訪問先の欧州から帰国した岸田文雄外相は11日、外務省で長嶺安政・駐韓大使らと会い、韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦問題を象徴する「少女像」が設置された問題への対応について協議した。大使らは像設置への対抗措置として一時帰国中だが、日本滞在が長引く可能性も出てきた。

 岸田氏は協議後、記者団に「今後の対応については安倍晋三首相も含め、しっかり検討していきたい」と強調。大使らの帰任時期については「総合的に判断する」と語った。外務省幹部は「首相、外相、大使で改めて話し合う場が必要だ」と説明。大使らの帰任は、12日から東南アジアなどを訪問する首相が帰国する17日以降になる可能性を示唆した。

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 ただ、外務省幹部は「総合的判断には、安全保障上の影響も含まれる」と説明。北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を示唆していることを名目に、少女像問題とは切り離して帰任させる案などが検討されている。(武田肇、小林豪)