シーラカンスの憂鬱

照る日もあれば、曇る日もあるんだし…

『蘇る地下迷宮のモンスター』

2006年03月27日 | 本・画集・図鑑
多くのファンタジー小説などの表紙を飾る絵画を描き、
コンピューターゲームの世界では、登場するキャラクターたちの姿を
リアリティ溢れるデザインで描くイラストレーターの末弥純(すえみ じゅん)氏。

時には、優しげな色彩とマチエール
時には、激しく荒ぶる色彩とマチエール。

キャラクターの背負っている過去と未来を
また、感情の奥底に秘められた憂いや悲哀を
絵筆という"剣"に、情熱という"呪文"を注いで描かれる絵画。

僕が、初めて末弥純氏の描く作品に触れたのは17歳の冬でした。
ファミコン版RPG『ウィザードリィ -狂王の試練場-』で冒険者たちが出会う、
圧倒的な恐怖と存在感で襲い掛かる奇怪なモンスターたちの姿がそうでした。

   真っ赤な血にまみれた"宝箱"
   ドロドロに溶けた"バブリースライム"
   妖しく光り輝く"ウィルオーウィスプ"
   破壊と殺戮の象徴"グレーターデーモン"

1987年12月22日に発売された
ファミコン版RPG『ウィザードリィ -狂王の試練場-』は、
3Dの地下迷宮を冒険者の視点で進んで行くゲームシステムでした。
目の前に見える景色は壁と床のみ。
その数歩先は恐怖に満ちた暗黒の世界。
一歩だけ前に進んでは、左右の壁の存在を確認し、
それを方眼紙に書き込んでは、また一歩だけ進む。
シンプルすぎる程の壁と線描画だけのグラフィックと、
オートマッピング機能の無いシステムが生んだ独特の緊張感

そして、突如現れる異形のモンスターへの恐怖。

異様な緊張感の中で研ぎ澄まされた想像力が、
末弥純氏のモンスターたちをさらに魅力的な存在に変貌させました。

末弥純氏 と出会った ウィザードリィ。
ウィザードリィ と出会った 末弥純氏。
お互いの魅力を余す事無く惹き立て合う奇跡の関係が、
今なお根強いウィザードリィファンと末弥純ファンを生んだのかも知れません。
僕もその中の一人です。

そんな、ウィザードリィと末弥純氏をこよなく愛する方々に朗報です!
1993年にアスキーから発刊されて以来、10年以上もの間絶版とされていた
末弥純氏の幻の画集と呼ばれている『ウィザードリィ・ワークス』が、
4月下旬に新紀元社から、装いも新たにページ数も増大され復刊されるそうです。
ウィザードリィの地下迷宮のモンスターたちが、もうすぐ蘇ろうとしています!

   末弥純画集 ウィザードリィ

この『末弥純画集 ウィザードリィ』のカバー用イラストは、
新たに描き下ろされた作品になるそうで、今から非常に楽しみです。

玄―末弥純画集 198511‐199806 魄―末弥純画集 199010-200101 末弥純 グイン・サーガ画集 末弥純画集 烈妖月

◆関連リンク◆
  Wikipedia:末弥純
  シーラカンスの憂鬱:『末弥純画集 ウィザードリィ』
  不倒城: レトロゲーム万里を往く その44 〜Wizardry〜
  CURRY DIARY (・x・):【長文】Wizardly 狂王の試練場(FC)
  復刊ドットコム:『末弥純ウィザードリィ・ワークス』の投票者の復刊コメント

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4 コメント

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祝復刊! (USHIZO)
2006-03-29 07:08:20
おはようございます。



おぉ、Wizだ。と思って読み進めていくとうちのリンクが。

ありがとうございます。



末弥氏のイラストの影響力は絶大でした。

今のゲーム業界の技術力なら、ドラクエ8や

真・女神転生3のようにモンスターデザイナーの

絵柄をフルポリゴンCGで表示も可能でしょう。

ですが、Wizのゲームシステムが今の一般ユーザに

受け入れづらく、販売本数の見通しが難しいことから

幸いにも移植の話はありません。



もし移植されたら、最初こそ嬉しいとは思いますが、

すぐに想像力によるこのゲーム最大の面白さが

半減してしまい、つまらなくなるでしょう。



あのドット絵で、すでに完成され尽くしていたんですよね。

そういう意味では、今のグラフィックがどうだこうだの

ゲーム機の話題に対してのアンチテーゼ的な側面も

持っている希有なゲームだと思います。



復刊は嬉しいですね。このイラスト集は大好きでした。

それでは、失礼しました。
返信する
☆想像 -Imagination-☆ (coelacanth0707)
2006-03-29 23:11:14
USHIZO様♪

こんばんは☆



『想像 -Imagination-』という脳の中の世界では、

世界中の何処にも存在しない自分だけの世界が存在しました。

冒険者の視点から眺めていた壁と床だけの真っ暗な地下迷宮は、

そこに存在している暗黒の恐怖を無限に広げている様でした。



研ぎ澄まされた想像の世界で出会ったドット絵の魔物たちは、

恐怖のオーラを纏っているかの様に僕を脅えさせてくれました。

末弥純氏の感性が発揮された素晴らしい造型美が、

『ウィザードリィ』という途轍もない奥深さを有するゲームと

奇跡的な相乗効果をもたらしたのだと思います。



フルポリゴンCGで激しく襲いかかって来る

末弥純氏の魔物たちを想像すると心がざわめきます。



   見たい気持ち vs 見たくない気持ち 



もしも実現する事になったとしても、

それは既に、あの『ウィザードリィ』ではない事は確かでしょうね。



何はともあれ、

復刊☆バンザイです!

返信する
こちらでは初めまして (松沢 千鶴)
2006-04-02 21:54:12
 > coelacanth0707さん。うちのブログにコメントを残して下さったので、そちらから飛んできました。

 丁寧なコメントを下さり、ありがとうございました。



 私は、ゲームには詳しくありません。でも、末弥純というイラストレーターさんは知っています。雰囲気のある絵を描く方ですよね。私も好きな絵描きさんの一人です。



 いくつになっても、好きなものをしっかりと持っているcoelacanth0707さんは、素敵だと思います
返信する
☆よォこそ☆ (coelacanth0707)
2006-04-02 22:47:06
松沢千鶴様♪

こんばんは☆

温かいお言葉嬉しいです。

本当にありがとうございます。



10代の頃に感銘を受けた音楽や絵画、本や図鑑etc.…。

30代になった今でも、心に響いて鳴り止みません。

特に絵画やイラストなどの絵に関する作品は、

僕自身、油絵や日本画を勉強していましたので、

大変興味のあるジャンルなんです。



末弥純氏の描く作品は、



  優しくもあり

  力強くもあり

  軽やかさもあり

  重く暗くもあり



いつも懐の深さを感じさせてくれます。

そんな僕ですから、このエントリーを書いてすぐに、

『末弥純画集 ウィザードリィ』を予約してしまいました☆

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