ギリシャ神話あれこれ:ピロクテテス帰参

 
 占師カルカスは、トロイア陥落のための次なる予言を与える。ヘラクレスの弓が必要だ、と。

 トロイア出征時、ピロクテテスはヘラクレスから譲り受けた強弓を持参して参戦した。が、トロイアへ向かう途中、立ち寄ったレムノス島で毒蛇に噛まれたために、オデュッセウスによって、憐れ、島へと置き去られたのだった。
 あれから10年。ピロクテテスはすっかり痩せこけ、孤独と、傷から来る発作とに苛まれながら、弓矢の狩猟で細々と食いつないでいた。

 ピロクテテスはさぞかし、自分を置き去りにしたギリシア勢を怨んでいることだろう。そう考えたオデュッセウスは、唯一ピロクテテスと面識のないネオプトレモスを連れて、ヘラクレスの弓を得るべくレムノス島へと向かう。

 レムノス島に到着し、ピロクテテスが住まう洞窟へとやって来た一行は、ピロクテテスの惨めな姿に仰天する。
 洞窟の床一面に鳥の羽が敷かれ、ピロクテテス自身継ぎ合わせた鳥の羽を身に纏っていて、まるで鳥。髪も髭も伸び放題に伸び、肉体は痩せこけ、眼玉だけが虚ろにぎょろつく。足傷はなお腐臭を放ち、身体は血と膿と垢と苦痛の涙にまみれている。ああ、かつての英姿はどこへやら。

 とてもじゃないが近づけん。オデュッセウスは、ヘラクレスの弓を盗み取ることにし、ネオプトレモスに知略を授ける。
 洞窟に一人近づくネオプトレモス。ピロクテテスは懐かしいギリシア人の姿を見て感激し、彼を歓迎する。

 To be continued...

 画像は、アビルゴーア「傷ついたピロクテテス」。
  ニコライ・アブラハム・アビルゴーア
   (Nikolaj Abraham Abildgaard, 1743-1809, Danish)


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