某ギターメーカー社長室

ギターメーカー社長の色々な出来事

自分でギターやベースの不具合を特定しよう!弐

2005-10-22 14:05:51 | 楽器
さて、”壱”でナットの状態を確認した方は其の弐”ネックを見てみよう”です。
ネックのビリ付で最も多いのがネックの反りですよね、これには大きく分けると5種類の”反り”があります。

一番多いのが”順反り”そして”逆反り”、他は”ネジレ””浪打””ハイ跳ね(腰折れ)”の5種類ですね。

この5種類の見分け方を考えましょう。
とりあえず普通にギターを構えます、立っていても問題無いですが座った方がやり易いですよ♪

そして普通に6弦の1フレットを左手人差し指にて押えます※写真①
次に余っている右手小指にて最終フレットを押えます、そして小指で最終フレットを押えながら人差し指にて”ナットの状態判別”の時の要領で12フレットを叩きます、この時右手は丁度”タッピング”をする時のような形となります※写真②

で、12フレットと弦に隙間があるか否かを確認しましょう。
適正な隙間はナットと同様”薄い紙一枚分”位となります、ネックに関しては”はがき一枚”だと隙間が開きすぎですね、視認できるかどうか難しい位がベストでしょう。

パッと見て”隙間が開いている”と確認出来た方は順反りです。
”隙間が無い?でも叩いたらカチカチ”がベストとなります。
次に、叩いて音がしなかった方々、これは逆反りです。

これを6弦~1弦まで全ての弦行います。
全ての弦問題無ければ正常、”6弦側は音がしないけれど1弦側は音がする”もしくは”その逆”ですとネジレが入っていると言う事になります。

6弦側は順反りで1弦側は逆反りもしくはその逆と言う状況ですと、中間点を取って調整する事になりますのでちょっと手間です。
また反りの程度やトラスロッドの効き具合によってはすりあわせが必要となります、ネジレが特に酷いとリフレット&指板調整と言う最悪のケースも(汗)

単純なネック調整ですと大体¥2,000~¥3,000程度。
すり合せの場合¥12,000~¥20,000程度でしょう。
最悪リフレット&指板調整だと¥40,000~¥70,000超と言う事もありえます。

浪打&ハイ跳ねはその参にて!

自分でギターやベースの不具合を特定しよう!壱

2005-10-22 00:17:25 | 楽器
仕事が終わらない・・・・ちょっと息抜きでブログ更新しますね~♪
使っている楽器が調子悪い・・・修理に出さなければ・・・・でも高かったらどうしよう・・・大まかで良いから自分で判断出来たらちょっと安心!でもやり方が・・・って人居ませんか?(笑)

自分で治さないまでも”把握”位はやってみましょう!簡単な方法教えます。
まず修理依頼が一番多く且つ具合が悪いのに気が付いていないケースも非常に多いネックトラブルについて話しましょう!

じゃあ上から順番にと言う事で初日はナットから!
この”ナット”と言う物は消耗品なので使っているうちに駄目になる物なんです。
どこが駄目になるかと言うと弦が乗っかっている部分、”ナット溝”と言いますがここが磨り減ってしまうのですね。

ここが磨り減るとどういう症状が出るか?
開放弦を弾いた時にビリつきがでます。

開放弦を弾いた時にビリつきが出る不具合、他には逆反りとフレット浮き等がありますのが、このテの症状が出た場合はまずナットをチェックしましょう。

修理は判り易い所から調べて”消去法”が基本です!
ナット溝のチェック方法は次の通りです。

① 左手で6弦3フレットを抑える
② 余った右手で1フレット上を指で叩く

これだけです(笑)
これを6弦から1弦まで順番に行います。

正常なナットの状態ですと弦がフレットに当たってカチカチと音がします。
ナットが削れてしまい要交換状態ですと音がしません。

3フレットを抑えた時に弦と1フレットに”隙間があるかどうか?”これがナットの状態を見極める方法となります♪

一見して隙間が無い様でも叩いて音がすると言う事は”隙間”があるんですね。
ただ、其の状態ですとそろそろ交換とお考え下さい。
適正な隙間はコピー用紙位の厚み~はがきの厚み位まででしょう。

それ以上だとちょっと高すぎますね。
調整した方がグンと弾き易くなりますよん。

ちなみにナット溝調整ですと¥2,000~¥3,000、ナット交換は材質等により幅がありますが、通常良く使用される牛骨で¥5,000~¥7,000位でしょう。

其の弐は明日かな~。

音出ず修理には泣かされますな・・・・

2005-10-20 18:17:09 | 楽器
修理をする際に殆どの場合”見積り!”と書いてあるんですね。
当然なんですがリフレットやネック折れの様に”パッと見て判る修理”だと簡単なんですが、厄介なのは”音出ず”と言うパターン。

この修理は原因がたくさんある上に、修理自体は”電装系パーツ交換(ピックアップ含む)”簡単な内容なんですが原因を突き止めるのが非常に手間なんですよね。

例えばアンプに繋いでジャック等をいじくると音が途切れるとか、スイッチをいじると音が出ない時があるとかそう言った場合は簡単なんですが、一言で片付けられる”音が出ない”と言うものなんです。

”音が出ない”=音が出ない以上、大まかな予想が立てられない!と言う図式ですな、当然原因を突き止めるまであらゆる原因を念頭に置き、一通りチェックをしないと駄目なんですよ。

原因が判らない以上”見積り”は出せませんからね。
ピックアップの断線やコイルの錆等によるショートは無いか?ポットやスイッチの状態はどうか?断線や配線間違いは無いか?などなど色々調べるのですよ。

特にEMGの様なアクティブピックアップですとピックアップの抵抗を測ってもピックアップ自体の不具合か否かの判断がつかなかったりするので大変なんです。

他にはフルアコやセミアコのようにあの小さな”Fホール”から配線を全部引き出しチェックしなければなりませんし、ベースなどで良くあるのが”回路不良”等は物凄い時間と労力を費やす必要があるんですね、下手すりゃあ3時間コースですな(汗)

で、時間を掛けて原因を究明し見積りを出すのですが修理自体は駄目なパーツをそのまま入れ替えや配線を直すだけなので非常に簡単な修理・・・・。
つまり”音出ず修理”は修理その物よりも”見積り”で原因を究明するまでが仕事みたいな感じなんです。

しかし!ピックアップがNGだとパーツ交換でパーツ込み¥20,000以上コース!
¥19,800を¥20,000掛けて直すか?答えは”NO”・・・・キャンセルと言う事がたくさんあるんですよね(泣)

下手すれば散々時間掛けて原因を予想し”多分ここかな?”なんて試したら”直っちゃった”なんて事もあるのですが、見積り時点でキャンセルとか・・・(泣)
せっかく直っているのにまた元に戻したりしてね(笑)
今は冗談で書きましたが、たまに”本気”で考える事があったりして(笑)

6弦megaBASS

2005-10-19 23:02:06 | 楽器
今日、楽器ショー用のNEW BASSにネックを取り付けた。
多弦特有のテンションの無さをカバーする為にヘッド部分で4・5・6弦を一段落とし込み、テンションをカバー。
まぁ、35インチスケールでセットアップ時にブリッジを加工して裏通しとするために使用弦は36インチの6弦用となる予定。

指板もアタック感を出す為に6弦側はエボニーを使用、ボディーはスポルテッドメイプルとローズ、結構ゴージャスなんじゃあないっすかね♪

同じベースの材料を変えた物も出展するのでお楽しみに~。

○○楽器店です・・・・ってすごい偶然。

2005-10-19 06:27:57 | 楽器
先日、営業で外回りをしている際携帯が鳴ったんですよ。
最近の携帯は番号表示が当たり前(昔は違いましたよね)ですから、お付き合いのあるお店の番号は当然登録済み、パッと見ればどこからの電話か一目瞭然!

ところが番号通知はあるものの店舗名表示されず・・・・。

”????どこだろう?”と思いつつも付き合いの無い楽器店から突然電話がかかる事も少なくないので必ず電話にはでる(番号非通知でもでます)。

電話を取ると『○○楽器○○店です』と名乗ってきた。
地方の有名なお店で弊社とは取引が無いお店だったので”ラッキー!新しい注文”とばかりにウキウキしながら”お世話になっております~”と満面の笑みを浮かべ好印象を与えるように挨拶したんですよ(笑)

営業職の方々はこの時の私の気持ちと挨拶具合の”絵”が想像付くんじゃあないですかね(笑)

そうしたらなんと先方が”お世話になっております”と型通りの挨拶の後”ディマジオのピックアップが入荷しましたよ”と話を続けてきたのです。
”・・・・・・どういう事なの????”

当然ディマジオのピックアップは良く使用するのだがメーカーから直接仕入れているし、お店に卸もしている、楽器店から購入することは緊急事態以外ありえない。
しかも普段付き合いの無いお店からの連絡であったのと、予想していた話の流れから大幅に逸脱しているため”????”状態でした。

とりあえず事情を聞いてみると単に一般の方に注文を貰い、入荷の連絡をする際に電話番号を間違えたらしいんですよ(爆)

これって凄い偶然だと思いません?
だって、携帯電話は何台出回っているか?その中で楽器を弾いている人が世の中に何人いるか?しかもエレキ限定。

更に楽器業界で働いていて尚且つメーカー勤務の者でピックアップとかを使用する人限定。
これ凄い確立ですよ(汗)

11月3・4・5・6日パシフィコ横浜

2005-10-18 16:15:22 | 楽器
は~、やっと”パンフレット”のデータ作成完了しました。
看板も頼んだし、パンフレットもOK!

販促用のジッポライターも間に合うようだし、これでプレミアムギターショーに向けての準備は一段落ですな~♪

しかし一番大きい問題が・・・・展示するギターとベースが未だ製作途中・・・・のようだ(汗)
今回製作しているのはちょっと目を引きますよ♪

一押しは多弦ベースかね、かなり作りこんだ6弦ベースを2本出展!
スポルテッドトップ5Aトップとローズトップ、センターカリンのフィガードと特殊材料のオンパレード!!!!

他にもゴージャスWARMも展示するので見に来て下さい。

トラネック

2005-10-18 06:55:19 | 楽器
ネックに綺麗なトラやバーズアイ、憧れる方々も多いのでしょうね~。
確かにその気持ちも良くわかります、派手ですもの・・・・、でも製作側から言いますと止めた方が良いと思うんです、少なくとも私自身のギターには絶対に使用しませんね。

楽器のトラブルで多いのが電装系とネックのトラブル。
電装系は一番高額な修理でもピックアップの断線が良いところですが、このケースは絶対数から申しますと結構少ないですね。

最近は交換用のピックアップも色々とありますし、手持ちのギターを良い機会なのでちょっとグレードアップ!位の感じでまだ納得がいくと思うんです。
が、ネックのトラブルはそうは行きません。

例えばすり合わせを必要とするトラブルの場合、ダンカンやディマジオ等手頃で具合の良いピックアップが十分に買えてしまう位の費用が掛かるにもかかわらず、トラネックでネックが動くとかなりの高確率ですり合わせは必要でしょう。

もちろん全てとは申しませんがトラネックやバーズアイネックの調整を預かる場合絶対数から考えるとすり合わせがいらない物の方が少ないのではないでしょうか。

ネック選びの原則は『節が無い物』なんです。
節があるとネックが節の部分で違う反り方をするんですね、スカーフジョイントと同じなんです。

トラ目やバーズはの美しい柄は言ってみれば全て『節』なのでどこでどう反ってしまうか製作している我々にも判断がつかないんですよ。

多少の柄は問題無いですが『バリトラ』や『バリバーズ(あまり言いませんね)』は反ってしまった時に高額な修理に発展する確率が高いと言う事とプレーンネックよりも反り易いと言う事を踏まえた上で選択した方が良いでしょう。

本日のリペア

2005-10-17 23:53:51 | 楽器
リペアをしていて不思議に思うのですが新品として”この状態で良いのだろうか?”と感じる物が結構あるんですよ、それがセット物の安い物であれば仕方の無い事ですが、それなりの価格の物でも少なく無いんです(汗)

今日もスタンダードな仕様であればトレモロ付のギターですが、T,O,M(LPみたいなブリッジ)仕様にカスタムされた物だったのですが、ブリッジを目一杯下に下げているにもかかわらず、弦高が物凄く高いんですよ。

これはT,O,Mブリッジが通常のトレモロと比べて厚みがある為に、ネックの仕込み角度を変えないといけないのですが、トレモロ仕様と同じ角度でネックが取り付けてあるからなんですね(汗)

こういう状態で新品購入しても買ってからネックポケット調整しなくてはいけないので、良い状態にしようとするとそれなりに費用がかかるんですよ。

いくら大量生産品とは言え、数万円するのですから最低限楽器としてきちんと使える状態でなければいけないのでは?と思いますし、購入する方も初めの時点で気が付かないものなんですかね(汗)

今回の修理依頼も別件で『弦高調整』と言う事は記載されていませんでしたが、仕事柄非常に気になってしまうんです・・・・。
私も趣味で入れ込んでいる物を購入する際にどうしても『購入』という事で頭が一杯になり、冷静さを欠いてしまう事もあるのですが、直接お財布に影響が出る事なのでせめて『弦高』とサドルの調整幅は確認した方が良いと思いますよ♪

新品・中古共に弦高が高い状態にもかかわらずサドルやブリッジが一杯まで下がっている物は避けましょう!

あると便利グッズ

2005-10-16 10:22:21 | 楽器
皆さんは『ストレートエッジ』(以下SE)なる工具をご存知だろうか?、『最近の安いギター』の中でサラッと登場した便利な工具である。

板状の金属製の棒、見てくれは定規の長くて肉厚のある物とお考え頂ければよいと思う。
我々が正確にネックの状態を把握するには欠かせない代物で使い易い。

そもそもネックという物の状況を判断する際、見るべきポイントはネック本体の反り具合とフレットの凹凸(減り・浮き)となりこの一本でどちらも把握する事が出来るのである。

大まかな判断方法は昨日書いた方法でOK、更に突っ込んでキチンと把握したい方はぜひ手に入れたいグッズでしょう。

ネックの反りを見るには1~15フレット付近までが重要なんです。
トラスロッドの構造上それ以降はロッドが利かない為に修正方法としては『すり合わせ』しか選択肢が無いからなのですね。

上記のような事情から通常出荷時にはセットアップの段階でハイフレット部分はフレットが段階的に低くしてあるのです。

そこで15フレット付近からナット部分の反りを判定するのにSEを使うのですが、使い方は簡単。
ネックにSEを当ててみるだけ!。

綺麗に順反りならば15フレット付近と1フレット付近のみSEとフレットが当たっており、他は隙間が明くのですわ。

逆反りならば1フレットにSEを当てると15フレット付近で隙間が開きます。
見た目で判断が難しい場合は左手でネックとSEを握り込むように軽く持ち1フレットにSEを当てたまま、15フレット付近を同じように握りこみSEをフレットに当てるようにします。

そうするとシーソーと同じですね、SEが逆反り部分を支点に動く為、フレットとSEが当たり『コトコト』と音がします。

この基本的な使い方が判るとSEの長さを変えたり当てる所を変えたりする事により波打ちやネジレ等なんでも判断がつくんです。

これでネックの状態判断はかなり正確にする事が可能です。
こうしてネック全体を細かく判断した後にフレットの判断をする事になります。

基本的には『シーソー』方式でやり方はネック全体の把握と同じやり方ですが、フレットを判断する場合は15センチの金定規でフレット数本単位で調べます。

これ以降は15フレット付近よりもハイフレット部分も含めてのチェックとなります。

これが終わったら15センチ金定規を短くした物でフレット1本づつ調べ上げ完璧にネックの状態を把握していくんですね~♪

興味のある方はナット交換やリフレットと違い『失敗』が無く、”成功”か”変わらず”かどちらかのネックのリペアなのでチャレンジしてみてはいかがでしょう♪

弾き辛くないのかな・・・・。

2005-10-16 01:31:42 | 楽器
お手頃な価格で出来る改造としてPU交換がありますよね。
良く依頼を受けるんですよ、一月20~30本位はやるかな。

で、その時に修理伝票には『PU交換』と書いてあるのだが、どう考えてもネック調整の間違いではなかろうかと思われる物が非常に多い(汗)

にもかかわらず、お客様から『ネック調整』の『ネ』の字も書いていない事が殆どである。
中には弦高が4ミリとか5ミリとかその位ある物も存在する。
スライド用のギターかと見紛うほどの弦高ですよ・・・弾き辛くないのかね・・・。

まぁ、ある意味尊敬してしまうのだが・・・・。
いくら細かい事を気にしない人だとしても気になるはずなんですけどね(汗)

と言う事でネックの状態を見る簡単な方法をお話しましょう!
これはあくまでもおおよその判断基準なのであしからず。

とは言えこれでキチンとしているにもかかわらずビリつきが出るようなら、かなりの高確率ですり合わせが必要ですね。

さて、その方法ですが・・・・。
椅子に座って(立ってても平気だけどね・・・座った方がやり易い)普通にギターを弾くように構えて下さい。

次に左手で6弦1フレットを弾く時と同じように普通に抑えます。
続いて空いている左手の小指で6弦最終フレットを押さえます。
左手は丁度『タッピング』するような感じで小指で押さえてね♪

そして左手小指で押さえつつ、12フレットを見ます。
弦とフレットに隙間明いていませんか?

明いている方は立派な順反りです(笑)
基本的に弦は直線に張られていますからね、フレットを押さえて弦をゲージ代わりにするんですよ。

次は隙間が無い方。手を開くようにしてあまっている指(普通は親指でしょう)で12フレット部分を叩きます。

カチカチ音がする方はおめでとう御座います!ネックの反りに関しては良い状態です。
何にも音がしない方は逆反りとなります。

一般的に『ネックはやや順反りが良い』と言われておりますが、やや順反りと言うのは今回説明した方法で弦とフレットの隙間が視認できない程度のほんの僅かな順反り具合の事なんです。

誰が見ても明らかに『順反り』と判るほど反っていたら滅茶苦茶反っているのだと認識して下さいね~。