ギリシャ神話あれこれ:12の功業その6

 
 エリスからの帰途、ヘラクレスがオレノスの王デクサメノスの館に立ち寄ったときのこと。

 館ではちょうど、王女ムネシマケを花嫁として送り出すところだった。先にヘラクレスと戦って散り散りに逃げた、乱暴なケンタウロス族の一人、エウリュティオンが、こんなところにやって来て、ムネシマケに激しく恋慕、是非妻にくれと脅迫したのだという。 
 生贄同然の花嫁を前に、単純なヘラクレスは断固、義侠心を発揮。早速、ケンタウロスを待ち伏せて、花嫁を受け取りに来たところを、とっとと殺してしまう。

 ヘラクレスはこんなふうに、難業の往路、帰路の先々で、人々を困らせる人間やら半人半獣やら猛獣やらを一掃しながら進んでいる。

 難業その6は、ステュンパロスの森から鳥を追い払うこと。

 ステュンパロスのそばの湖は、鬱蒼たる森に覆われていて、そこに青銅の翼、爪、嘴をした無数の鳥たちが住み着いていた。鳥たちはとてつもない騒々しさで人々を脅かし、穀物を荒らしまわるばかりか、鋭い羽や嘴で人々を傷つけ、人畜まで喰らったという。
 ヘラクレスは、ない知恵を絞った末に、青銅の大銅鑼を作る(鍛冶神ヘファイストスに作ってもらったともいう)。これを、ジャアァ~ン! と鳴らし立てると、凄まじい響きに仰天した鳥たちが一斉に飛び立った。空は一転、真っ暗に。
 ヘラクレスは毒矢を放ってそれらを射落とし、どれくらいの数を射たかは知らないが、とにかくそれ以降、鳥たちは森を出て行ってしまった。

 To be continued...

 画像は、モロー「ヘラクレスとステュンパロスの鳥たち」。
  ギュスターヴ・モロー(Gustave Moreau, 1826-1898, French)

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