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コモディティー価格低迷、関連ジャンク債に大打撃

2015-12-08 | 国際

コモディティー価格の低迷が長引くなか、米エネルギー・鉱業関連企業のジャンク債(投機的格付け債)はベテラン投資家たちでさえ慌てるほど急落しており、各社の直面している難題が浮き彫りになっている。

 多くのジャンク債は年初来で60%以上も下げている。

世界的な供給過剰で低原油価格は続き、中国の経済成長の鈍化で金属価格は下落している。

こうした状況は向こう数カ月間にデフォルト(債務不履行)が増加し、ジャンク債市場の他のセクターにも広がりかねないような投げ売りを引き起こすのではないかという懸念を生んでいる。

 債券の電子取引プラットフォームを運営するマーケットアクセス・ホールディングスのデータによると、リン・エナジーの一部の社債は年初来で80%近く、ペン・バージニアの社債は75%、チェサピーク・エナジーの社債は60%ほど下落しているという。

3社とも米国で石油・天然ガスを生産している。

金属・鉱業セクターでは、石炭大手のピーボディ・エナジーの社債が約80%、カナダのモリブデン大手トンプソン・クリーク・メタルズの社債が70%ほど下落している。

チェサピークはコメントを拒否し、残り4社はコメントの要請に応答していない。

 RBCキャピタル・マーケッツのマネージングディレクターでエネルギーセクターを担当するハイイールド債アナリストのアダム・ライト氏は「経営難に陥ったり、破綻したりする企業がこれほど多かったことはない」とし、「価値の崩壊には驚くべきものがある」と指摘した。

 チェサピークや石油・天然ガス探査のサンドリッジ・エナジーなど、多くの企業は投資家が債券を額面以下で発行元企業に売却したり、新たな証券と交換することに合意する債券の交換オファーを通じて債務負担を削減することで経営破綻を免れようとしてきた。

そうかと思えば、現金を調達するために資産を売却しようとした企業や、石油・ガス開発会社サムソン・リソーシズのようにすでに破産法の適用を申請した企業もある。

 今年の序盤には楽観視している投資家もいた。

2014年の下期に下落した原油価格が回復し、エネルギー企業の社債価格も反発するだろうと考えていたのだ。

ところが、原油価格が1バレル=60ドルのピークに達したのは春から初夏にかけてで、それ以降の40ドル前後までの下落はエネルギー企業の社債価格の急落を招いた。

 コモディティー価格の低迷を理由にエネルギー企業の社債の保有割合を削減してきた投資家もいる。

総資産4億0200万ドルのパイオニア・ダイナミック・クレジット・ファンドを運用しているマイケル・テンプル氏は、7-9月期(第3四半期)のエネルギー企業の社債の配分比率を4.7%と、2014年末時点の6.8%から引き下げた。

同ファンドの保有銘柄の大半は「ダブルBプラス」以下のジャンク級である。

 テンプル氏は、新技術によりシェールオイルの抽出コストが下がったことを踏まえると、石油会社が原油価格の下落に歯止めをかけるために生産を大幅に削減するとは思わないと主張する。

11月末に公表された政府のデータによると、9月の米国の原油生産量は、4月につけた43年ぶりの高水準から2.7%しか減少しなかった。

 「市場がその数値に驚いたのは明らかだ。

そうでなければ、社債もあれほど下がらなかっただろう」とテンプル氏は言う。

 英金融大手バークレイズのデータによると、年初から12月4日までのエネルギー企業のジャンク債全体のトータルリターン(価格の増減と利払いが反映された値)は23%のマイナスだった。

金属・鉱業企業のそれは21%のマイナスだった。

両セクターの下落幅は、より広範なジャンク債市場の2%のマイナスよりもはるかに大きかった。

昨年末時点では多くの投資家やアナリストがジャンク債市場全体により大きな期待を抱いていた。

 総資産13億ドルのインベスコ・ハイイールド・ファンドの運用に関わるスコット・ロバーツ氏は「2015年はほぼ失われた年のようだった」と話す。

 ロバーツ氏のファンドは、7-9月期にはエネルギー企業の社債の配分比率を少し引き上げて6.7%としたが、ジャンク級のなかでも最も格付けの高い銘柄に焦点を当てている。

同氏は依然として楽観的で、来年には原油価格が1バレル=60ドル以上に回復する可能性があると述べた。

 先週、バンクオブアメリカ・メリルリンチがフロリダ州ボカラトンのリゾートで開催した会議では、投資家とエネルギー会社など企業の経営幹部が一堂に会した。

資産運用会社アムンディ・スミス・ブリーデンで世界のハイイールド債の責任者を務めるケニス・モナハン氏はその会議で、コモディティー価格が回復するまで辛抱するというのが今や一部のエネルギー企業の戦略となっていると話した。

あと2年ほど生き残るための財務的余裕のある企業もあるが、それ以上長引くと環境はさらに苛酷になるだろうと同氏は語った。

 年初からジャンク級エネルギー企業の社債をアンダーウエイトしてきたアムンディのモナハン氏は「希望はビジネスプランではないという古い格言はご存知だと思う。

ところが今、エネルギー企業はまさにそうした状況に置かれている」と述べた。

WSJ By MIKE CHERNEY 2015 年 12 月 7 日 18:14 JST

 


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