うなぎのねどこ

鰻の寝床で日々オーディオと格闘の記録です。

位相って?

2017-05-16 15:33:23 | オーディオ
またまた体調を崩して寝込んでしまった。でも明日くらいからは仕事に行けそうだ。半分ボケた頭で最近気がついたことをつらつらと書いてみようかと思う。(ま、仕事前のリハビリですな。)

いつも21時頃に風呂に入る。風呂上がりはいつも調子が良くなるので1時間位は音楽を聴く。昨日は、リストの「ダンテ交響曲(シノポリ/SKD)」の2楽章から聴き始めた。繊細な音楽で消え入るような場面が多い。少し聴き進むと何か違和感を感じるので、閉じていた目を開いてじっとSPを見てみる。ん?なんだか左chnが後ろに下がってる?気のせいではなかった。果たして近くまで寄ってじっと左右のSPを見比べてみると、やはり左側が後退している。ちなみに、右chnは置台が立て付けの家具のコーナーに接地しているので通常まず動くことはない。え?あんな重そうな固まりが勝手に動くのか?と拙宅の事情をご存知の方は疑問に思うかもしれないだろう。タネを明かすと、置台の底面は結構滑りやすくなっており、ついで日常、主に次男が鉄骨の階段をドンドン踏みならして上り下りすることにより、その振動が毎日震度1〜2弱の地震が頻繁にリスニングルームに起きているのと動揺、じゃない同様の状況を作り出している。
前置きが長くなったが、左側のSPである。毎回力作業だが、ベースごと両腕に全体重を掛け、慎重に押してゆく。総重量で80kgほどありそうな代物だが、体重を掛けると5mmずつくらいすべってくれる。押しては聴き、押しては聴きで今回は2回目で音がまとまった。
(画像は以前の状態ですが)

さて、なぜ1cm程度の移動で音が変わるのか?最近やっと謎が解けたので説明。

音速=340m/秒(一般的に)なのは広く知られているが、その事実は一般的な広さの部屋でどのような現象を起こすのか?
例えば、1Hzの音は1秒で340m進む。これが10Hzだとどうか?340mなのは変わらない。しかし、10Hz=1秒間に10回の振動なので、1波長当たりでは10分の1の34mである。これが100Hzでは3.4m、1KHz(1000Hz)では0.34m、10KHZではなんと0.034m(=3.4cm)となる。人間の耳は2〜3KHzが最も敏感で有ると言われており、逆に100Hz以下の周波数帯では方向感が無くなるというが、例えば2KHzでは1波長の秒速=17cmということになる。それがどうしたと言われそうだが、普通サイズの部屋で聴いている限り、SPからリスニングポイントまでの距離は1.5〜2m程度しかないので、その距離内の長さの波長について左右の距離が違っていると、左右の到達時間が狂っているということになる。仮にSP〜リスニングポイントが1.5mとすると、約230Hz以上はこの対象となる。逆にそれ以下の周波数帯では1波長の長さが聴取距離以上となるので影響が出ないということになる。あくまで理論上だが。
ここまで、面倒なことを書いたが、では部屋の影響は?と問われると、それはもちろんある。が、最初に耳に到達するのは直接音であり、その後に1次反射、2次反射と音波がエネルギーを減少した形で届いてくるので、まずSPの左右間の距離を厳密に詰めて行くのは聴感上重要だと思う。

では、グライコやトーンコントロールで音場補正する場合はどうだろう。拙宅ではグライコを使用し始めてから4〜5年程は左右で全くバラバラの補正をしていたが、いつしか1KHz以上の高域を補正する場合に左右を揃えた方が違和感が無くなることに気がついた。この時はあくまで聴感上による直感を信じてのことだったが、左右揃える帯域は段々と下降していき、ついには200Hz付近まで下がった。(この画像も結構前のものです)

グライコ補正で感じ取った違和感も、実は上の理屈に当てはまると思う。(この場合距離ではなく音圧に置き換わるが。)技術誌などでよく言われていたことだが、あるクイズで音速の秒速は?という問題が出て、やっと繋がった。30年以上もオーディオをやっていてどうも今更ではあるが。