立派なホテル従業員はステキな召使につながるかもしれない。

ネヅさんと仰る方からコメントをいただきました。(ありがとうございます)


>はじめまして。大学でホテル経営を学んでから、執事好きなネヅを申します。最近、本当にホテルに転職しようかなと考えています。


読んでふと、あるホテル業務員男性のエピソードを思い出しました。

5、6年以上も前のことになるでしょうか。それは、とある雑誌の記事でした。
美容室でパーマをかけている間に手にした雑誌。
(すみません雑誌名覚えていません。なんせずいぶん前の話ですので…)

記事の内容は、良質なサービスを提供すると評価の高い国内有数のホテルで働く方々を紹介するもので、私はその中の、とある中年男性に目をとめました。

その中年男性のホテル内での業務は、
「お客さまのご要望にすべてお応えする係」でした。

現在でしたら「コンシェルジュ」とか「執事」といった職務に相当するのでしょうが、まだそんな用語も一般的ではなかった頃の話です。

(最近は、とくに高級アジアン・リゾートで、「執事」と呼ばれる「お客様専属の客室係」を設けるホテルが増えました。リッチな気分が味わえるのがサービス・ポイントですが、執事をうまく使いこなせるか、お客側の資質が問われてしまうのでは? と私的には思います。使用人を使い慣れていない日本人客には難しいんじゃないかなー)

閑話休題。
「お客さまのご要望にすべてお応えする係」のその方は、この職務のキャリアも長く、さまざまな経験を通して豊富な知識を備えており、仕事に対する大きな自信と誇りを持っていました。

ある日のこと。
お客さまから洋服の繕い物を頼まれました。
出かけに破けてしまった。これを着てもう出なくちゃならないのに。すぐ縫ってもらえないだろうか、と。

ところがその方は、お裁縫の経験がなかったのです。
この歳まで針を持ったことがなかった。

「お客さまのご要望なのに、針仕事ひとつ満足に出来ない」
大いに恥じたその方は、仕事を終えて家に帰ってから奥さんに裁縫を教わって、毎晩寝る前に運針の訓練を続けたそうです。

記事をよんだ時、胸の奥がジワワ~ンと熱くなりましたね。
この方には、すばらしい召使精神が宿っている!
ホテル名は失念してしまいましたが、そのような方が迎えてくれるホテルなら、少々お高くても宿泊してみたい。

消費社会の現代では、針仕事っていうのは有能な召使い(この方の場合お客さま係ですが)にとって、意外な盲点かもしれませんね。

このまえ山橘さんから「COO執事」と呼ばれる<料理から財務までこなすプロの執事業>が富裕層でブームになっているとの日本語版『News Week』の記事を教えていただきました。(こちらのコメント欄参照)

送迎でベントレーを軽やかに運転し、上級ロシア語をペラペラと操ろうとも、さあ、針に糸を一発で通せるか? 「ぐし縫い」が出来るか!?

まあ、お金持ちのだんな様から穴あき靴下を「これ、ちょっと塞いで」と頼まれることなど、生涯無いかもしれないけど…。 
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コメント
 
 
 
こんにちは。 (山橘)
2008-02-02 17:20:00
私はアルバイトでホテルで二ヶ月ほど客室清掃員をしていたことがあります。主にスイートルームの水周り担当だったので、檜風呂とか洗ってました。(スイートルーム一つでベッドが4つでトイレと洗面台が2個ずつとかになるので、チームで分担していたのです)

ところで私が働いていたところとは違いますが、たしか帝国ホテルのランドリーには大量のボタンのストックを持ったおじさんがいたはずだと調べましたら、ウィキペディアがありました。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%9D%E5%9B%BD%E3%83%9B%E3%83%86%E3%83%AB#.E3.82.AF.E3.83.AA.E3.83.BC.E3.83.8B.E3.83.B3.E3.82.B0

帝国ホテルのランドリーに持ち込むために、宿泊の一ヶ月前から洗濯物を溜めるのだそうです…。

私がバイトしていたホテルはこんな情報がよく掲示板に貼られていて「お客様に喜ばれるホテルになろう!」みたいなことが書かれていました。できれば「いっていらっしゃいませ」とか、外国のお客様には英語で言ってみたいものだと思いながら、いつもお客様に出会ってしまったときは日本語で言っていました。。
 
 
 
Unknown (小手鞠萌)
2008-02-02 19:21:40
 ちょっと前に読んだ本を思い出しました。

ザ・ホテル―扉の向こうに隠された世界
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%86%E3%83%AB%E2%80%95%E6%89%89%E3%81%AE%E5%90%91%E3%81%93%E3%81%86%E3%81%AB%E9%9A%A0%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E4%B8%96%E7%95%8C-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC-%E3%83%AD%E3%83%93%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3/dp/4167309874/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1201947274&sr=1-1

 英国のホテルを支配人側から見た話。結構面白かったです。
 そう言えば『メイド・イン・マンハッタン』という映画がありましたけど、これのノヴェライズ版の方が面白かったと思う自分。
 
 
 
ホテルの舞台裏は召使いの世界に近いと思う (countsheep99)
2008-02-06 23:21:12
>山橘さま

おおっ! わたくしもホテルの客室清掃のアルバイトしたことありますよ!
といってもビジネスホテルだったので、檜風呂じゃなく、ユニットバスでしたが…。

帝国ホテルのランドリーの件、すごいですねえ!
これはぜひ体験したい。
宿泊客以外でも受け付けてるんですね。
ふっふっふ…よしっ!

>小手鞠萌さま

『ザ・ホテル―扉の向こうに隠された世界』
昨日、図書館で借りてきました。うん、面白そう!

映画『メイド・イン・マンハッタン』はわたくしも観ましたよー。
「メ、メイドにあるまじき行為だわ!」なんて腹は立てずに気軽に楽しみました。ハリウッドですもの。
 
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