京の昼寝~♪

なんとなく漠然と日々流されるのではなく、少し立ち止まり、自身の「言の葉」をしたためてみようと・・・そんなMy Blogに

「ブラック・ローズ」/新堂冬樹

2010-07-23 | Book

「ブラック・ローズ」/新堂冬樹(幻冬舎刊)

 

「ブラック・ローズ」・・・その名のとおり黒いバラ。
正式には「ブラックバカラ」という。
実際にはバラには黒という色素がないため、
限りなく黒に近い濃赤色のなのだそうだ。
まだ近しい2000年に開発され、翌年バレンタインデー用の
バラとして出荷されたそうだ。
しかしながらその花言葉は、「貴方はあくまで私のモノ」、
「憎しみ」、「恨み」だとか。
バレンタインデー用としてはホントにブラックだ(笑)


テレビ業界のドラマ界の内幕を描くこの作品、
著者自身が芸能プロダクションを経営しているそうだ。

父親を自殺に追い込んだドラマ界の帝王に復讐するため、
ありとあらゆる手段を講じて恨みを晴らす。
そんなテレビ制作会社の女性プロデューサー・唯と仁科との対決。
累計発行部数500万部を超える大ベストセラー小説のドラマ化を武器に
唯の仁科に対する復讐劇が始まる。
それは、欺き、出し抜き、裏切り、でっち上げ等々、
出来る限りのコネや手段を使って恨みを晴らす復讐劇。 
 

実際には、非現実な世界なのだが、
現在のTV業界にそれほど遠くない世界を垣間見ることができた。
たとえばそれは各TV局に力を持つJ事務所だったり、
そこに所属する視聴率男Kだったり・・・。
それはわざわざ置換しなくても、読み進むうちにそこに入っていける。

あくまで視聴率主至上義な世界。
そこには想像しうる以外の力が働いているのかもしれなし、
デキレ-スや芸能プロの力関係も働いているのだろう。

局内のドラマ部門で局内にも芸能プロにも力をもつ仁科に対し、
唯はあらゆる方ほうで仁科崩しを図る。
大ベストセラー作家の頑なな心を解きほぐしつつ、
憎き仁科の対極にいるディレクターを持ち上げつつ、時には同僚までも欺く。
それは父親の敵を討つ一心で、非情になり、
究極は仁科との闘いにおいて好きな男の人生までも崩壊させてしまう。

前半から中盤にかけて非常に盛り上がりつつも、
ラストにどんなどんでん返しが用意されているかと思ったら、
最後はいまひとつ盛り上がらなく、結局好きな男の寛大さに触れて、
ただの女で終わってしまう。
それはブラック・ローズ、つまり完全に悪(黒)になりきれなかった
悲しい女の復讐劇で終わってしまった感があった。


この話のようなオチに登場するカッコイイ男なんて
この世に存在するわけがないっさ(笑)

 


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