未来組

宝塚の舞台、DVD、SKYSTAGEを観た感想と、最近はカメラに凝ってます。

「マリポーサの花」観にいった日のこぼれ話

2008年10月21日 | ”う”茶の間
わたしが観に行ったとき、団体客が二つ入っていましたが、その一つはエレクトロニクス関連企業で、背広を着た中年のおじさま達が60名以上いらっしゃいました。
男性客限定とは、歌劇団の新規顧客開拓作戦の一貫でしょうか。「マリポーサの花」は軍事政権を倒すという社会性のある設定で、今の日本から見たらリアリティがないのですが、全共闘世代には懐かしいテーマかもしれません。
女性にはとっつきにくいテーマですが、男性にはどうでしょうか?席が離れていたので反応がわからず、訪ねていって取材したいくらいでした。
観劇後、地下鉄の駅に向かうまでの短い間でしたが、観おわった三人のおじさまが前を歩いていたので後をつけて、会話を盗み聞きしました

 …
「あそこまでやってくれるなら、一番前で観たいよなあ」
「あれは8,000円と10,000円の違い?」
「だったら絶対10,000円だよな」
 …
「ジャニーズみたいなもんなんだろ?」
「ジャニーズって?」
「いるんだよ、女の子がキャーキャー騒ぐアイドルがいっぱいいるところが」
 …
「俺はやっぱりウサギちゃん(ロケット)だな」
「あ、俺も昔SKD観にいった」

細切れだし、残念ながら芝居に関する感想はきけませんでしたが、基本的にはエンターテイメント性の高さに大満足のようでした。
男性が注目するのはやはり娘役ですね。どの子も本当にきれいでした。愛原美加がかなり大人っぽくなってました。
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「ソロモンの指輪」「マリポーサの花」

2008年10月20日 | 舞台感想(2007~2009年)
雪組公演 10月16日 18:30~

「ソロモンの指輪」
作・演出:荻田浩一

宝塚のショー作家の中で断トツの人気を誇る荻田浩一の退団公演。知的好奇心を刺激する耽美的でエキゾチックでスケール感のある世界観が多くのファンを魅了してきました。すべての作品が最高だったとは言わないけれど、はまった時の威力はすごい。構築的で印象的な舞台美術、リリカルな歌詞と哀感を呼ぶメロディ、ストリングスやスキャットも絶妙、創作バレエ風の振り付けもよかったです。
感性重視というか、整理のつかないところに観客の解釈の余地があり、可愛げがありました。生徒の出番をたくさん作ってくれるし、生徒の魅力を引き出してくれるので、生徒にもファンにもうれしい演出家でした。
今回のショーは30分の間に数え切れないほどのシーンとアイデアが盛り込まれていて、おもちゃ箱をひっくり返したよう。書きためておいたアイデアや気に入っているイメージを一気に吐き出したのでしょう。キャンディーズの「微笑みがえし」というか、デジャヴを覚えるシーンもありました。主要メンバー以外にも歌い手がたくさんいて、必ずしもスポットを浴びているわけではないので、ステージのどこで歌っているのか分かりにくく、神経を使って追いかけていくのが少し疲れましたけど……。
プログラムによると、古代イスラエルの王、ソロモンは古今東西の知識に通じ、指輪を使ってさまざまな魔人を呼び出したそうで、その指輪の精を水夏希、彩吹真央、音月桂が演じ、指輪の虜となるミストレスを白羽ゆりが演じています。水夏希の常人離れした力強い妖しさ、彩吹真央や音月桂の美しさとテクニック、白羽ゆりのはかなげな美しさがよく出ていました。
絢爛豪華で魅惑的な登場人物が津波のように押し寄せてきます。みな、メイクのテクニックも向上し、どんどんきれいになっていく。中でも凰稀かなめの美しさには目を疑いました。金髪にちりばめられたラインストーンがまばゆい。黒燕尾服もグリーンの宇宙服(みたいな服)も、白い羽を背負った天使の姿もとにかく美しい。
今回退団となる柊巴、山科愛も目立つポジションでの歌や踊りのシーンがあり、こんなに達者なのにもったいなかったなと思いました。最前列で踊る柊巴はルックスもダンスも表情もよかったです。

「マリポーサの花」
作・演出:正塚晴彦

一部のロマンティックで夢夢しいショーとは正反対のシリアスで暗いトーンの2時間の芝居。設定は1950年代の南米の国。主人公は軍人上がりで、腐敗した軍事政権をクーダターで転覆させようとする、正確にはそういう活動をしているゲリラグループについ救いの手を差し伸べてしまう男の話です。
大劇場らしいグループ芝居が無く、主要登場人物も少ない。主人公ネロの表の顔が高級クラブの支配人なので、華やかなショーのシーンはありますが(支配人が歌って踊っています!)、状況説明のためのセリフが多く、正塚作品にしてはユーモラスな登場人物が少ない。お約束の未沙のえる、新キャラ沙央くらまは数少ない笑える場面。
淡々と進行した芝居のクライマックスは戦闘シーン。政治犯チャモロを筆頭にした、満足な武器も装備もないゲリラの先頭に立つネロ(水夏希)とエスコバル(彩吹真央)は、皮ジャンを身につけ、薬莢を体に巻きつけてスナイパーかコンバットのよう。(対する軍の兵士のユニフォームがベージュ色なので、ニッポンの兵隊さんみたいで生々しく、若干居心地が悪かった)
この戦闘シーンは、私の目にはベルサイユのばらの「バスチーユ」のアンチテーゼに映りました。シーンの名前が「抽象空間」となっているように、舞台上にセットは何も組んでありません。広い空間で、ダンスで戦いを表現する演出が「バスチーユ」のよう。ただし「バスチーユ」のワークアウトのような華麗なダンスではなく、匍匐前進もあり、現場での動きに近い。
男装の麗人オスカルではなく、水夏希に似合うのはどんな役か?  本人が命を落とすよりも、もっと辛いのは生き残ったことではないか? 戦いの日々と絶対的な孤独に耐える男――正塚晴彦はそんな風に水からネロをイメージしたのではないでしょうか。(勝手な想像です)でも水夏希は声が鼻にかかるので、ハードな中に甘さが出て、バランスとしてちょうどいいかもしれません。
彩吹真央はどんな役も高いレベルで仕上げてきます。エスコバルのネロへの友情は、芝居を超えて水夏希への献身ぶりがオーバーラップしました。感極まって「先に行け~!」と叫ぶところは子供が駄々をこねているようで可愛らしい。「ロミオとジュリエット‘99」のマキューシオーを思い出しました。
音月桂は正義感に燃え、反政府運動にのめり込む若者。演じすぎて子供っぽくなることなく、未熟さゆえの一途さがよく出ていたと思います。
白羽ゆりは地声が低いので、いつも裏声を使っているそうで、裏声だと嘘っぽくなってしまうけれど今回は地声で演じていると言っていました。でもやはり独特の発声法は根っからのお姫様キャラだなと思いました。
凰稀かなめは新聞記者を装うCIAのロジャー。激することなくノラリクラリとした役どころということもありますが、台詞回しが自然で、成長した姿を見せてくれました。
マイアミの富豪フェルッティを演じる緒月遠麻は、マフィアっぽい演技は背伸びしている感がありましたが、捕まってから慌てふためく姿がおかしくて大爆笑。千秋楽までもっともっと蹴飛ばされてほしいものです。

あれも宝塚、これも宝塚。一部と二部の振幅の大きさを楽しむしかないでしょう!
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花組「外伝 ベルサイユのばら -アラン編-」

2008年10月13日 | 舞台感想(2007~2009年)
花組全国ツアー 10月11日 14:00~ 府中の森芸術劇場
原作・外伝原案:池田理代子/脚本・演出:植田紳爾/主演:真飛聖、桜乃彩音他

 植田紳爾がプログラムに、「花組はベルバラとの縁が薄く、大半が未経験者なので独特の世界を作れるかどうか心配したが、そんな心配は杞憂に終わった…」と書いています。やはり宝塚は一つということでしょう。経験豊富な真飛聖、壮一帆、加えて専科の星原美沙緒にけん引された部分もあるかもしれませんが、上滑りな部分は一つもなく、力のある組だと思いました。とくに民衆中心のバスチーユの場面は迫力がありました。

 衛兵隊長アランを、濃い役も貴公子役もこなす真飛聖。熱血漢で、家族や部下思いの好青年。ガラが悪いというより、理想主義で気性が荒いという感じでした。生涯オスカルを敬愛し、遺志を継いでフランスに平和をもたらそうと、革命後権力掌握に野心を燃やすナポレオンを暗殺しようとする。理想の高さは「愛と死のアラビア」の主人公のよう。真飛聖にはそんな壮大な「男のロマン」に息吹を吹き込む温かさがあるのかもしれません。
 アンドレを演じる壮一帆はさすがにアンドレ役が体に馴染んでいる。雪組全国ツアーの時よりも切ない心情が掘り下げられていました。主役ではないので仕方ないのですが、オスカルと絡む部分があまりないのが残念。でも、アランがオスカルともみ合った弾みでキスしてしまった場面に出くわしたアンドレが、アランを引き離すシーンでは、突き飛ばしかねないほど力が入っていてかわいかったです。
目が見えないことを秘密にしてほしいとアランに頼んだのに、衛兵隊士全員の前で暴露され、目が見えないのを隠していたことを責め立てられ、それを隠して前線に行こうとすることを叱られ、何よりも自分たちに隠していた水くささをなじられ、返す言葉もなくうなだれる姿が”ボロボロ…”といった感じで、かわいらしい。アランが、自分たちがサポートするから指示どおりに動けと特訓をするくだりには目頭が熱くなりました。右!左!の声に従うアンドレの動き方がぎこちなさすぎましたけど。
 アランの妹ディアンヌを桜乃彩音。最初から最後まで亡霊で、アランにしか見えない存在なので仕方ありませんが、アランとの立ち話とソロの歌しか出番がありません。今回も真飛聖の「妹」役というのは当たり前すぎて、彼女の持っている可能性を発揮できなかったのが残念。植田紳爾が執筆段階で「オスカルをやらせようかとも思っている」と言っていました。単なるリップサービスだったのかもしれず、それではオスカルがかなり子供っぽくなってしまうでしょうが、ひねりが欲しかったのは事実。
 オスカル(愛音羽麗)は今回脇役です。市民革命に参加しようと隊士や市民を鼓舞する胸のすくほど勇ましいシーンやバスチーユの場面もなく、物分かりの良い上司という感じ。
 未涼亜希は前半でジェローデル役、バスチーユでは先頭に立つ市民役。ジェローデルは浮世離れしすぎて人の心がわからず、親切なつもりで残酷な台詞をアンドレに投げかけて去っていきますが、出番は一瞬なので印象が薄い。バスチーユでの目力の方が印象に残りました。
 ナポレオンを夏美よう。肖像画に近い髪型なのですが、女性が被るとシャギーでおしゃれなショートヘア。夏美ようの美しさに見とれてしまいました。
 下級生の演じる、荒くれてガラの悪いはずの衛兵隊士が、何とも格好いい。背も高くて手足が長くて、すがすがしくて、軍服がばっちり決まっている。わたしがブイエ将軍だったら、「なんだ、なんだ、その格好は?! 衛兵隊のくせに、花組の男役だからって、決まりすぎじゃないか?!」と言ってしまいそうです。

 「外伝」というくらいで、本編の脇役を主人公にした副産物で、今回は衛兵隊が舞台。華やかな宮殿は出てこず、ジェローデル編よりも地味。(このバージョンだけではありませんが)本編の見せ場が一言の説明で済まされているのが肩透かし。外伝3編を生み出さなければならなかったせいか、バリエーションのためのバリエーションになっていて、埋め草の台詞もくどい。しかし観客には本編や原作漫画の知識があるので、好意的に受け止めてくれるのだとは思います。ツボにはまるシーンもありましたしね。
第一場は荒廃した練兵場の広場。ジェローデル編もそうでしたが、オープニングが暗く、そこから明るい回想シーンに入って、最後に現在の暗い場面に戻ってくる作り。見せ方が同じなので工夫がほしいと思いました。

グランド・ショー「エンター・ザ・レビュー
作・演出:酒井澄夫

 生で観るのは初めて。場面転換も早く、それぞれの場面が個性的で、やはり楽しい。
 真飛聖が女装で「じらさないで」を歌って客席に降りる場面。低めのキーでゆったり表情豊かに歌うバラード調の曲がとてもあっている。お客さんに声をかけたり握手したり、手を引っ張られて抜けないふりなど、温かくてアットホームな感じ。春野寿美礼退団に伴い主演男役に決まり、不安で仕方なかった(ように見えた)頃に比べると、随分大きくなりました。
 壮一帆は見どころ満載。正統派男役っぽい踊りも歌も申し分ありませんが、真飛聖の客席下りでしっとりした会場に、ピエロの役で「おれ、コメディアン!」とはじける様に飛び出してきて一気に雰囲気をかえます。無邪気で輝くばかりの満開の笑顔とコミカルな動き。私が行ったときは「雨があがってよかったね~。傘忘れんなよ~!」と体育会系というか、ドリフの加藤茶みたいなアドリブでした。
一転して猛獣使い。8匹の黒豹と妖しく戯れます。すり寄ってくる女豹をかわいがると見せかけて突き放して、鞭の音で服従させます。鞭の音は効果音ですが、本人は実際に音がしないと気が済まないと言っていて、本当にしっかり鳴らしていました。ダークで冷酷な男役は本領発揮。(樹里咲穂のようなエロさが感じれらるともっといいのですが、それは次回に期待) 朽ちかけた修道院で真飛聖に寄り添う「シャドーの男」にもどきどきしました。
 背も高く、見栄えのする若手がたくさんいてびっくり。い、いつの間に?! 今後の活躍が楽しみです。
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