CRASEED Rehablog ニューロリハビリテーションとリハビリ医療の真髄に迫るDr. Domenのブログ

ニューロリハビリテーションの臨床応用を実践するリハビリ科専門医・道免和久の日記【CRASEED Rehablog】

消耗戦の末に・・・

2006-08-10 09:37:18 | リハビリ
呼吸器リハビリについて、すでに90日を越えて打ち切りの期限をむかえた患者さんが数多くおられます。

『悪化したら再開できる』といいますが、悪化=死と隣り合わせの状況で、打ち切りが絶対にできない患者さんがおられます。

その対策として、医療機関によっては、
1)中止したら命が危ないので、従来通り継続して診療報酬を請求してみる。
  ・・・厚労省、支払い基金に対して、査定できるものならしてみなさい、という意味のようです。いわゆる中央突破。
2)中止したら命が危ないので、無料で続ける。
  ・・・無料の診療行為の位置付けが不明確。そもそも、持続可能なシステムではない。
3)中止したら命が危ないので、別の病名をつけて継続。
  ・・・違法ですが、制度上の不備を医療機関の責任において肩代わりしています。
4)査定されそうもない安い診療行為(消炎鎮痛処置=350円)として、継続。
  ・・・持続可能ではない上に、実質的に理学療法を実施しているので、やはり違法。

いずれも、患者さんも医療機関も消耗戦の中に陥れられています。この理不尽な制度をどうしても継続させたい人がいるとしたら、以下はその人が考えるであろう最悪のシナリオです。

1)まずは、上記の献身的な医療機関が『良心的な』病院、制度にしたがってやむにやまれず打ち切った医療機関が『冷たい』病院、という印象を植え付ける。
2)それでしばらくは見逃しておいて、ある時点から、上記いずれも『違法』であり『不正請求』として、請求額とともに報道させる。医療機関は『不正請求』額を返還し、消耗戦に終止符を打つ。
3)しかしその後、『必要な医療行為を打ち切った』として医師や病院が訴訟の対象になる。

また、別の機会に述べますが、患者さんと医療機関が対立するほどに、厚労省は政策を動かしやすくなります。制度に問題があっても、余力のない消耗戦の混乱の中、さらに対立を煽ることが可能です。

そんなシナリオを未然に防ぐ必要があります。この2~3か月がその最終段階であろうと思います。

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1 コメント

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Unknown (悲しきPT。)
2006-08-11 00:12:23
消耗戦に勝つ方法はあるんでしょうか?私の病院のDrも言いますが、悔しいけれど、腹は立つけれど制度には従わなければならない。

 どうすれば、制度を変えることが出来るのでしょうか?本当に悔しい限りです。厚労省は、じっと無視していれば何事も無かったように過ぎてしまうと思って居るんでしょうね。

 我々には何が出来るんでしょうか?

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