慮ください。
 これまでの記事と同様,この記事に関する率直なご意見・ご感想は歓迎します。


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東京のコリアン・タウン
―枝川物語

江東・在日朝鮮人の歴史を記録する会
樹花舎
国売りたもうことなかれ 論戦2005
櫻井よしこ
ダイヤモンド社
「反日・親北」韓国の暴走
―「韓流ブーム」では
わからない

呉 善花
マンガ中国入門 やっかいな隣人の研究
ジョージ秋山, 黄 文雄
飛鳥新社

枝川問題はねぇ…2ヶ月くらい前だったか,報道ステーションでたまたま見て,劣悪な環境の町ともいえない区画に追いやられて,公共福祉からも見放されて,そして今,学校も取り上げられようとして可哀相に…なんて思ってしまいましたが,金払えと言う行政の態度も当然な話で,このへんはイメージ操作が容易なテレビからの情報だけでは判断できませんわね。

㈱晋遊舎「マンガ嫌韓流」公式サイト

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1 コメント

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逆に、、 (在日3世)
2005-10-06 04:24:21
『2冊目・3冊目の本を読んで,いろいろな切り口から日韓問題をとらえてみる必要があると思います。』←これはまったくそう思います。というか、そうでない人がいるってことがいまだにピンと来ません。

私なぞは逆に、金英達さんなんかがまるで知られていなくて「マンガ嫌韓流」だったりネット的「ネタ」があふれかえって在日とか在日史が把握されている(把握している人は多い)ということのほうに驚いています。世代が違うと言えばそれまでですが。

 そのうえ私は当事者だから当然かもしれませんが、金英達さんをはじめ「在日」がらみのものは高校生のころから読み漁りかれこれ20年がたちます。そうなると嫌韓流どころか日本で出ている「在日」がらみの本に書いていることで知らないことなどほとんどないということになってしまいます。これは大げさではなく、日本で教育を受けてあるていど歳をとった在日はたいてい同じようなレベルです。まあ、少なくとも私の周囲はそうです。

 そういう目から見ると金英達さんなんかも「標準的」な人であって、普通に論述をする人のマナーとして当たり前のことを当たり前の筆致で書いているとしか見ていません。

 なのに『韓国の捏造マスコミや御用学者にはぜひ見習ってもらいたいものです』『正直,韓国・韓国人の「偉い」「優れている」ところってなかなか見つからないんですけどね…。』と書かれているのを見ると驚くのです。その「捏造マスコミ」とか「なかなか見つからない(=ほとんどがどうしようもないやつらだ)」と思わせたのって、何を見ておっしゃったのだろうと、心底興味がわくのです。

 想像がつく部分はあります。80年代に韓国に行くと、そりゃもう、毎回、辟易しましたよ。レベルの低いナショナリズム・極端に夜郎自大・知性の欠如……。でもまあ、後進国は仕方がないなーと我慢しました。まあ、実体験上から言うと、大昔の日本も似たようなところがあったし、戦前の日本人(の田舎の人)なんかモロにそんな感じだったんだろうと想像して大目に見てやろうと思ったものです。

 あれこれ比較して「韓国が嫌い!」と日本人が言うあたり、韓国と日本は知らない間に対等な扱いをされているのだなあ…という感慨も覚えます。

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