アジア映画巡礼

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ガチのアクションが面白い『スペシャルID 特殊身分』

2015-02-17 | 香港映画

2月21日(土)はインド映画『女神は二度微笑む』『フェラーリの運ぶ夢』の公開日、というのは、このブログ読者の皆様なら、もう耳タコ目タコでしょう。実はですね、その日もう1本、面白い映画が公開されるのです。それは、われらがドニーさんの映画『スペシャルID 特殊身分』。公開直前になってしまいましたが、その見どころをご紹介しましょう。まずはデータからどうぞ。

©2013 Beijing Starlit Film and TV Culture Ltd.co. 

『スペシャルID 特殊身分』  公式サイト  
 2013年/中国=香港/原題:特殊身份 SPECIAL ID
 監督:霍耀良(クラレンス・フォク)
 出演:甄子丹(ドニー・イェン)、安志杰(アンディ・オン)、景甜(ジン・ティエン)、鄭中基(ロナルド・チェン)
 提供:『スペシャルID 特殊身分』フィルムパートナーズ
 配給:彩プロ
 宣伝:フリーマン・オフィス
2月21日(土)より新宿武蔵野館他にて全国順次公開


©2013 Beijing Starlit Film and TV Culture Ltd.co.

香港警察の警官ロン(甄子丹/ドニー・イェン)は、喧嘩早くて普通の警官には向かないと判断され、上司のチャン警部(鄭中基/ロナルド・チェン)に命じられてヤクザ組織に潜入中。その腕っ節でボスのホン(鄒兆龍/コリン・チョウ)からも信頼を得たロンは、手下の起こしたトラブルで他の組のボスたち(盧惠光/ケネス・ロー、呉志雄/ン・チーホン)相手に大立ち回りを演じ、ホンを怒らせてしまいます。

そこへまたトラブルが発生。ホンの部下クンは、かつてロンが義兄弟の契りを交わしたサニー(安志杰/アンディ・オン)と組んで麻薬取引の仕事をしていたのですが、ある時クンが殺され、ブツがすべて奪われるという事件が起きてしまいます。ホンからサニーを探すよう命じられたロン、一方チャン警部も、クン殺し等でサニーを追っており、ロンは両方の意を受けてサニーのいる広東省南海市に潜入することに。

そこでロンは、「特殊身分」の人間として地元警察の全面的バックアップを受け、相棒として女性刑事のジン(景甜/ジン・ティエン)が配置されてきます。2人はギクシャクしながらも、協力してサニーの確保に動こうとしますが....。

©2013 Beijing Starlit Film and TV Culture Ltd.co.

今回のドニーさん作品の面白さは、アクションが「ガチ」であること。「リアル」と言い換えてもいいのですが、計算し尽くされた華麗なアクションではなく、現実の人間ならこう動くだろうな、というまんまのアクションが展開するのです。これは時にはカッコ悪く、笑いも誘います。しかしながら何とも言えぬ味わいがあり、戦う人間の痛さがこちらにビンビン伝わってくると共に、その地を這うような必死さが徐々に観客の血を熱くしていってくれるのです。

名場面はいくつもあるのですが、特に最初の方、マージャン店でロンと「泰國[イ老]」(ケネス・ロー)が繰り広げる1対1対決と、中盤でサニーの手下とロンがレストランで戦うシーン、そしてラスト、建設途中の高速道路でロンとサニーが戦う時のこれでもかこれでもかアクションが見応え300%。誰だ、こんな疲れるガチ・アクションを考え出したのは――って、もちろんアクション監督はドニー・イェンなので、ご本人ですね。それと、スタント・コーディネーターとしてクレジットされているのが谷垣健治さんなので、どうもみんなでワイワイと面白がってアクションを作り上げていった匂いがします。こういう面白い突然変異が出てくるから、香港のアクション映画は侮れません。


©2013 Beijing Starlit Film and TV Culture Ltd.co.

さらに、ロンの相棒となる女性刑事ジン(景甜/ジン・ティエン)も、華麗なアクションを見せてくれます。細身から繰り出す、「バレリーナ・アクション」とでも名付けたい長い足を生かしたアクションは、優雅さとキレを備えていて目を奪われます。特に、カースタントのシーンにご注目下さい。ジン・ティエン、楊紫瓊(ミシェル・ヨー)の後継者になれるかも知れません。

上に書いたキャストのほか、情けないヤクザの下っ端役で尹子維(テレンス・イン)が顔を出したり、ロンの母親役が鮑起静(パウ・ヘイチン)だったりと、何気に豪華な脇役が揃えてある『スペシャルID 特殊身分』ですが、中でも「スペシャル出演 特殊役柄」なのが中国映画の名優張涵予(チャン・ハンユ)。黒ずくめの格好に黒いサングラスの殺し屋(!)を演じるのですが、何だか「存在の耐えられない軽さ」という感じの役柄でした。何か深い事情があったのでしょうか? ドニーさんと賭けをして負けたとか、ドニーさんと共に製作者になっているカメラマンの鮑徳熹(ピーター・パウ)に借りがあるとか....。

 

©2013 Beijing Starlit Film and TV Culture Ltd.co.

まあ、ついそんなことまで想像したくなる、ユニークなアクション映画でした。アクション映画好き、香港映画好きを自認しておられる方はお見逃しなく。

それにしても、ケネス・ローはなぜいつも「泰國[イ老]」なの~、と思ってちょっと調べたら、ラオス生まれ(IMDbではカンボジア生まれ)の華僑で、今の国籍もラオスでした。それでタイ語も流暢にしゃべれるのですねー。そんなこんなで、とっても楽しめる作品です。

劇場サイトはこちらです(はにゃ? 「上映時間:1自家39分」って武蔵野館さ~ん)。週末にぜひどうぞ。あ、トニー・ジャー主演のタイ映画『マッハ!無限大』(2013)も同じ劇場で公開中ですが、ハシゴをなさる時は『マッハ!無限大』をお先にご覧になることをオススメします。なぜって...ムニャムニャ。えー、『マッハ!無限大』にはジージャーも出てます。(と、誤魔化す)

 



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