ギリシャ神話あれこれ:クリュティエとレウコトエ

 
 ギリシャ神話の神さまというのは、オリュンポスの最上級神から、ニンフのような下級神に到るまで、概ね、かなり嫉妬深い。嫉妬は身を滅ぼすというが、自己愛的な神さまたちは、自分を滅ぼすような行為には出ない。大抵は嫉妬の矛先を、相手ないしそのまた相手に向けて、情け容赦なく攻撃する。相手ないし相手の相手が、見るに忍びないほど痛々しく惨めなさまになったのを見届けて、ようやく自尊心を保って引き退がる。

 受ける罰は、犯した罪には相当しない。往々にして、身に覚えのない不条理な罰が、唐突に与えられる。因果応報だなんて仏教臭いことだけでは、罰は免れない。
 罰を引き受ける覚悟を常に持った上で、だができるかぎり罰から逃れるために、身につけなければならないものは、ひとえに強運だ!
 ……とまあ、子供の頃、私が最も知りたかったことの一つが、「強運の上達法」だった。

 さて、地上をあまねく光で照らし、明るみに出す太陽のもとでは、あらゆる事象は太陽神ヘリオスの知るところとなる。公明正大なヘリオスは、それをわざわざ告げ知らせる。で、美神アフロディテが軍神アレスと密通に及んでいることを、アフロディテの夫、鍛冶神ヘファイストスに密告したのも、このヘリオスだった。
 このことを根に持っていたアフロディテは、ヘリオスに復讐することにする。

 To be continued...

 画像は、L.W.ホーキンス「クリュティエ」。
  ルイス・ウェルデン・ホーキンス( Louis Welden Hawkins, 1849-1910, French)

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