KYOTO EXPERIMENT 2013
Marcelo Evelin / Demolition Inc., De repente fica tudo preto de gente
京都芸術センター(講堂)、夜。
床上1メートルくらいの高さに吊るされた蛍光灯で真っ黒い空間が四角く区切られ、その中で全身を真っ黒く塗った5人のパフォーマーが塊になって跳ね回っているのを遠巻きに見たり、ぶつからないように逃げ回ったり。5人の動線は個人の意志で制御されてない感じなので、観客の側が十分注意しなくてはならない。動きが収まったりすると近寄って見る。暴れ出すとまた遠巻きに眺めたり、必要に応じて逃げる、基本的にはその繰り返し。造形としては無機質でクールなのに対して、観客側が「逃げる」動機は「黒いのが服に付いたらイヤだから」という極めてバナルなものなので、そのギャップを意識し始めてしまうと萎えるのだが、黒地に黒でよく見えないから見ようとして「近付く」という動きはそれなりに巧妙に設計されている。5人が床上でグネグネとのたくって移動する辺りなどはやはり近付いて目を凝らさずにはいられない(したがって「逃げる」動きも自ずと準備される)。バラバラに散って観客の中に紛れ込む辺りも巧く行っていて、闇に溶け込んだまま不意に近くに来ていてビックリさせられたりする。にもかかわらずどこか物足りなく感じてしまうのは、出来事の一切が「当たり前」であること(即物性に徹してるといえばそうなのだが)、単純な仕掛けに付き合い続けたくなるようなゲーム性が稀薄なこと、この辺だろうか。実際には蛍光灯でできた「リング」の外に逃げて安全に傍観することもできるようになっていて、もしこれが封じられていたら、しかも「服が汚れるから」ではなく何かもっとリアルな動機で逃げ回るのだったら、さらに深くノレたかも知れない。
Marcelo Evelin / Demolition Inc., De repente fica tudo preto de gente
京都芸術センター(講堂)、夜。
床上1メートルくらいの高さに吊るされた蛍光灯で真っ黒い空間が四角く区切られ、その中で全身を真っ黒く塗った5人のパフォーマーが塊になって跳ね回っているのを遠巻きに見たり、ぶつからないように逃げ回ったり。5人の動線は個人の意志で制御されてない感じなので、観客の側が十分注意しなくてはならない。動きが収まったりすると近寄って見る。暴れ出すとまた遠巻きに眺めたり、必要に応じて逃げる、基本的にはその繰り返し。造形としては無機質でクールなのに対して、観客側が「逃げる」動機は「黒いのが服に付いたらイヤだから」という極めてバナルなものなので、そのギャップを意識し始めてしまうと萎えるのだが、黒地に黒でよく見えないから見ようとして「近付く」という動きはそれなりに巧妙に設計されている。5人が床上でグネグネとのたくって移動する辺りなどはやはり近付いて目を凝らさずにはいられない(したがって「逃げる」動きも自ずと準備される)。バラバラに散って観客の中に紛れ込む辺りも巧く行っていて、闇に溶け込んだまま不意に近くに来ていてビックリさせられたりする。にもかかわらずどこか物足りなく感じてしまうのは、出来事の一切が「当たり前」であること(即物性に徹してるといえばそうなのだが)、単純な仕掛けに付き合い続けたくなるようなゲーム性が稀薄なこと、この辺だろうか。実際には蛍光灯でできた「リング」の外に逃げて安全に傍観することもできるようになっていて、もしこれが封じられていたら、しかも「服が汚れるから」ではなく何かもっとリアルな動機で逃げ回るのだったら、さらに深くノレたかも知れない。