著作権法

著作権法についてしっかり考えてみませんか。

 「NHK番組台本流出」だって・・・?

2006-08-18 23:20:50 | Weblog
 ■NHK番組番組台本流出

 新聞の報道によれば、「ほんまもん」などNHK番組の台本がリサイクルショップに出回り、1冊当たり100円などの値段がつけられていることが判明したとのことです。関係者の連絡先なども記されているらしく、結構「手に入れたいっ」と思う人もいることでしょう。

 しかし、疑問に思うことは、こうした台本の流出が「著作権上問題となる」というような報道がされていることです。
 確かに「台本」自体は、著作物で、勝手に複製したり、それを演じたりすれば、著作権法上問題が生じてきますが、台本というモノ自体が他人の手に渡ることは、著作権侵害になるとは考えられません。
 ・・あぁ、「譲渡権」という権利がありました。しかし、著作権法第26条の2第2項第3号で、このような場合は譲渡権は「消尽」しています。
 どう考えても、「著作権」の問題ではないと思えます。

 ■かつて「漫画原稿」も流出した

 過去においても、このような「流出事件」はありました。倒産した出版社から流出したとおもわれる漫画の原画が「まんだらけ」で販売されていたという事件もありました。
 この場合も、著作権法上は問題は生じません。問題のポイントは、漫画原稿という有体物の「所有権」だからです。
 原稿の所有権が誰に帰属するのか・・・雑誌の場合には作家と出版社との間には通常契約書は取り交わされないといいますから、所有権の帰属についても特段の明文の取り決めはないこととなります。そうだとすれば、原稿の所有権は、作家にあるということになるでしょう。そうなると、それを勝手に誰かに譲り渡した者は、横領なり窃盗などの罪に問われることとなるのではないでしょうか。

 ■もっと問題なのは「漫画原稿」のデジタル化

 しかし、作家にとってもっと憂慮すべきは、出版社は作家の了解を得ることなく、漫画原稿をデジタル化して保持している点です。
 どれほどそうしたことが行われているのかは、私も承知していませんが、結構広く行われているとも言われています。

 「デジタル化」しておくことは、現在の日本のポップカルチャーをしっかり記録にとどめておくという意味でも、意義があることとは思えます。しかし、作家の了解なくこれが行われる場合には、そもそもその行為自体が適法ではないばかりか、それを活用しようとした場合に、作家の了解が必要となりますから、将来それを有意義に活用しようとしてもそれができなくなる恐れがあります。
 作家の了解が取れるうちに、きちんと了解を取っておくことが必要ではないでしょうか。


 ・・・・「NHK番組台本流出」というニュースに接し、あれこれ考えた一日でありました・・・


1 コメント

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NHKの番組は国民の共有財産 (Piichan)
2006-09-05 22:25:07
そもそもNHKの番組は受信料で制作されたものであり、国民の共有財産であるはずです。中にはNHKは著作権で儲けるべきではないという意見さえあります。



NHKは台本など番組の制作資料を公式サイトで公開してほしいものです。
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