境界性人格障害についてのレポート

 
 感情がコントロールできず、そのことで正常な対他関係を保てない、という性格の偏倚が、そのために、社会的な機能障害をも引き起こす場合、人格障害(personality disorder)という精神障害と見做されるという。
 
 人格障害は、アメリカ精神医学会の診断基準では10種類(WHOのでは7種類)に分類され、それぞれに特徴的な症状がある。が、共通の症状というのは、先の一点に尽きるらしい。
 人格障害の定義は、便宜上の、必要に迫られてのもの、という感がある。実際そうなのだろう。
 
 この診断基準のB群は特に、感情が著しく不安定なところが特徴。で、「境界性人格障害(borderline personality disoder)」は、このB群に類別されている。

 「境界(ボーダーライン)」というのは、「神経症と精神病との境界」という意味で、当初は境界領域の症状を指していたのだが、現在では一つの臨床単位となっている。
 症状は非常に多様だが、驚くほど共通のパターンを見出すことができる。その基本的特徴は、他人から見捨てられることに極度の不安を感じ、それが根源となって、アイデンティティの混乱が生じる、という点。このため、感情がきわめて不安定で、急激に変化しやすく、結果、不安定で極端な対他関係しか持つことができない。
 
 対他関係においては、特定の人間との排他的な二者関係にしがみつき、相手に依存もしくは相手を束縛してくる。相手に対しては、どこまでも自分を受け入れることを望み、「自分を受け入れてくれる存在か否か」をリトマス試験紙として、“All or Nothing”という両極端の評価しか持てずにいる。
 一旦、相手を、自分を受け入れてくれる存在と思い込むと、相手のプライバシーに考慮せず、どこまでもエスカレートして相手に甘えてくる。この際限のない甘えは、赤ん坊のそれに類似する。相手が応じられなくなると、感情を爆発させる。

 見捨てられることへの恐怖から、マイナスの感情に絶えず翻弄され、見捨てられるのを回避しようと極端な努力をし、衝動的な自己破壊的行動(自傷行為や自殺未遂)などにも及ぶ。が、ODやリストカットなど、自殺としては成功率の低い方法を取り、しかもそれらを繰り返すため、端からは狂言自殺をしているように見える。

 To be continued...

 画像は、ワーレベケ「鳥籠のそばで夢想する少女」。
  ヨーゼフ・ヤンセンス・デ・ワーレベケ
   (Joseph Jannsens de Waerebeke, 1854-1930, Belgian)


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