恵比寿・東京都写真美術館ホール。
もともとはNHK大阪局制作のテレビドラマで、再編集して少し長くなった劇場版。いわゆる映画的な美しさからは確かに遠いのだけど、そもそもそういうこととはまるで違う次元に属している作品だと思った。夜の街を二人でずっと歩き続けるシチュエーションが、実際の街の光景よりもむしろ記憶や感情の方に比重を置きながら、15年という時間の隔たりそのものをゆっくり噛み締めることを可能にしてくれる。どこまでが演出なのかよくわからない不思議な撮り方で(役者の演技だけでなく、街の人たちもエキストラとそうでない人が混在している)、見ている側も、現実感覚と想像力(あるいは記憶)の狭間で、自分の生との向き合い方をさまざまに探らされる気がする。日々の現実から切り離された「アート」的な実験性ではなく、日々の現実の中で映像表現が持ちうる力についての思考は、映画ではなくテレビというメディアだから可能になったものなのだろう。たまたま予告映像を見かけてフラッと入ったけど、この作品に出会えて本当によかったと思う。
もともとはNHK大阪局制作のテレビドラマで、再編集して少し長くなった劇場版。いわゆる映画的な美しさからは確かに遠いのだけど、そもそもそういうこととはまるで違う次元に属している作品だと思った。夜の街を二人でずっと歩き続けるシチュエーションが、実際の街の光景よりもむしろ記憶や感情の方に比重を置きながら、15年という時間の隔たりそのものをゆっくり噛み締めることを可能にしてくれる。どこまでが演出なのかよくわからない不思議な撮り方で(役者の演技だけでなく、街の人たちもエキストラとそうでない人が混在している)、見ている側も、現実感覚と想像力(あるいは記憶)の狭間で、自分の生との向き合い方をさまざまに探らされる気がする。日々の現実から切り離された「アート」的な実験性ではなく、日々の現実の中で映像表現が持ちうる力についての思考は、映画ではなくテレビというメディアだから可能になったものなのだろう。たまたま予告映像を見かけてフラッと入ったけど、この作品に出会えて本当によかったと思う。