今日は7月21日。Twenty-oneの日、ということで、『ラ・ワン』のあれこれをご紹介第1弾です。今回は、まずは今あちこちで配られているチラシをご紹介。表裏、しっかりと見て下さいね。ゲットしたい方は、お近くの映画館にGO!
で、今日の話題ですが、まずは、『ラ・ワン』と南インド要素について、とかにしましょうか。
『ラ・ワン』の主人公、シェーカル(字幕では「シェカル」)のフル・ネームはシェーカル・スブラマニアム。典型的なタミルの人の姓です。以前チェンナイでマニラトナム監督に会った時、「本当の姓はスブラマニアムと言うんだが、スブラマニアムはここタミル・ナードゥ州では掃いて捨てるほどいる。だから、姓を付けたところで役に立たないのさ」というお話を聞いたことがあります。ま、ともかくもタミル・ナードゥ州の出身者、というのがすぐわかるように、この姓になったんでしょうね。
シェーカルは、時々タミル語をしゃべっています。たとえば、タミルの人がよく使う感嘆詞「アィヨヨ~」とかを挟んだり、「サリ(Yes)」と言ったり。一番長くタミル語をしゃべるのは、自宅で2階にいる息子プラティーク(字幕では「プラティク」)に向かって、「エンゲ・ヴァー(ここへ来い)」と言ったあと文句を言うくだり。私の情けないタミル語能力では、あとは「テリヤードゥ(できない)」ぐらいしか聞き取れないのですが、それだけでなく、どうもシェーカルに扮したシャー・ルク・カーンのタミル語発音はいまひとつのようで...。プラティークの方も、シェーカルを「アッパー(お父さん)」と呼んでいますね。プラティークはここだけタミル語です。
奥さんのソニアはタミル語を話そうとして間違えて、「コンドーム」なんて言ってしまいます。ホントは、「コンジュム(少し)」と言いたかったんですね。その他、南インド特有の料理、ドーサーやイドリーも名前だけ登場します。バロン社の社長が、「倒産したらここをレストランにする」というところです。シェーカルが南インドの人間なので、「イドリーやドーサー、サンバル、チャトニーを作ってもらう」と命令するのですね。下の写真上がドーサーですが、これはちょい高級なレストランでのドーサーなので、普通のとは違っています。普通のはもっとパリパリしていて、おいしそうなんですよ~。その下の写真のうち、左上のカレー色をしたのがサンバルというスープ、あとの2つはチャトニーです。白い方はココナツ・チャトニーで、これらをドーサーの上にかけて食べます。
シェーカルはそこで、社長に抗議するのかと思えば、「イドリーはできません、ドーサーなら大丈夫だけど」と言って、いろんなドーサーの種類を挙げ始めます。「ペーパー、サーダー、マサーラー、ラワー、オニオン、ヴェジタリアン、ノン・ヴェジタリアン...」。はてさて、ノン・ヴェジタリアンのドーサーなんて、あったっけな? 字幕には「タンドーリー(ドーサー)」と出ていましたが、いくら何でもそれはないでしょう。タンドーリー料理は北インドの代表格ですものね。ドーサーとは相容れません。
シェーカルが亡くなった後、妻ソニアとプラティークはムンバイに戻ってくるのですが、どうやら彼らの家はタミル人コミュニティの中にあるようです。ムンバイにもタミル・ナードゥ州出身の人は多く、タミル語映画が時々上映されたりしています。そのタミル人のうち、比較的裕福な人々が暮らしている一画に、シェーカルも家を持っていたようです。隣人の太ったおじさんはアイヤルさんと言い、これもすぐタミルの人とわかる姓になっています。とはいえ、サティーシュ・シャーはどう見てもタミル人に見えませんねえ。
そして、この「チャンマクチャッロー」のシーンでも、ガムチャ(手ぬぐい)を持ち、真っ白なルンギーを巻いたお兄さんたちが登場。この格好も、典型的なタミルの男性ですね。そうそう、その前に、ルンギー姿のシェーカルの写真を見て、Gワンがそれを真似しようとしていましたっけ。そんなこんなで、『ラ・ワン』の中には南インド要素がたっぷりと詰まっています。
お~っと、真打ちを忘れていました。南インド、タミル・ナードゥ州と言えばこの方、ラジニ様も特別出演です。『ロボット』のあの勇姿ですね。そんなサプライズもある『ラ・ワン』、8月4日(土)からいよいよ公開です!!
ありがとうございます。
「アイヨヨ~」、って言っているのですね。
ちょっと広東語の「アィヤ~」みたい、と思いながら聞いてました。
さらっとお料理の名前があそこで語られてますが、インド初心者には、すごく気になりました。
どんなものか、ちょっと分かって、今度は食べてみたくなりました。
それから、あの巻いているのはルンギーと言うのですね。
ドーティと言うのとはまた違うのですか?
こうして「ラ・ワン」情報をよませていただくと、8月4日へ向けて、気持ちが盛り上がってきます。
当日は「まだ」インド映画ファンではない友人と一緒に、3人で見に行きます!
ルンギーは腰巻きというか、1枚の布をそのまま腰に巻き、時には下の方を折り返して腰に挟んだりする(半パン状態ですね)スタイルの衣裳です。端を縫って、大きな筒状にしてあることもあります。
ドーティーはやはり1枚の布なのですが、後ろから布を回してきて、前で上端を結び、余った布を脚の間を通すようにして後ろに持ってきて、腰に挟みます。ですので、1枚布で作ったモンペ状態になる、とでも言えばいいでしょうか。
ドーサーのいろいろは、英語版Wikiとかの英語サイトを見て頂くと出ていると思います。文字で説明するのは難しく、「実物を見てもらえばすぐわかる!」なんですが、日本ではいろんなドーサーを食べさせてくれるお店はありませんものねー。ダサプラカーシュとかが支店出してくれないかしら...。
こちら開設時から大いに活用させていただいております。
映画と離れた話題で恐縮ですが、
20年ほど前にタミル人女性(当時60歳前後?)からタミル人の「姓」について聞いたことがあります。タミル人には「姓」の概念がもともとなく、必要な場合は父親の名前を自分の姓とすると。そしてその方の姓は確か結婚後はご主人の名前にされたのだと記憶しています。息子さんたちはお父さんの名前。父親の名前を使うシステムだと、同じファミリーでも、世代によって姓が違ってしまうので、今後は彼女のご主人の名前が一家の姓として残るだろう、というようなことを言っておられた気がします。おそらく外国暮らしのため姓が必要となる場面が多かったのかも、とマニラトナムさんのお話を読んで思いました。(記憶が正しければ―汗)奇しくもその方もスブラマニアムさんでした。
姓と同じ名前はつけないとすれば、でもスブラマニアム「姓」が掃いて捨てるほどあるなら、これからは名前としてつけるスブラマニアムはなくなっていくのでしょうか??それとも南インドでなら没問題?
書いて下さっている通り、父親の名前や出身地の名前を自身の固有名のあとに置いて、姓のような位置づけで扱う、というのが一般的のようですね。つぎのWikiのサイトに、インドそれぞれの州での名前の付け方が出ています。
http://en.wikipedia.org/wiki/Indian_name
南瓜南瓜さんが書いておられるように、現在では姓として定着させて使っている人も多いようで、スブラマニアムのことを話してくれたマニラトナムも、姓という扱いでの言及の仕方でした。
ブログなので、厳密な規定などなかなかできないため、今後も何かありましたらご遠慮なくツッこんで下さいませ。
こうやって解説していただくと、とっても興味深くておもしろいです~。公開時に再確認するのが楽しみ
私のgetしたチラシは、裏の上映館情報が写真美術館のみのバージョンでした。先週18日に千代田区役所でインド舞踊と音楽のランチタイムイベントがあったんですが、なんとその会場に置いてあったんですたぶんインド大使館が千鳥が淵にある関係でこのようなイベントが催されたんだと思いますが、配給会社さん、チラシ刷り上ってインド大使館にも速攻で送ったのね~と、なんだか嬉しくなってしまいました。
少し前アップリンクさんに、「早くチラシを送って~」とメールしたら、「劇場が増えて今刷り直してます!」と”てんてこ舞い”テイストのお返事が来ました。嬉しい悲鳴かも。
私の方は、大学の授業&補講と、いろんなことの校正がめちゃくちゃに重なり、それも一刻を争うものばかりで、ブログ更新が全然できません。でも、生きてますのでご心配なく(笑)。明日ぐらいには次の記事がアップできると思います。(希望的観測...)