Cabin Pressure(脚本:ジョン・フィネモア 出演:ベネディクト・カンバーバッチ他)

イギリスBBCのラジオ・コメディ CABIN PRESSURE について語ります。

S4-3 ファドゥーツ(前)

2013-07-01 06:20:14 | 日記
以下はキャビン・プレッシャー シリーズ4 第3話 ファドゥーツ です。

 ↓

ファドゥーツは、スイスとオーストリアの間に位置する小さな国
リヒテンシュタインの首都。
キャストのみなさんの「リヒテンシュタイン」のドイツ語(風)発音が、
個人的にツボにはまってます!

 ↓



(テーマ曲)
   今週は 「ファドゥーツ」


ハーク:キャロリン、あと10分だよ。
キャロリン:ええ、そうね、ハーク。では、最後のおさらいよ。電話が鳴ったら答えて伝言を受ける。Eメールがきたら返信する。もし、
ダグラス:ちょっと待った。メモをとらないと。
アーサー:でも、ファックスのことは心配しないでね。母さんが僕をファックス担当係にしてくれたんだ。
マーティン:本気かい、キャロリン? まだファックスを持っている人もいるんだよ。
キャロリン:ええ、そうね、持っている人もいるわ。でもうちにはありません。そして、一番大切なこと。私の携帯は常につながるから、なにか起こったらすぐ電話すること。
ハーク:えっと、その点を少しはっきりさせてもいいかな。何が起こっても絶対彼女に電話しないように。
キャロリン:彼の言うことは聞かないで。なにか問題があったり、あるいは予約が入ったら、必ず電話して。
ハーク:その状況は、電話をしてはいけない2つの事例だ。そのほかの状況は以下の通り。全ての状況だよ。
キャロリン:彼を無視して。
ハーク:彼女を無視して。
ダグラス:きみたちは実に平穏な休暇を迎えられそうだね。
キャロリン:休暇じゃないわ。これは、、旅行よ。
ハーク:休暇だよ。私にとっては数年ぶりの休暇だ。
ダグラス:通常は次のハネムーンが再びやってくるまで待つものだが。
アーサー:どういうこと?
ハーク:ダグラスは軽妙に私の4回の結婚について言及しているんだよ、アーサー。彼のたった3回に対してね。
アーサー:わぁ、本当に?きみたち2人で元奥さんが7人もいるの?
ハーク:我々の間では、そうだ、と、思う。重複してないよな、ダグラス?
ダグラス:書類を確認してみないと。
アーサー:7人!ネットボールのチームが出来るね。
ハーク:寒気がする考えだな。
ダグラス:もちろん、キャロリンが元旦那2人を提供してくれたら、我々はサッカーチームが作れる。
キャロリン:ありがとう、ダグラス。もう結構よ。
ハーク:私の2番目の妻をゴールキーパーにしよう。
キャロリン:ハーキュリーズ・シップライトさん、あなた、「前妻はおデブ」ジョークを言ったの?
ハーク:とんでもない。彼女は偶然にもプロのゴールキーパーだったんだ。
キャロリン:本当?
ハーク:いや、彼女は巨大だ。


(電話の音)
ダグラス:きみの番だよ、確か。
マーティン:(電話をとる)もしもし。MJN航空、マーティン・クリーフ機長です。
テレサ:もしもし。今週金曜日の予約についてお聞きしたいの。
マーティン:かしこまりました。お名前を伺えますか?
テレサ:はい。私はリヒテンシュタインのテレサ王女です。
マーティン:へえ、そうなの?
テレサ:ええ、そうよ。
マーティン:偶然だね。
テレサ:どんな風に?
マーティン:たまたま僕も貴族でね。クリフストニアのマーティン公爵様なんだよ。
テレサ:ああ。
マーティン:それで、ご用件は?
テレサ:そうね、、
マーティン:ドラゴンなの?
テレサ:え?
マーティン:ドラゴンから救出してほしいのかな?王女様ってそうなんでしょ?
ダグラス:おい、マーティン。
マーティン:ん?
ダグラス:これは私の仕業じゃないぞ。
マーティン:もちろん違うよね。
ダグラス:いや!真面目な話だ。
マーティン:え、えっと、失礼します、少しお待ちいただけますか?
テレサ:喜んで。その間に呼吸を整えるわ。面白すぎて息ができなかったから。
マーティン:本当に、ダグラス、きみの仲間じゃないのか?
ダグラス:誰が?
マーティン:リヒテンシュタインの王女さ。
ダグラス:いいや。リヒテンシュタインの王女は私の仲間ではない。
マーティン:そうかい。よし、じゃ、きみが話してよ。
ダグラス:光栄ですな。(電話で)もしもし、私は副操縦士のダグラス・リチャードソンです。申し訳ありません、今週はいたずら電話が何件もかかってきまして。それで、ご用件はなんでしょう?
テレサ:私はリヒテンシュタインのテレサ王女です。あなたたちをチャーターして、王様と私をファドゥーツからフィットンまで乗せてほしいの。
ダグラス:もちろんです。「王様と私」を乗せて。まさにサウンド・オブ・ミュージックな響きですな。以前に我々は蝶々夫人を乗せて南太平洋に飛んだことがありますが、
マーティン:ダグラス、これは僕の仕業でもないんだ!
ダグラス:いや、そうに決まっている。だが、きみが最初に電話に出るとは、実に巧妙な手口だったね。
マーティン:僕を見てよ。僕の仕業じゃない。
ダグラス:私でもないぞ。
テレサ:オーケイ、とても楽しかったけど、でもそろそろお二人のどちらかが、「テレサ」と「リヒテンシュタイン」を、グーグル検索してみてはいかがかしら?
マーティン:ダグラス、見てよ、僕、
ダグラス:王女様、我々がどのような役に立てますでしょうか?


キャロリン:ええ、もちろんよ、マーティン。空港で落ち合うよう、アーサーに伝えて。
(電話を切る)
ハーク:ああ、キャロリン、ここにいたのか。ねえ、ウインドサーフィンは楽しそうだってきみは言っていたろう。
キャロリン:そんなこと言った覚えはないわ。
ハーク:まあ、あの時はすごく酔っ払っていたから。
キャロリン:酔ってないわ!
ハーク:にもかかわらず、きみはそう言ったし、したがって私は、午後のレッスンを予約したよ。
キャロリン:それは素敵ね。ところで私はリヒテンシュタインに行くわ。
ハーク:それはちょっと過剰反応じゃないかね?
キャロリン:マーティンから電話があったの。リヒテンシュタインの王様から予約が入ったんですって。
ハーク:それは明らかにダグラスが声色を使ったんだ。
キャロリン:そう考えるのが妥当だけど、違うみたいよ。
ハーク:なら彼らが対処するさ。
キャロリン:なんてすって、王様と?もちろん無理よ。
ハーク:きみが王族に束縛されるたちだとは知らなかったよ。
キャロリン:私は王族なんてかまわないわ。
ハーク:きみはかなりかまうと思うね。
キャロリン:とんでもない。
ハーク:それもただかまうんじゃない。謹んでかしこまるんだ。50周年祝祭のフクロウみたいにね。
キャロリン:いいえ。ごめんなさい、ハーク。本当に行かなきゃならないの。
ハーク:いや、ダメだ。これは16ヶ月間ではじめての我々の休暇なんだぞ。その2日目に、
キャロリン:聞いて。私は仕事が入ったら帰ることを条件に、ここへ来ることに同意したのよ。
ハーク:そして私はそれには同意しないし、耳を貸さないと言った。
キャロリン:ねえ、本当に、ハーク、たいした問題じゃないでしょう。
ハーク:いや、問題だよ。我々が一緒に過ごすことはとても大切なんだ、
キャロリン:あら、やめて。
ハーク:なぜなら、私はきみを愛しているから。
キャロリン:ええ。何度もそう言ってるわね。
ハーク:そうさ。ダメかい?
キャロリン:ええ、言わないでちょうだい。あなた、まるでディスニーのおもちゃみたいに聞こえるわ。
ハーク:ディズニーが愛を表現する概念を思いついたわけじゃないんだよ。他の人たちも大切だと考えている。
キャロリン:それって誰?
ハーク:人類のほぼ全て。
キャロリン:ほら、その通りよ。彼らがどれほどだまされやすいか知っているでしょう。
ハーク:それって、人類が、かい?
キャロリン:ええ、全般的にね。
ハーク:まあ、そうだな。それでも、


アーサー:オーケイ、ねえ、僕、お辞儀の練習をしてるんだ。見て。こっちがいいかな。 それとも、こっち? こっちのほうが派手だね。
ダグラス:そうなのかい?もし帽子をつかめなかったらどうする?
アーサー:うん、僕もそれは考えたんだ。最後をちょっと伸ばして、拾うところまでやってみようと思う。
マーティン:単に頭を下げるだけでいいんだよ、アーサー。それで充分だ。
アーサー:本当?それじゃ王様っぽくないよ。
マーティン:本当だよ。儀礼を再確認しておいたんだ。
ダグラス:きみなら当然そうするだろう。
マーティン:それに、王様を直接見てはいけない。
ダグラス:お日様と勘違いしてないか?
マーティン:目を合わせちゃいけないんだ。少し見上げて、すぐ目をそらすんだ。
ダグラス:煤ガラス越しに見ていてもかね?
アーサー:じゃ、僕、あっちで練習してるね。
(ドアの閉まる音)
ダグラス:で、マーティン、きみの「元」でどんなチームが作れる?
マーティン:え?チームなんてないよ。僕は一度も結婚していない。知っているだろ。
ダグラス:うん。だが元ガールフレンドでは?
マーティン:教えない。
ダグラス:オーケイ。
マーティン:これはプライベートだ。
ダグラス:その通りだ。忘れてくれ。
マーティン:、、そ、その、ボブスレーって何人かな?
ダグラス:4人。
マーティン:そう。
ダグラス:バスケットボールのチームは5人だよ。これが助けになるのなら。
マーティン:ならない。
ダグラス:ああ。3人のチームなんてあったかな?
マーティン:いや、ないだろうね。
ダグラス:待て。調べてみよう。
マーティン:その必要はないよ。
ダグラス:ペタンク!
マーティン:え?
ダグラス:ペタンクのチームは3人だ。知っているだろ、ブールさ。昔のフランス人が遊んでいたような。
マーティン:いいよ、どうぞ。
ダグラス:なにが?
マーティン:僕に聞いたのは聞いてほしいからだろう。きみの元ガールフレンドではどんなチームが作れるの?
ダグラス:ふむ。そうだな、ロンドンマラソンのスタート地点、
マーティン:分かったってば。


ダグラス:シャットダウンチェック完了。燃料はあと、1,600リットル残っている。
マーティン:1,600。了解。さあ、行こう。早く、早く。
ダグラス:まだ早いぞ。
マーティン:早すぎて困ることはないよ。
(ノック)
オットー:えっと。こんにちは。私はオットーです。
マーティン:ハロー。
オットー:私が本日のグラウンド係員です。どうぞよろ、
マーティン:うん、うん、ありがとう。我々は5時に離陸したい。
オットー:ヤー、もちろんです。その間にクリーニングサービスは必要ですか?
マーティン:いや、結構。我々でやるよ。
オットー:オーケイ。分かりました。では、ケータリングのサービスは?
マーティン:いや、それも我々でやるよ。いいね。ありがとう、
オットー:チェックイン用のデスクは?
マーティン:いや、それもまた、
オットー:あなた方がする。分かりました。はい。それでは、
マーティン:いや、悪いけどもう出発しないと。これから僕たちは、リヒテンシュタインの王様を迎えに行くんだ。だから、他のことも、僕たちでやると思ってくれ。
オットー:燃料。
マーティン:ああ。
オットー:もしかして尾翼に携帯の製油所をお持ちですか?それとも王様はご自身の醸造所から数バレル持って来られるのかな?
マーティン:オーケイ、悪かったよ。うん。燃料補給を頼む。3,000リットル必要なんだ。
オットー:りょうかい。


アーサー:王冠は僕が預かるべきかな、それとも王様は飛行機の中でもかぶっていたいかな?
ダグラス:ちょっと待ってくれ、アーサー。マーティン?
マーティン:ん?(金属音)
ダグラス:なにをしているんだ?
マーティン:笑うかもしれないけど、
ダグラス:きみがつけようとしているのは、
マーティン:外国の国家元首を迎えるときは、装飾を身に着けることが礼にかなっているんだ。
ダグラス:勲章を?いったいいつ勲章をもらったんだ?
マーティン:10年の間、僕は、空軍訓練生だったんだ。
ダグラス:なるほど。これはなに?
マーティン:これが僕の訓練生の勲章さ。
ダグラス:なにに対して?
マーティン:空軍訓練生だったことに対して。
ダグラス:たいしたもんだ。もうひとつのほうは?
マーティン:関係ないよ。
ダグラス:おおありさ。
マーティン:どうせからかうだけだろう。
ダグラス:マーティン、はっきりさせておこう。「ダグラスがマーティンの勲章をからかう」号は、きみが勲章をつけることを決めた瞬間に港を出港したんだ。航海は順調。だからきみもリラックスして楽しみたまえ。もうひとつのほうは?
マーティン:これは、えっと、ミレニアム勲章だよ。
ダグラス:そうなのか?それが授与された理由は?
マーティン:答えは分かっているだろう。
ダグラス:大いに期待しているが、まさかそんなはずはないだろう。
マーティン:これが、女王から授与されたのは、生存している全ての軍隊員と軍事訓練生に対して、新しいミレニアムを祝うためだよ。
ダグラス:やっぱり!きみはこれからリヒテンシュタインの王様に会うために、2000年に生きていた証の勲章をつけるんだな。
アーサー:僕も知ってたら、もらえたのに。


ハーク:残ってくれてありがとう。
キャロリン:ええ、ええ。それはさっきも聞いたわ。
ハーク:何度でも言うよ。留まってくれて本当に感謝している。
キャロリン:ええ、ええ。分かったわよ、もう結構。
ハーク:なぜなら、
キャロリン:はい、はい、ありがとう。嬉しいわ。
ハーク:私はきみを愛している。
キャロリン:ええ、気付いています。その情報は確かに受け取ったわ。ご意見ありがとう。
ハーク:きみは?
キャロリン:いいえ、いいえ、いいえ、いいえ!
ハーク:いいえ?
キャロリン:違うわ。「いいえ」じゃなくて、「いいえ、聞かないで」ってこと。
ハーク:では答えはいいえではないんだね?
キャロリン:聞かないでって言ったでしょう。聞かないで。言わないで。2011年以前のゲイのアメリカ軍兵士みたいにね。
ハーク:でも私は2011年以前のゲイのアメリカ軍兵士ではないし、実のところ、そのうちのどれでもない。私が知りたいのは、私がきみを想うように、きみが私のことを想ってくれているかどうかだ。
キャロリン:どうして?ねえ、私たちはすごくうまくいっているわ。どうしてこのまま続けてはいけないの?
ハーク:もし結婚したくなったらどうする?
キャロリン:でも私たちは結婚したくないのよ。そうでしょう?そんなこと、全く、全然、少しも考えてないわ。
ハーク:私は考えているかも。
キャロリン:そうね、ハーキュリーズ、でも事実を直視しましょう。あなたは、他の人がくしゃみをしたいと思うように結婚したいと思うのよ。それに、ナップ=シャッピーは今でも充分悪い姓だけど、それがナップ=シャッピー=シップライトになるなんて信じられないわ。
ハーク:うん。きみのいう意味は分かったよ。早口言葉のように聞こえるね。


 (続く)




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