アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

場内大爆笑の周星馳監督作『美人魚』

2016-03-19 | 香港映画

香港では映画祭前に一般公開作を必死で見ないと、と思って来てみたら、あらら、何も公開作がありません。いや、1本だけ、ホラー映画『紅衣小女孩(赤い服の少女)』が公開中ですが、これは台湾映画。2月8日に公開されて、いわば2番館落ち状態の周星馳(チャウ・シンチー)監督作品『美人魚(人魚)』が、20数館で1日1回とかの形で上映されているのと、あと周辺部の映画館2館で黎明(レオン・ライ)主演の『消失的愛人(消えた配偶者)』が上映されているだけです。どうした!香港映画。ほかに台湾映画『酔生夢死』の上映と、来週から公開される『太陽的孩子(太陽の子)』の先行上映みたいなもの(今日だけの上映だったらしく、明日見に行こうと探したら「3月24日」としか出てこなかった)がありましたが、ほかは見事に洋画と日本映画ばかり。う~ん、つまりません~。

というわけで、とにかく『美人魚』を見に行って来ました。場所はホテルから徒歩10分ぐらいの旺角百老匯(モンコク・ブロードウェイ)。入り口前では、雨傘革命の流れを汲む人たちなのか、黄色いベストを着た人たちによる香港の民主化を訴える活動が展開されていました。モンコク・ブロードウェイでは入り口の天井にいつも次期公開作品の看板がでかでかとプリントアウトされているのですが、今回は4月1日公開の『特工爺爺』(中国では『我的特工爺爺』か『老衛兵』になる模様)でした。洪金寶(サモ・ハン・キンポー)の監督・主演作で、おお、他の出演者も豪華!と思ったら、皆さん客演というかカメオ出演ばかりみたいです。これだけカメオを集められるのも、サモ・ハン大哥だから、と言えますが、さて、作品自体の出来はどうでしょう?

『美人魚』の上映スクリーンは、危惧していたとおり一番小さい5番スクリーンでした。モンコク・ブロードウェイは縦長のビルに5スクリーンが入っていて、一番上の10階にあるのが5番スクリーン。エスカレーターは8階までしかなく、あとは階段をえっちらおっちら上がります。でも、行きはまだいい方で、映画が終わって裏の出口から出るまでが大変。10階分というか、実質的には11階分の裏階段を降りて、地上=グランドフロアの出口に到達しないといけないのです。いつだったかは、降りる途中で階段酔い状態になり、足を踏み外しそうになりました。危ない、危ない。ホテルから近いのと、70香港ドル(約1,000円)と他よりすこーし安いので、辛抱するしかありません。

The Mermaid 2016 poster.jpg

そんなスクリーンでしたが、場内は満員。お子様の姿も目立ちます。私の隣の席は、男の子2人とご両親でした。『美人魚』のストーリーは、これから開発されようとする青羅湾が舞台。そこには生き残った人魚一族が住んでおり、何とか開発をやめさせようと、開発プロジェクトのトップである大金持ちの劉軒(超/ダン・チャオ)のところに、刺客として若い女性人魚珊珊(林允/ジェリー・リン)を送り込みます。普通の女の子のふりをして劉軒に近づいた珊珊でしたが、劉軒のプロジェクト・パートナーである美人の若蘭(張雨綺/キティ・チャン=『ミラクル7号』の袁先生です)にはにらまれ、殺しのタイミングもうまくいかず、自分がボロボロになる羽目に。人魚一族の中にいるリーダー格の蛸人間八哥(羅志祥/ショウ・ルオ)もあれこれ協力するのですが、やがて彼らの存在が劉軒や若蘭にバレてしまいます....。

周星馳《美人魚》魚水合歡預告片HD高清版 (?語版) HD

上が予告編ですが、いやもう、最初に怪しげな海洋学博士(?)が出てくるシーンから、場内は笑いの渦。隣の席の男の子は、主題歌が流れると一緒に歌い出すし(ちょっと音痴気味でした。今のうちに直しておこうね、ボク)、場内は湧きに湧いていました。この主題歌、今調べたら、鄭少秋(アダム・チェン)と莫文蔚(カレン・モク)が歌っていたんですね。

世界始終你好 - 《美人魚》電影主題曲

また、一番笑いが大きかったのは、予告編にも使われていた下のシーン。やはり『ミラクル7号』で担任の先生をやっていた李尚正(ジロ)が警官役で笑わせてくれます。

周星馳《美人魚》首部預告片高清正式版 (中國版)

このほか、ちょっときわどい性的ジョークもあったのですが、さすがにそこは隣の男の子はきょとんとしていました。でも、私の前の席にいたカップルの女性には大ウケ。鶏=娼婦のジョークと共に、皆さんのお腹の皮をよじらせていました。そのほか、ウケていたのがショウ・ルオ演じる蛸人間のいろんなギャグ。ショウ・ルオはすっかりアイドルを捨て、これまたいさぎよいくらいお笑いの人になっていました。

ちょっとお下品で残酷なシーンもあるため、日本での公開は「?」ですが、中国と香港では大ヒット、特に中国では興収記録を塗り替えたそうです。香港映画ですが中国資本も入っているため、秋の中国映画週間で上映されるかも。日本語字幕でぜひもう一度見てみたいです。

今日はそのほか、友人一家と飲茶をしたりと、すっかりリラックスした1日となりました。




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6 コメント

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予告編で大爆笑! (nancy)
2016-03-23 18:09:45
 インド、香港と駆け巡るcinetamaさまのリポートを楽しませていただいております。

 「美人魚」中国版の予告編には笑いました。さすが尊敬する周星馳の作品です。あの「半分人間、半分魚」の発想には目から鱗が落ちました。
早く日本に来ないかな~~~~♪
観たいな~~~~♪ 

 そして香港国際映画祭オープニングのソフィー・マルソーの美しさに驚きました。
続きも楽しみにしています。
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Re:場内爆笑の周星馳監督作『美人魚』 (エドモント)
2016-03-23 20:55:05
香港滞在の様子も羨ましいですが、私も2月に、台湾と香港・深[土川]へ春節電影を見に出かけて来ました。
勿論、香港では、『美人魚』も見ました。
林允が何故選ばれたのかは、見ていると納得出来るキャスティングでした。
羅志祥も、下半身がかぶり物ながら好演が光りました。
私が見ていたときは、隣に座った女性二人のうち一人が大受けしていて、笑い連発していました。
イルカ漁の挿入シーンは、どうかな?とは思いますが、『賭城風雲Ⅲ』と較べると、格段に良く出来ていると感じました。
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nancy様 (cinetama)
2016-03-24 01:04:10
コメント、ありがとうございました。

『美人魚』は下ネタもありまして、こりゃこりゃ、なのですが、ダン・チャオもチャウ・シンチーの代わりにがんばってお笑いの人に徹してくれているので、ぜひもう一度見たいです。

ところで、あの半分人間、半分魚、なのですが、昨日見た韓国映画『突然変異』に登場する魚人間がまさにそれでして。
あとで、イ・グァンス人気と共に、ちょこっとご紹介しておきますね。
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エドモント様 (cinetama)
2016-03-24 01:12:46
コメント、ありがとうございました。

『美人魚』の林允はまだ18才だそうですが、『少林サッカー』のヴィッキー・チャオやカレン・モク、セシリア・チャンのように、女を捨てさせられるシーンも果敢に演じていて、好感度大でした。
「何故選ばれたのか」というエドモントさんのご意見、ぜひお聞きしたいです。
私は、元水泳選手か何かなのかしら?と思っていました....。

ショウ・ルオの蛸人間は、高速移動のシーンが面白くて面白くて、あれ、どうやって撮ったのかしら、と半分ショウ・ルオが気の毒になりながらも大笑いしてしまいました。
一部メイキングがYouTubeで見られますが、特典付きDVDが出たら買いたいです~。
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『美人魚』の林允 (エドモント)
2016-03-24 18:40:51
cinetamaさん、彼女は一番人気で選ばれたのではないそうですね?
陸に上がって、劉軒(ダン・チャオ飾)のところへ。いざ、振り向くと化粧崩れの顔が(周星馳映画ならではですね?)、それが、段々と劉軒とデートのシーンの可愛さといったら。
泳げるということも、cunetamaさんお指摘のとおり選ばれた要因の一つだと思います。
それと、体がとても柔らかいんですね。なので、半身人魚でもそれなりに身体動かせたのかもしれません。
そして、なんと言っても可愛いですよね?劉軒が好きになってしまうというのも、納得だと思うのですが。
http://tvb4life.pixnet.net/blog/post/192061212-%E3%80%8C%E7%BE%8E%E4%BA%BA%E9%AD%9A%E3%80%8D%E6%B5%AE%E5%87%BA%E6%B0%B4%E9%9D%A2-18%E6%AD%B2-%E6%9E%97%E5%85%81%E5%81%9A%E3%80%8C%E6%98%9F%E5%A5%B3%E9%83%8E%E3%80%8D


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エドモント様 (cinetama)
2016-03-24 23:42:59
再度のコメント、ありがとうございました。
付けて下さった記事も見ました~。

林充ちゃん、ホントに体が柔らかいですね!
だから人魚泳ぎもきれいに決まる、というものです。
これから大人になると共に、どんどん人気が出るかも知れませんねー。
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