炎夏の狂都(続々)

 
 スピーカーを通した音楽と、ヒューヒューとはやし立てる声々が聞こえてくる。ので、そちらのほうへと行ってみる。
 と、銀行だかデパートだかホテルだかの古い建物の前に、無数の大きな白い風船が、空へと浮かび上がる泡のように連なっている。その下で、チュチュの他にカンカン帽とレギンスという白尽くめの衣装を着た小さな踊り子たちが、クルクルと軽やかに踊っている。それを、同じ格好の踊り子たちが、二階の窓に腰掛けて、一斉にヒューヒューとはやし立てている。

 洒落てはいるが、何か商業イベントのデモンストレーションらしい。ときおり招待客らしい、ドレスコードに則ったきちんとした格好の男女のカップルが、建物のなかへと入っていく。
「グラーツのチンドン屋を、見かけ華麗にしたようなものかね」と相棒が感想を述べる。
 
 陽が陰りかけていたが、新大聖堂へ。レーゲンスブルクの大聖堂を思わせる、荘厳な印象。
 けれども、そのすぐそばに、大聖堂にはまったくそぐわない、ガラス張りのカフェが唐突に建っている。大聖堂を眺めながらコーヒーとケーキを、ということなのかも知れないが、当のカフェの存在が、大聖堂広場の景観全体を妨げている。
「オーストリアのバカさ加減には、ついていけないものがある」と相棒がボヤく。

  ど快晴の真夏日。朝、相棒が腹痛だったので、午前はゆっくりして午後から美術館に行くことに。

 To be continued...

 画像は、リンツ、イベントの踊り子たち。

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