京の昼寝~♪

なんとなく漠然と日々流されるのではなく、少し立ち止まり、自身の「言の葉」をしたためてみようと・・・そんなMy Blogに

「すかたん」/朝井まかて

2013-06-11 | Book

「すかたん」/朝井まかて(講談社)

 

これは舞台が大坂(現在の大阪)の市井ものの時代小説です。

主人公の知里(ちさと)は、夫の大坂赴任に伴い江戸から大坂に
やって来た。 ところがその夫は1年で病死。 
嫁ぎ先からは
追い出され、知り合いはなく、兄夫婦が継いだ実家に援助を求める
こともできず、
仕方なく手習い所で働こうとしたものの、いつも失敗して
クビばかり。 ひょんなことから青物問屋の河内屋の若旦那の曖昧な
一言で上女中として住み込み奉公することなった。 ここから厳しい
女中
奉公が始まるのだ。 河内屋は天満青物市場の頭取を務める
大物問屋。 そのお家さん(女主人)である志乃に仕えるが、
志乃は知里に手厳しい(江戸の女であることも関係してか)。

VS手厳しい志乃、VS跡取のいい加減な清太郎、また清太郎の
浅はかな行動が河内屋の屋台骨を揺るが
してしまうような事件等々、
テンポある、また人情ある、はたまた商売とは何かというところを

コメディ・タッチで描いていく。

実に楽しいと思えたのは、まず舞台が商人の町大坂であること。
時代背景は別にして、土地鑑の
ある大坂で懐かしい地名や、
特にもう忘れかけている大阪弁(一部商売人の言葉もあるが)が
怒涛のように飛び出し、その中で千里だけが関東弁だということ。
また、色んな地名や用語に関して
読めない漢字が実に多いこと(笑)
思わず読みながら辞書がほしいと思ったくらいで。

タイトルにもなっている「すかたん」とは大阪弁でまぬけのこと。
「すかたん」の“スカ”ははずれのこと。 一般的にはくじで、
「アタリとハズレ」というが、大阪では「アタリとスカ」だった。
つまりミスや失敗ばかりするまぬけな人のことを指す。

この「すかたん」呼ばわりされている河内屋の跡取り息子・清太郎が、
最初はトンネルばかりしていたのに、河内屋の窮地を自分で招き、
廃嫡されても仕方がない立場に置かれながら、そこから見事な
ファインプレーをやってのけるのだ。 遊びほけながらも、土と接し、
農民と接する中で、本来の商いを体得していくのである。 その間の、
知里との会話のキャッチボールが実に面白いし、
少しずつこの二人の恋物語も描かれていくのである。

それにしても素人の女性の扱いには不器用な清太郎。
江戸に帰ると決めた知里をそんな場所で、
そんな方法で口説かなくても(笑)

二人の恋の行方や河内屋の行く末がどうなって行くのか、
次の展開が読みたくて読みたくて仕方がない作品でした
まかてって名前は本名なんでしょうか?
女性の名前としては変わっていますが、
また彼女の別な作品を読んでみたいと思います

 


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
まかてさん (kino )
2013-06-12 00:37:31
TBとコメントありがとうございました!
不義理な私なのに、いつも嬉しいですー。
ありがとうございます。

多作な方ではないみたいですが、朝井まかてさん、
読みやすくて爽やかな作風が気に入ってます。
女3人組のお伊勢詣りの話「ぬけまいる」や
シーボルトを描いた「先生のお庭番」も面白かったですよ。
返信する
こちらこそ~ (cyaz)
2013-06-12 08:22:03
(cyaz)
2013-06-12 08:20:52
kinoさん、TB&コメント、ありがとうございますm(__)m

>不義理な私なのに、いつも嬉しいですー。
ありがとうございます。
いえいえ、こちらこそ不義理で(汗)
でも、時々見させてもらってますよ^^

>多作な方ではないみたいですが、朝井まかてさん、
読みやすくて爽やかな作風が気に入ってます。
ほんと、読みやすくて朗らかな感じで気に入りました^^

>女3人組のお伊勢詣りの話「ぬけまいる」や
シーボルトを描いた「先生のお庭番」も面白かったですよ。
kinoさんのオススメとあらば・・・
まず、今「ぬけまいる」を予約しておきました!
また面白い本があれば、御紹介くださいね^^
返信する

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