徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

世界に広がる日本生まれの母子手帳(BOSHI-TECHO)

2017年12月04日 08時50分01秒 | 小児科診療
 「母子手帳」は日本特有の文化で、諸外国では存在しないそうです。
 その日本生まれの母子手帳は世界に広がりつつあり、今回ロシアで翻訳したものがそのまま使われるようになるという記事を紹介します。
 表紙にはアルファベットで「BOSHI-TECHO」と記されているそうです。

■ 母子手帳 ロシアで赤ちゃんの健康守る 日本版を「輸入」
毎日新聞2017年11月28日
 日本の「母子健康手帳」がロシア語に翻訳され、来年から政府系団体の主導でロシア国内に配布されることになった。日本生まれの母子手帳は世界30カ国以上に広がっているが、それぞれ国情に合わせて独自の編集がされており、海外の国が日本版を中身ごと「輸入」するのは初めて。表紙にはアルファベットで「BOSHI-TECHO」とも記され、関係者は「母子手帳が国際語になってくれるといい」と期待する。
「BOSHI-TECHO」海を越え
 翻訳されるのは、一般社団法人「親子健康手帳普及協会」(東京都港区)が2016年に作った「20年をつづる母子健康手帳」。自治体からもらえる母子手帳は通常6歳までしか記入できないが、成人までの病歴記入欄や、児童虐待の防止や発達障害に関する説明なども付き、人気を呼んでいる。
 協会理事で管理栄養士の白崎ユミさん(55)は、母子保健に長年携わるロシア人医師のラリーサ・スクラトフスカヤさん(75)と30年来の親交があった。今年5月、スクラトフスカヤさんは英語に翻訳された手帳を初めて手にし「素晴らしい」と絶賛。仲間とロシア語訳を始めた。同時に国立産科・婦人科・周産期医学医療研究センター長のゲナルディ・スヒーフさん(70)に普及を働き掛け、10月に関係者間で共同著作権の契約が結ばれた。
 冊子は冒頭で、母子手帳が日本で半世紀以上前に誕生したことを紹介。妊娠時の注意や便の色による健康状態の見分け方など母子の健康に関する項目のほか、飲酒、喫煙、危険な性行為など思春期に直面する課題についても解説している。
 協会によると、ロシアに母子手帳に相当するものはなく、子どもの予防接種も生後約1年までの簡単な記録しか残さないのが一般的という。スクラトフスカヤさんらは「妊娠の瞬間から母親の健康、20歳までの子どもの健康に関する全ての情報が含まれており、親や家族の関心を引きつける重要な本だ。母子手帳が日露間の文化対話促進に役立つと信じている」と評価する。
 12月上旬にデータをロシア側に送り、製本でき次第、都市部から順次配布される予定。協会顧問の神馬(じんば)征峰・東京大教授(国際保健学)は「母子手帳は将来の健康リスクを減らす『社会ワクチン』として役立つ可能性がある。配るだけでなく、使い方のトレーニングがあると、より効果的ではないか」と話している。【谷本仁美】


母子健康手帳
 妊娠期から乳幼児期までの母子の健康記録をまとめた冊子。母子保健法により市町村にすべての妊婦への交付が義務付けられている。手帳の前半部分は全国共通で、後半部の健康や育児に関する情報は独自の編集が認められている。海外での母子手帳普及には国際協力機構(JICA)が中心となって取り組んできたが、民間では親子健康手帳普及協会がアジアやアフリカの大使夫人を招いて勉強会を開くなどしている。
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