未来組

宝塚の舞台、DVD、SKYSTAGEを観た感想と、最近はカメラに凝ってます。

壮一帆

2007年08月09日 | ジェンヌ・ファイル
容姿端麗」という形容が最初はピンとこなかったのですが、舞台を見て初めて納得。彫りの深い顔立ち、本人いわくキリンのように長い首と、富士山のように広い撫で肩が妖しげ。デヴィッド・ボウイみたい。すらりとして手足も長く、舞台に並ぶと間違いなく目を引く。宝塚的には確かに「容姿端麗」。受験勉強してなくても一発合格も当然でしょう。

ベルバラ」のオープニング、アンドレの登場シーン。後ろに居並ぶ複数のアンドレの中で、壮さんは本物の外国の貴公子みたいで一番決まってました。

ニュースキャスターみたいに知的な雰囲気。明るくさわやかで体育会系の性格。舞台ではその正反対の悪役がよく似合う。

送られなかった手紙」では恵まれた家柄ながら過激思想故に左遷され、酒、女、ギャンブルに手を染めるドミトリー役。

Romanc de Paris」の大劇場公演ではヴァンサンの兄ディディエ役。冷徹なビジネスマンで商売のために他国のクーデターにまで加担する役。

DAYTIME HUSTLER」では、常に人々から尊敬されるエリートであろうとして道を踏み外し、精神の均衡を壊すヘイワード。保身のために悪事にも加担し……氷のような表情、内面の屈折、身をかきむしる程の絶望感。ダンスシーンがあるわけではないのに毎回大汗かいて、演じ切った達成感ですっきりしたというほどの大熱演。
泣きました。

堕天使の涙」でもスランプに苦しみ、弟子の作品を盗用する作曲家エドモンの役。植田景子いわく、壮さんは最初から役作りができていてアーティスト軍団の要だったそうです。今までの経験からしたらすぐ役はつかめたでしょう。

「悪役」と言い切ってしまうのも乱暴ですし、そんな役ばかりではありませんが、やはりそのジャンルの役回りは強く印象に残ります。おいしい。

ベルバラ」では役代わりで衛兵隊士とジェローデル、全ツではアンドレも演じていますがわたしはジェローデルが好き。持ち前の真っすぐさと、悪役で培ってきた気取り、凄味が違和感なくマッチしてた。

全ツのアンドレも文句なく格好よかったです。水オスカルと壮アンドレの組み合わせは、目が慣れないまま終わってしまったかな…。(水オスカルを”かわいい”という壮さん、アンドレになりきっています)
ただアンドレは各組のトップさん、ナンバー2など熟練の上級生達が演じているので、比較してしまうとインパクトに欠けたかな。

計算が立つ役者です。ありえないことで、言っても仕方のないことですが、
もしも花組に戻らず雪組の「エリザベート」に出ていたら、序列からいってルキーニ?いっちゃってる壮ルキーニを見てみたかったです。

黒蜥蜴」を観にいきましたが、春野寿美礼の圧倒的歌唱力と存在感を
いかすことが主眼の脚本。脚本家が他の役者のよさを引き出すことに重きを置いていないので、壮さんはもちろん格好よかったけど「こんな面もあったんだ」という新しい発見はなかったかな。ショーも、内容自体もいまひとつでしたし、トップ、ナンバー2以外はあまり見せ場がなく、壮さんの位置付けがあいまいで、ファンとしては不満の残る内容。今後の脚本家に期待。

私は舞台以外の番組を見るのも好きで、そこだけで判断することはありませんが、
役者が普段どんなことを考えているかを知るのは、舞台を楽しむ上でもとても役にたつ。

舞台を下りると朴訥な人や天然入っている子もチャーミングだけれど、わたしの個人的意見ですが、どんな発言がとびだすのか、今一番楽しみなのが壮さん。
頭の回転がよくておもしろくて、普通の感覚を持ってる。視野が広い。情報量が豊富で、しかも独自の視点。言っていることがわかりやすい。関西人ですから、いじられてもめげません。とても好感を持てます。

舞台人としての揺るぎない信念、向上心があり、自分の考えをはっきりと言う。だから春野寿美礼に「今まで花組にはいなかったタイプ」なんて言われちゃうんでしょうね。(春野さんに「セイセイセイ!」と言えちゃうのは……確かに貴重)春野さんも壮さんを頼もしいと思ってるんだと思いますよ。

舞台で衣裳つければどんな役にもなれるけど、お稽古場で鏡に写る自分の姿を見るのが恥ずかい、というのが普通の感覚で、好感をもつのですが、そこを乗り越えて鏡に写る自分大好きになったとき、お客さまを一人残らずとろけさす色っぽ~い男役になれるんですよね。そんな壮さんが早く見たいです。

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