白馬、白馬!(続々)

 
 最後のリフトには乗り換えずに、山頂までトレッキング。みんなはリフトで登るので、山頂までの自然道が貸切状態。後ろを気にせずに、好きなだけ立ち止まることができる。脇にはいろんな山野草が花を咲かせているので、いちいち足を止めては、眺め入る。
 山野草って、小さくて、質素な色の花々をそっとつけてて、いかにも可憐で華奢。が、か弱げに見えても逞しい。はかなげに見えても力強い。こんな過酷な環境に生きる野草なんだから、考えてみれば当たり前。

 そろそろ山頂になると、急に、人がわんさと現われる。リフトから降りた人たちだ。
 今度は終点、八方池目指して、数珠のように連なってゾロゾロと歩き始める。なかには小さな子供もいる。ザックの代わりに赤ちゃん背負った大人もいる。下界そのままの格好で、サンダル履いたにーちゃんやねーちゃんもいる。

 こんなにいると、周囲の話し声が、聞くともなく聞こえてくる。
「石が黒光りしてる個所は、みんなが滑ってこうなったんだから、滑りやすいんだよ。気をつけなよ」
 ……な~るほど!
「いきなり口のなか、蜂に刺されて、イタタタタッッ!!! みたいな」
 ……そりゃ、痛いだろーな。
「キツイね~。この道ってさ~、これでも整備されてるんだよね~?」
 ……山に来るな、バカ。 

 朝は結構晴れていたのに、もうこの頃には太陽が隠れてしまった。山間から雲が立ちのぼり、風に運ばれてサーッと流れ込んでくる。
 相棒、「やっと涼しくなってきたねえ」と、胸までめくってシャツのなかに風雲を取り込む。……たまにいるよね、こーゆー奴。

 To be continued...

 画像は、白馬、ハクサンシャジン。

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